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”演者の”心まで動かすステージ【インタビュー:あやさん】

ステージ一つあれば音楽やダンス、演劇やファッションショーなど、様々な表現の場になります。
キャンパスコレクションは、それらを大学生が中心となり企画・運営をするイベントです。
あやさんはそこで4年間、Zepp Hanedaや大阪ATCホールなど、多くの現場で映像や音響を学びました。大学卒業後は1度の転職を経験したのち、クリエイティブスクールMONAQAにて講師として活躍。
キャンパスコレクションをはじめ様々なイベントを通して、会場で使用される映像や音源のクリエイター育成をしながら、自らがスタッフを務めることも。
裏方だからこそ見渡せる”景色”を伺いました。

舞台をつくる裏方の道へ

ー事前にMONAQAのインスタを見ていたんですが、オンデマンドで講座をして、キャンコレのイベントでアウトプット。その運営をしてるっていう形で?
そうです!

ー映像とか音響とか、ステージに上がったり色々あると思うんですけど、あやさんは今どの役割を?
音響です!でもキャンコレの時は実は映像方面だったんです。サウンドチームでもあるけど、映像作ってた人(笑)

ー元々キャンコレに入ったのはどうしてだったんですか?
サークルの先輩から「映像学べるところがあるねん!」って言われて、映像学びたかったし、そうなんや!って。MONAQA(が創られる)よりちょっと前、ほぼやってることは一緒だけど、CCCS、キャンコレクリエイティブスクールっていうのがあって、そこで学んでたら「実はキャンコレっていうのがあるんや…!」って先輩が言い出して(笑)そっちの方が量としていっぱい作れるから、じゃあそこで作らせてくださいって。

ー元々キャンコレで映像制作をやりたいと思ったのはどうしてだったんですか?
基本学生で運営をしてて、学生だけでこんな大きいイベント作れるんや!っていう驚きがあって。始めからプロってレベル高すぎてついていけないってなるけど、みんな年齢も近いし、一緒に頑張ろうっていう仲間だったら、ここで頑張りたいなって思ったからです。

ー確かにプロに急に混ざるってなったらハードル高そうですね。
そう、何も経験してない人間がいきなり「プロのコンサートで裏側してください」って言われてもそんな、音がこうでああでムリムリ!ってなるけど(笑)例えば地域系のお祭りで、とかならミスはしたらあかんけど、多少は許されるみたいな。

ーじゃあ、元々大学入った段階で映像制作に興味あったのはそれまでの経験からですか?
そうです。中学で吹奏楽部して、高校の時ダンスでずっと表舞台に立ってきたけど、この環境って舞台を作ってくれてる人がいるから成り立ってるなって思ったら、次は裏方に回りたいなって思って。大学では映像とか音響とか。欲を言えば照明くらいまで学べたらいいなみたいな!

ーキャンコレで身につけたことを仕事に繋げる人は多いですか?
意外と普通にサラリーマンに行く人とか、OLになる人もいるから、クリエイティブな映像とか音とか、デザインとか学んでたとしても、普通に違うとこで仕事してる人が多いです。

ーあやさんは就職後も、という感じで考えてたんですか?
うんうん!就職後もで見てました。プロの人とも関われるから、その人に「どうやったらいいんすか??」って聞いたりして(笑)
このカメラマンもすごいんです(取材時は不在だったMONAQAの社員のデスクを指す)。この前万博の広報の方にお声がけいただいて、博報堂とか有名な企業とバトルして、みたいな!そこでは残念ながら落ちちゃったけど、声かかるだけでも凄いなって。

ー博報堂とバトルってすごいですね!
そうそう(笑)そんなんあり!?って。博報堂の方が多分お金持ってるし、やれることいっぱいあるだろうけど、それと肩並べられるっていう。

ーそれくらい第一線でやってる人たちと関わる機会がたくさんあったんですね。
そうです。音響だったら実際に流れてるラジオの途中で流れるジングル作ったりとか、CD作る為にレコーディングしたりとか、裏側が聞ける。ジャニーズの裏側とか!

心動かす、動かされる環境

ー大学卒業して、その分野を一度完全に離れたんですか?
はい、完全に離れて、ミュージカルの音響会社に。宝塚とか、「ファントム」っていう…オペラ座の怪人は女性目線だけど、ファントムは男性、その怪人側のお話。

ーそれはキャンコレでやってたこととはまた違うってことですか?
そう、違ってます。音は音でも、キャンコレは事前にレコーディングして作る側だったけど、ミュージカルの方に行ってからはPA(事前に制作するのではなく、作品の進行に合わせてリアルタイムで音を調節する役割)だったので。

ーじゃあ…同じようで違うんですね。
全然違いました(笑)

ーその1社目に行こうと思ったのはどうしてだったんですか?
その会社が、笑顔や感動を謳ってるところで、私的にもみんなで一緒にやるなら笑顔でいたいし、誰かを感動させたいって気持ちがあったから、この会社いいなって。社長さんとも喋らせてもらって、めっちゃいいな、入ろう!ってなったんですけど…東京の会社で、ディズニーランドの音響もやってるし、名だたるミュージカルの音響もやってる。他にもコンサート部門でドーム規模の音響をやってきてる。だから、大手の音響屋さんでした。私には(今まで)レコーディングをやってたとしても急にPAだったから、いきなりのレベルの差に驚いちゃって辞めちゃったかなっていう感じです。

