絵が苦手だと、ずっと思ってきたあなたへ 8
線の練習から始めましょう
それでは「大人のための美術教室」を始めましょう。
まずは質問です。
あなたは、絵を描くための基本は何だと思いますか?
紙と鉛筆? 絵具? 観察力? 描くための技術?
いえいえ、
それは「線」です。
そんな当たり前なこと…
そう思われたかもしれませんが、絵を描きなれてない生徒を見ていると、1本の線を意識して絵を描くことは、ほとんどありません。
あなたも、そうではありませんか?
まずはこの意識を変えることが、とても重要なのです。
絵を描くためには、たった1本の線がこんなにも重要なんだと気づき、実践しただけで、それだけで絵は変わっていきます。
そして、この1本の線を描くというシンプルな行為の中に、1人ひとりの個性や感性が表れるのです。とても面白く興味深いことです。
では、やってみましょう。
A4サイズくらいのコピー用紙など2枚と、鉛筆を用意してください。
1枚を横向きに置きましょう。そして、紙の端から端まで定規を使わず、横線を5本引いてみてください。
そうそう、上手く引けないからと言って、消しゴムで消して書き直さないでくださいね。
どうですか? まっすぐ引けましたか?
ゆっくりていねいに引いた方、サーッとスピーディに引いた方など様々だったと思います。ここにも個性が表れていますね。
紙の幅は、29,7㎝あります。普段この長さの線を引くことは、あまりないと思いますので、まっすぐ引けなくても気にしないでくださいね。
では、もう1枚の紙を同じく横向きに置いてください。
今度は先ほどとは違い、引き始めから終わりまで、1本の線に集中して気持ちを込めて、まっすぐに5本引いてください。出来るだけ等間隔で。
あっ、でも力を入れないでくださいね。リラックスして引きましょう。ここ大事です。
どうですか? 2枚を比べてみてください。
どちらの線が良いですか?
良いというのは、しっかりと意識した線が引けているということです。
生徒に聞くと、9割ほどが2枚目の方が良いと答えます。授業では、隣に座る生徒同士で交換して、お互いに意見交換もしますが、答えは同じです。
もうお分かりいただけたと思いますが「絵を描くためには、たった1本の線がこんなにも重要」ということは、こういうことなんです。
今まで絵を描くときに、こんなに線を意識したことはなかったと思います。ですから、これからは1本の線を意識して絵を描いてみてください。
それだけでも絵が変わってくると思います。
また2枚目では、等間隔で引いてくださいとも書きましたが、ここにも皆さんの個性が表れます。
何センチ間隔とは言わなかったのですが、どのくらいの間隔で引きましたか?
授業で生徒の線の間隔を見てみると、紙の上の方に数ミリの間隔で引く生徒もいれば、紙の幅いっぱいを使って引く生徒もいます。本当に個性を感じます。
実はこれも、表現のための個性に通じているのです。
「大人の美術教室」今回はここまでです。
お知らせ
前回お話しした「大人の美術教室」を開催する運びとなりました。
長年「川崎市多摩区にある木村ピアノ教室」を営まれていらっしゃる木村先生のご厚意で、一室をお借りして「KATO美術レッスン」として始めます。
「木村ピアノ教室」は地域に愛され、20年以上も続けて通う方や、親子で通う方もいらっしゃる、とても雰囲気の良いピアノ教室です。
音楽と美術のコラボという新しい試みです。
どんな化学反応が起こるのか、軌道に乗ったら、そちらもお伝えしていきたいと思います。
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