Uターン13年目。移住を考えている人に言いたいこと
東京で「福井県移住・交流フェア」に出ます!
今週末、宿はお休みとさせていただきます。上京して、9/7(土)に有楽町の東京交通会館で開催される「福井県移住・交流フェア」に出ます!
12:30から30分ほど、移住とお金の話をする予定です。それ以外の時間も、ブースで移住相談します!
週末の稼ぎどきに宿を閉めて出張するわけですが・・・自分の中では民泊のほうは「副業」(というか7割くらいは趣味)で、本業は「地方移住支援ファイナンシャル・プランナー」です。こういう場をいただけるのは非常に嬉しいことです。
自分も2011年の暮れに東京から福井に戻ってきました。高校卒業以来、22年ぶりに福井で生活することになったのです。
その後福井市の実家で生活し、2022年の暮れに民泊宿を立ち上げることになります。いま、福井にUターンしてきて13年目です。
幼少期の頃を含めると、53年間の人生のうち26年間、ほぼ半分を県外で過ごしています。都会と地方の暮らしを客観的に語れる立場だと思います。
お金の話は当日じっくりするとして、都会から地方移住を考えている人に言いたいことをまとめました。
その1:移住にまつわるネガティブな話はあまり気にしない
この数年くらいだと思うのですが、「都会から地方に移住した結果悲惨な目に遭った、こんなはずではなかった」という記事が増えているように思います。
例を挙げるまでもありません。「地方移住 失敗」で検索してみてください。
そういうネガティブな話を見ると、地方移住するのはやめておこうという人もいるかもしれません。しかし自分の周りを見てみると、移住して満足している人はたくさんいますし、移住して後悔している人が全くいないわけではありませんがごく一部です。
そもそもネットの記事というのは、記事の隅にあるバナー広告に誘導するために出しているものが大部分で、センセーショナルな見出しをつけたほうがクリックを稼げます。そして「移住して幸せになりました」よりも「移住して人生詰んだ」のほうが人目を引くのです。そういう情報を真に受けるのはほどほどにしておきましょう。
移住する前にある程度問題点を想定しておくというのは大事なことです。でも、都会でいま生活してる人は、今も将来も全く問題も不安も無いのでしょうか?今の生活を続けて20年30年後も笑って暮らしている自分を想像できていますか?地方だって同じです。
生活環境を変えられる状況であるのなら、積極的に自分のやりたい人生を検討してみるべきではないでしょうか。
また、都会に住んでるのに「田舎は閉鎖的」「時代遅れ」「不便」ということをわざわざ書き立てる人がいます。そういう情報についていつも思うのは「いつの話だよ」ということです。昔に比べるとネットのおかげで情報格差は縮まってますし、都会にいても地方にいても通販でモノを買う人は増加の一途です。大学進学などで県外生活の経験のある人(場合によっては海外)は珍しくなくなり、「よそ者」に対する拒否反応は確実に下がってます。
私も大野の田舎で地元の人と付き合いがありますが、農作業のために機械を操作したり野菜育てるために計画的に動いたり周囲と協力したり害獣害虫対策したりと、むしろ都会暮らしの人よりも知見や知性が求められる環境だと思います。
昭和の時代の田舎の、ネガティブな姿だけを思い浮かべている人というのは、情報がアップデートできていないと思います。だいたいそういう人たちというのは都会の自分の生活にも不満を持っているのでしょうが、それを自分の住んでいる地域ではなく日本という国のせいにしているように思います。
私が東京から福井に戻ってきた13年間の間にも、地方には変化がありました。都会より少し遅いかもしれませんが、「近現代化」の波が来ているのです。
その2:スモールスタートで始めてみる
とは言え、移住してみたら想定外の出来事に面食らうことというのは少なくないと思います。自分の場合は東京に住んでいた頃も年に何度か帰省していていろいろ情報を得ていたので思ったほどはギャップがありませんでしたが、今まで住んだことのない土地に移り住む場合には段階を踏んだほうがいいと思います。
まずは今回のような移住イベントに足を運んでみる、移住相談員の人に話を聞いてつながりを持つ、私の宿のような地元の話が聞けるようなところに泊まってじっくり情報を得る、今の居住地との二拠点生活をしてから本格的に移住してみるなど、自分とその土地の相性が良いかどうか、致命的な障害となるようなことは無いかなどを見極めた上で移住を決めたほうが良いと思います。
私が住んでる福井県については、移住相談員制度やお試し定住プログラム、交通費補助などいろいろな制度がありますし、北陸新幹線が開通してから首都圏への割引切符が出るようになりました。
仕事も家も、ある程度時間をかけたほうが自分に合った良いものが見つかります。まずは今の場所に住みながら、移住を考えている地域とのかかわりを持つところから始めるのが良いのではないかと思います。
私の宿にも移住相談に来られる方が来られます。酒が入っていることもあり(笑)、良い点も悪い点もありのままを話すことにしています。むしろ悪い点のほうが重要でしょうね。福井の場合、一番は雪が多いことですが・・・(でも地震と台風はあまり来ないです)
移住に関する情報というのはネットでもある程度は得られます。でも、こういうイベントに実際に足を運んでみて、その地域から来た人たちと実際に話をしてみることで自分と肌が合う土地なのかどうかを感じるのではないでしょうか。人間、そういう要素の積み重ねが決断につながるのものです、
その3:移住して直面する変化を楽しむ
そして準備万端で移り住んできたとしても、仕事でも日常生活でも想定外のことは次から次へと起こると思います。何事も予定調和で物事は進みません。しかし、計算違いでイヤな思いをしたとか損をしたという話がある一方で、その逆のサプライズもあるのです。
自分の場合だと、宿を構える時に300坪の庭の草刈りをどうしようと思いましたし、周囲の人間から草刈り大変だからやめとけとも言われました。しかし開業前、地域の草刈りに参加した後で、近所の人たちが10人やってきて1時間庭の草刈りをしてくれたのです。
いろいろ問題を想定する必要はありますが、それらの問題の全てが解決しないと移住はすべからず、でもありません。前向きに行動していれば何かが起こります。
宿自体も(これから「とほ宿への長い道」で書くことですが)、最初の半年はびっくりするくらいお客さんが少なかったです。このままお客さん来ないんじゃないかとも思いました。でも、来てくれたお客さんの宿への評価は自分の想定以上でした。この記事を書いている時点で、Googleマップ口コミ評価5点満点で4.9です。
そういった想定外の事態に対応していくのはラクなことではありません。人間、慣れ親しんだ人たちと一緒に今までと同じようなことをしていたほうがラクなものです。そして、自分自身が変わっていかないと変化には適応できません。そして、自分が変わるということは新しい世界を見ることでもあるのです。今まで知らなかった世界。
仲間はすぐに出来ます。自分の場合、東京大阪にいた22年間の間にできた知り合いよりも福井に戻ってからできた知り合いのほうが多いです。イベントなどにいくと10代20代の若い子たちとも交流の機会があります。
もちろん全ての人が、地方に来れば必ず幸せになりますとは言いません。人によりけりです。でも、毎日日の出と沈む夕日を見たり、摘みたてのミニトマトを口にしたり、鳥やカエルや虫たちの鳴き声を聞く生活を送っていると、今まで自分が大事にしていたもの:社会的地位とか評判とか所有物とかだけが人生の大事なものではないと感じるようになりました。10人いたら少なくとも1人や2人くらいは自分と同じようなことを感じるのではないかと思うのです。
今回はお金の話をするために東京に行くのですが、地方での生活で得られるものの中にはお金に換算できないものもあるのです。