ひとり寂しく台湾最北端の駅で哀愁を感じてみる
北の最果ての地。
私はこの言葉を聞くと、雪が降る哀愁漂う光景が脳裏に浮かんできます。
暗い過去から逃げ出したい人が、コートで身を隠してひっそりとやってくる場所、と勝手にイメージしています。(ドラマの見過ぎ?)
そこで今回は、ひとり寂しく身をひそめて、台湾最北端の駅へ哀愁を感じるショートトリップをしてみようと思います。
まずは地下鉄淡水信義線(レッドライン)に乗り、北へ向かいましょう。
車内のざわめきをBGM代わりに聞いていると、電車はいつの間にか地上に出ます。
ここからは駅に停まるたびに、ざわめきのボリュームが小さくなっていき、哀愁の地に近づいている気分が高まります。
空席が目立つほど車内がすいてくると、終点のひとつ手前紅樹林駅に到着。ここで、台湾の北の果てにある駅に向かう列車に乗り換えます。
紅樹林とはマングローブのことで、駅前はその名のとおりマングローブの森が広がり、都心から遠く離れ哀愁の地に近づいていることを実感させてくれます。
最北端の駅は、この森の先なのでしょうか。
暗い過去を背負い、身をひそめながらひとり寂しく北へ向かっているドラマの主人公になりきり、乗り換える列車のホームへ向かいましょう。
ホームにつくと、近未来的な電車が停まっています。
「これが哀愁を感じる場所へ導いてくれる電車?」
出迎えてくれたのは、年季の入った骨董品のような列車ではなく、南国の力強い太陽を反射させてピカピカに輝いているライトブルーの電車です。
少し拍子抜けですが、とりあえず乗ってみましょう。
崁頂(カンティン)行きと漁人碼頭(フィッシャーマンズワーフ)行きが交互に来ます。北の果てを目指すには、崁頂行きに乗車し終点まで行きます。
路線図(中国語のみ)
ドアはボタンを押さないと開きません。
近代的な電車ですが、ローカル線の風情もあるのがうれしいですね。
知っている人に見られていないか、周りを確認しながら音をたてずにそっとドアをボタンを押し、車内に乗り込みます。
電車は郊外のマンション街につくられた高架線を軽やかに走っていきます。
ひとり寂しく北へ向かう主人公になりきって乗ったのに、なんだか場違いです。
15分ほどたつと、電車は道路の真ん中を走ります。
窓の外を流れる風景は、相変わらずマンションばかり。
本当に哀愁漂う北の果ての駅まで連れていってくれるのでしょうか。少し不安になってきます。
90度の大きなカーブを越えると、すぐに終点の崁頂(カンティン V11)に到着します。
「ここが、台湾の北の果ての駅?」
周りは、建設中のマンションと、マンション建設予定の柵で囲まれた荒地があるだけ。哀愁も情緒も何もありません。
無人駅で、トイレはもちろん、ゆっくり座って休む場所もありません。
夏の直射日光をよける場所もなく、ただ暑いだけ。
冬は海からの吹きっさらしの風で寒さに震えることになります。
漫画によく出てくる「ガーン」という文字が、頭の中に浮かんできました。
ここまで、暗い過去を背負い、身をひそめながらひとり寂しく北へ向かっているドラマの主人公になりきって来たのに・・・
気持ちを切り替えて、ここまで来た証拠に「台湾最北端の駅」の看板を撮影。
このまま台北に戻ってもガッカリ度数100%のショートトリップになってしまいます。
もう一つの終点漁人碼頭(フィッシャーマンズワーフ)へ行けば何か収穫があるかもしれません。
ここからはドラマの主人公ではなく、観光客モードに切り替えて行ってみましょう。
紅樹林駅方面へ戻り、2つ目の濱海沙崙(V09)で漁人碼頭行きに乗り換えます。
乗り換えるついでに、90度の大カーブの場所で撮影してみましたが、「女王の御所」の看板が気になって上手に撮影できませんでした(笑)
漁人碼頭は夕日の鑑賞スポットとして有名ですが、天気の悪い日が多くきれいに見える日はあまり多くないようです。
この日は運よく夕日がきれいだったので、夢中になってカメラのシャッターを切りました。
ドラマの主人公になりきって行った台湾最先端の駅には、哀愁の代わりに絶望を感じましたが、最後に映える夕日を鑑賞できたので、とりあえず満足できるショートトリップになりました。
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淡海輕軌(淡海ライトレール)
・台北MRT淡水信義線紅樹林駅から乗車・崁頂(カンティン)行き 漁人碼頭(フィッシャーマンズワーフ)行きともに1時間に3本程度
・紅樹林駅で1日票(1日乗車券)を購入すると便利です。1枚50台湾元(約250日本円)
・台湾最北端の駅、崁頂は駅前に何もありません。
食事やトイレは、歩いて10分ほどの場所にあるフートコードを利用してください。
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