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プロポ/随想集

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気ままに書いたものです。
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【随想】 恥をかくことで人は伸びる

就職活動のニュースを見聞きすると、数十年も昔の自身の面接のことを思い出します。学生から社会人への最初の試練でした。まともに話ができず、「御社が第一志望です」「社会に貢献するつもりです」なんて、見え透いた嘘を並べる自分自身に対して、泣きたくなるくらい嫌な気持ちなる日々でした。 社会人になって、プレゼンであったり商談であったり、大事なスピーチをする場面にたびたび遭遇して、場数を踏んで次第に慣れてきました。人が悪くなったといってもいい。こっそりと準備もしていました。事前に原稿を自

【随想】 飽きてきたときが伸びるとき

仕事とは何か。人それぞれに意見があるでしょうが、「他人のために働くこと」という言葉がいちばん違和感を感じません。「他人」というのが、目の前のお客様だったり、最終消費者だったり、直属の上司だったりするわけですが、「他人」が求めている物・事をキチンと提供すること。しかも笑顔で。 感性豊かで聡明なひとりの女性が、西洋文明の服作りに挑み、「他人」に喜ばれる衣装を手がけ、本場パリでも高い評価を得ました。しかし、「他人」のために創った服を、手放しで賞賛する「他人」ばかりではありません。

【随想】 話し合って、少しだけトクを取る

将棋の大棋士、升田幸三のお話を。YouTubeに上がっていた動画は削除されてしまったみたいで残念です。囲碁好きですが、最初は将棋から入りまして、升田名人の言葉には10代の頃から親しんでいました。 インタビューに応じた晩年の肉声は、意外にも聞き取りやすい落ち着いた口調でした。一日30本近いタバコを吸い、酒にも目がないという私生活を送り、仙人のような風貌から、しゃがれ声の任侠風な話し方をする人だと何となく勝手な想像をしてました。 升田幸三は昭和の将棋界に大きな足跡を残した大名