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読書感想文『孫子・三十六計』
「彼を知り己を知れば〜」
「疾きこと風の如く〜」
文学に疎くとも聞いたことがあるこれらの言葉。
どちらも中国兵法書の名著『孫子』に記されたものです。
2023年の一冊目、コロナ禍初期に買い、以降電子の海で積読されていた『孫子・三十六計 ビギナーズ・クラシックス 中国の古典』(角川ソフィア文庫)を読み終えたので、感想を上げていこうと思います。
※要約ではなく感想文なので、これを読んだところで内容はわかりません。手っ取り早く内容を知りたいという方はブラウザバックしYouTube等で要約動画を見ましょう。
『孫子』を読もうとしたきっかけ
中国兵法書の代表的名著であり、一部を除き争いのない平和な時代である現代でも、競争社会を生き抜くために要約し語り継がれる兵法書。
なぜそれを今読もうと思ったか…と、書きはじめて改めて考えたのですが、それらしい理由が思いつきません。何かあるかと考えてたら電車を乗り過ごしてしまいました。
この本を買った当時、卒論で武田信玄を扱っていた頃でした。
武田信玄といえば「風林火山」の旗印。「風林火山」といえばコッペパン…「孫子」。「孫子」といえば競争社会を生き抜く術が記された歴史的名著!これから社会人となるであろう自分にうってつけの本ではないか!?と思ったのでしょうか。
また、「古典こそ至高」的ムーブが自分の中にあり、ちょうどbookwalkerの50%還元セールもありました。
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なので一気にビギナーズクラシックスシリーズを六冊買ってしまいました(結果積読)。
ちなみに「ビギナーズクラシックスシリーズ」とは、角川ソフィア文庫が出している古典の解説本です。
「原文→訳文→解説」の順で記されており、時代背景や当時の風習、聞き馴染みのないワードなどを図説込みで詳しく解説されてます。
名前の通り、初心者向けの内容でわかりやすく、私の高校では古典の授業で先生が使っておりました。
そして積読を消化しようと思ったのは、今年の目標の一つが「積読消化」だったからです。
「買って満足」ではもったいないですからね。出した分は頂戴せねばです。
…嘘です。そんな高尚な考えはありせん。新しいデスクトップパソコン代を貯めるために今は手元にあるもので楽しみたいと思ったからです。
ついでに転職も考えてるので、それに活かせればなと…
うん。それだな、書きながら思いつきました。転職に活かすために読みました!
下準備の大切さを記した『孫子』
紀元前4〜5世紀、日本では頭がハート形の土人形を作っていた頃に記された『孫子』
感想としては…「すげー!」「なるほど…」の連続!
かつて歴史的敗北を喫した「2021年新卒就活夏の陣」では、情報不足が否めなかったと反省しっぱなしでした。理想や想像ばかりを追求し、相手が求める人材像をアピールすることや、自分の能力で太刀打ちできる相手かを調べるところまで行き届きませんでした。
今回初めて、読み進めてビビッと来たところにはマークを引くようにしました(忘れ気味でしたが)。
そこを紹介していこうと思います。
五事七計
最初の編である「計篇」にて記載されていたものです。マークしようという意思が強かったのが分かりますね。
五事七計、五つの事柄(「道」「天」「地」「将」「法」)を調べ上げ、7つの計(「主」「将」「天地」「法令」「軍事力」「士卒」「賞罰」)を比較する事で、戦う前から勝敗がわかるとのこと。
これ、本編では戦場における事柄で説明されているので「ほーん…」くらいで流してしまうかもですが、身近な物事に当てはめると割と分かりやすいと思います。
私は現職場と転職先候補とを比較するために用いてみようと思います。以下がそれぞれの対応表とそれに則った比較です。
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こうして比較してみると、長所短所がはっきりと確認できて「この会社いいかも〜」とか「んん、ここは…」と考えることができます。
また、例えば「天地」と「法令」を重視し、「主」や「軍事力」はあんまし気にしないという見方をすれば、また優劣が変わるかもしれませんね。レーダーグラフにしてみてもいいかも知れないと思いました。
これは本当に知れてよかったと思ってます。ジャンジャン使って身につけていきたいと思ってます。
