秘密の友達

公園の奥にある
薔薇が絡まるゲートには
僕と秘密の友達だけが知る
世界に繋がる扉がある

探そうとしても見つからない
辿り着くにはコツがある
忘却の彼方に忘れ去られた扉

アイコトバは
『Enne Tavata(ｴﾝﾈ ﾀﾊﾞﾀ)』

何も無い場所に
透明の扉が姿を現し
僕はその扉をくぐり
秘密の友達に会いにゆく

背格好は僕に似ていて
初めて出逢った日も
ずっと知ってたように
違和感もなく

いつも彼は
一人ぼっちで
僕を待っている

こうやって会う日は
二人で
森の奥の湖畔に繋げられたボートを漕ぎ
小さな湖を一周するのがルーティンだ

今まで
どれだけの言葉を交わしただろう
彼はもう、僕について様々な事を知っているだろう

でも
僕は彼については殆ど知らない

また、
この世界がどんな場処にあるのかも

刹那、霧が深くなり
彼の姿が見えなくなる

呼びかけど、声は届かなくて

僕は、薔薇のゲートの前に居た

次に会った時は何を話そうか