もっと素直になっていい
少し前の話になるのだが、
僕は自分のアート作品を、ニューヨークのタイムズスクエアの巨大スクリーンで披露するという体験をした。
今回はロンドンのアートギャラリーにその機会をいただいた。
そのギャラリーには2021年にオンラインで個展を企画していただいていた経緯があり、今回の機会は単純に面白そうだなと思ったので話を進めていった。
6月25日午後12時頃、僕はタイムズスクエアに到着した。
ちょうどニューヨークゲイプライドの日で、
タイムズスクエアはたくさんの人で賑わっていた。
タイムズスクエアには、場を一望できるレッドステアーズという階段がある。
TKTSというブロードウェイの舞台作品の格安チケット売場の真上だ。
ギャラリーからは、そこからだとスクリーンが一番見やすいという指示を受けた。
別に何かを頑張ったわけでもないから、
なんとなくお祭り気分で作品がスクリーンに登場してくるのを待った。
12時15分。
レッドステーアズに観光客がごった返す中、
突然僕の作品はタイムズスクエアに現れたのである。
今回は、2つの作品を披露することにした。
1つはデジタル作品で、もう1つはフィジカル作品。
デジタルは相性が良いのは想像がつくが、フィジカルで紙の作品がどうスクリーンに映し出されるのか見てみたかったのだ。
はじめに登場したのは、
NauGhtEdというデジタルファッションデザイナーとのコラボで、『Another Earth: Eden』というタイトルを付けている作品。
こちらは僕は素材とコンセプトを提供して、NauGhtEdが実際のファッションビジュアルを手掛けている。
NauGhtEdは福岡拠点だが、コラボの思い出になればと思って、タイムズスクエアでぜひこの紙の質感を纏ったデジタルファッションを揺らめかせたかった。
その後に現れたのは、紙を千切って貼って作った『永遠』という作品。
『永遠』は横に長い3メートル超の作品なのだが、スクリーンが正方形だったため、作品のいち部を見せる形になった。
ニューヨークのど真ん中に万華鏡のようにカラフルで、サイケデリックなビジョンがパッと花を咲かせた。
たったの15秒間。
本当に一瞬だった。
大きな花火が夜空に上がった時のように儚かったけれど、
夢見心地にさせてもらった。
貴重な体験をありがとう。
そういえば、
1年前にデジタルアーティストの作品がタイムズスクエアの巨大スクリーンに登場していたのを見て、「こういう見せ方もあるんだな。僕もいつかタイムズスクエアで見せたいな」と思ったことを思い出した。
規模が大きかったり、
やり方がわからないことは、
「どうせ無理だから」とすぐに自分の中で願いを撤収してしまう癖がついている人も多いだろう。
でも、今この時点でそこに辿り着くルートが分かっている必要なんて全くない。
ある程度時間はかかるかも知れないけれど、自分で撤収しなければ、世界は自分の意図を形作ってくれるのだと思う。
だから本当は誰だってもっと自分に素直になって良いのだ。
今は不可能だと思えることだって、
1年後の状況はガラリと変わっていたって良いのだから。
自分が変わっても良いと許可を出せる人はきっとどんどん変わっていける。
現時点では想像もできないくらいの自分にだってなれる。
今回の件を経て、
僕もさらに変化することを楽しみたいと思った。
太陽