度量数称勝
四つ目の編、形篇に記された考えです。思い出したんでしょうね、マークすること。
その中で語られた「度」「量」「数」「称」「勝」の順で考えると良いというのも参考になりました。
地形を測定することで、そこに必要な物量がわかり、そこから兵量を割り出すことで、予測される相手方の兵量と比較することができ、勝算があるか図れるという考えです。
これまた転職に置き換えてみましょう。
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段階的な思想が大事だということです。ライバルと同じ土俵に上がるのであれば、その土俵がどういったものかを確認し、有利な立ち位置や技を考え、それを身につけ習得する時間を調べ…と、そんな感じで段階づけて考えていけば勝算を精度高く割り出せるのではないかという話です。
当たり前っちゃ当たり前なのかもですが、単細胞生物並みに脳を使わない生活を送ってきた私にはガッテン!な内容でした。これも活かしていきたいですね。
…以上です。
本当はもっといっぱいあるはずなのですが、マークのし忘れで記憶からすっ飛んでおります。また今度読むのが早くなった時にでも読み返して、マーク付け直しリテイク版を上げるかもです。
ただ「ちょっと…むずいかも…」と思った点もあります。
それは最序盤で語られ本書の大きなメッセージの一つでもある「兵とは詭道なり」というもの。
戦争は相手を騙し混乱させて負担少なく行うというもので、兵の命を預かる将としては大事な教えです。
しかし私は今のところ戦場に立ち、誰かの命を背負い立つ予定はありません。また、転職・就活での面談の場ではゴリゴリに職歴やスキルを偽って入社できても、実力以上の要求をされてしまい困ってしまいます。
なので、実力ちょい上くらいで盛りを留めておく。または要求されるスキルを死に物狂いで手にしてから挑む必要があります。どちらにせよ難しい…
この本は「下調べ」に重きを置いていると感じました。最古で最高の兵法書が言うのであれば間違い無い。本書に倣い、この競争社会を生き抜こうと思います。
戦場での振る舞いを記した
『三十六計』
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さて、孫子孫子とそればかり上げてきましたが、本著にはもう一作の兵法書が取り上げられております。それが『三十六計』です。
記されたのは五世紀中期。日本ではでかい墓を作ったり馬や兵士の形をした土人形が作られた頃です。
孫子が戦争になる前段階の「勝算、作戦、下準備」をメインテーマに添えていたのに対し、本書は「戦場での相手との優劣・戦況に対しどう振る舞うか」がメインとして記されています。そのため読んですぐ実行できるものではなく、実際に戦場に立った際に活きる書と言えるでしょう。
私はこっちにはあまり合いませんでした。
「賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」という言葉があります。これでいうと私は思いっきり愚者の方でして、戦場に立った経験がない状態ではそこで何が活きるのか、さっぱり想像つかないのです。
そのため、この本はたぶん戦場、私にとっては就活時の面接の際に活きるのではないかと考えました。
ただいかんせん面接のことは意識がすっ飛んでたので、さっぱり覚えてないのです…自分の言いたいこと言うためだけに立ってましたからね…今もそうですがその時からキャッチボールが苦手なんですよ。なんなら投げるのも苦手。
なので「あの時あーすりゃよかったのか」すら考えつかない。もうちょい記憶の鮮度が良い時に読みたかった本かも知れませんね…
戦への準備と戦時の対応。双方学べる名著
統括です。
『孫子・三十六計 ビギナーズ・クラシックス 中国の古典』、解説も豊富で訳もわかりやすい。
また、「孫子→三十六計」と言う掲載順も「準備→戦場」と言う風に感じられて、この一冊で戦の立ち居振る舞いがまるっとわかる内容となっております。
願わくば受験や就活といった人生における大事な合戦前に読みたかったですね。そうすれば受験や入社選考といった大戦にもうまく対応できたかも知れません(たらればの域を出ませんが)。
ですが幸い私はまだ新卒一年目。ピチピチヤングマンですからね、まだ活かせるチャンスはあるはずです!
この書を活かしてどこまで戦えたか、経過とともに報告できたらいいなと思っております。