ーやってたこととしてはいいなと思ってたけど、という感じなんですか?
そう、相手が急に”城田優”になったら…あああちょっと失礼しますねみたいな(笑)普通に髪の毛とかネイルとか触らないといけないので、こわ!ってなって。

ーその後転職して元々やってた分野に戻ったのは、何かきっかけが?
今の社長さんに相談したんですよ。ちょっと仕事きつくて辞めたいと思ってるんですけどって言ったら「うちは本当は音響バリバリやりますって場所ではないよ。ただ、あやがしたいなら音響の営業もとってくるし、それまでいきなりは稼げないと思うから元々やってたデザインとか映像の案件とかも振れるし、全般的に動いてくれたら嬉しいな」っていう話になって。私も音響だけっていうのはあんまりって思ってたので、映像もできる、デザインもできる。色々できること増えるのっていいなって思って、じゃあ…お邪魔します!って入りました(笑)

ー音響だけじゃなくてそれ以外もっていうのは、何が根っこにあるんですか?
根っこは、「イベント屋さん」です。だから、イベントに関わるものを製作します、音響当日やります、スクリーンに映るスライドのデザインとか映像とかも作ります。カメラマンもやります。広報もします。舞台進行もします。みたいな(笑)めっちゃ色々あるから、本当にその場によって、脳みそ変えないといけないです。

ー覚えることいっぱいありそうですね…!
あります、でも本当に、これだけやってると本番で会場に行ったら「今映像さん立ちこんでるから喋るのやめておこう」とか「今は言わない方がいいかな」とかわかってくるので、全体を見れてる気がして嬉しいです。

ー高校までダンス部としてやってきて「ステージに立つ側」という選択肢もあったと思うんですけど、裏方をやってみようと思ったのはどうしてだったんですか?
ダンス部ではダンス部でも、みんなやっぱり上手くて。高校2年からレギュラーにはなれたんですけど、でもめちゃくちゃ下手くそだったなって自分の中でも思うところがあって。それだったらダンサーを支える側に回りたいというか、舞台を作る側に回りたいと思って、映像もだし、音響もだし…照明も勉強したいし、演出家の勉強もしたいし(笑)みたいな感じです。舞台に関われればなんでもいいっていうスタイルで。

ー1つのイベントを作るっていうこと自体は昔から好きで、高校でダンス始める前から思ってたんですか?
ダンス始める前は思ってなかったです。

ー高校でダンス部として活動する中で?
そうです。

ーそのイベントをやること自体に強い思いがあるのはなぜなんですか?
なんだろ…なんでしょうね(笑)でも出る側としてお客さんの拍手をずっと覚えてきてたというか、感動してたし。初めてダンスを観た時に衝撃を受けたというか、勝手に感情移入して涙出るくらい、すごくダンスが刺さったからこそ、私もなれたらと思ったし。なんか”心動かす、心動かされる”そういう環境っていいなって感じに思ってました。

ー心を動かすだけじゃなくて、動かさ”れた”?
れた!(笑)普通、お客さんとして感動するじゃないですか?けど、舞台出てる側からしたら、「感動してるお客さんを見て感動する」んですよ。その感覚は今まで持ってなかったんですけど、ダンス部入ってそれを経験して、めっちゃいいなって。だから、今舞台の裏方としていますけど、そうやってお客さんが感動するのが当たり前で、その感動してるお客さんの姿を見て感動できる出演者と関わりたいっていうか、一緒に舞台作りたいなとは思ってます。

”イベント屋さん”としての軸

ーその思いもあって一度転職して…MONAQAに来てからはどれくらい経ちますか?
今年の4月からなので、半年くらいです。

ー今はキャンコレのイベントだけ関わってるんですか?
キャンコレもですし、全然違う音響会社の人から仕事もらってっていうのもあります。講師じゃなくて、いちプレイヤーとして。今日もこの後和歌山の熊野本宮っていうところで仕事があります。

ー全然キャンコレだけじゃないんですね!
ないですね(笑)音響で言うと細々したものからあるし、あとは同時通訳。同じ会場にいるけど、大きい会社なら、海外の人もいて日本の人もいての会議があると。でも意思疎通取れないって時に同時通訳の人がいて、その人が通訳しやすいように音響する!っていう仕事もあったり。あとはバスケットの試合の応援で、そのチームの掛け声合わせるために曲をかけるとか。

ー今後もプレイヤーと講師、両方やりたいですか?
両方やりたいです。

ーキャリアとしては、しばらくMONAQAで考えてますか?
MONAQAで考えてます。特に「この有名な舞台に関わりたい」とかはなく、全然小さい舞台だったとしても、お客さんが感動して、出演者が感動してくれれば、私の中ではいいお仕事できたなって思うので。

ー仕事でありながらも、趣味というかやりたいこととマッチしてるってことですか?
そうですね!私の目論見としては2029年までに世界旅行したくて。船で。そのホームページ見たら「音響探してます」っていう。大きい船、豪華客船なので中でほぼ毎日イベントやってるらしくて、そのイベントの音響が必要だと。ずっと船に乗りながら、旅行しながら、音響できたら最高だなと(笑)

ーその、29年までにっていうのは?
それがピースボートっていうプログラムらしいんですけど、28歳以下が安く行けるらしくて。2001年生まれなので2029年だったらまだ28歳っていうので。音響屋さんとして行くので、儲けはするんですけど。でも100万くらいは一気に飛んでくので。せめてちょっと安くっていう意味で(笑)

ーじゃあ今は、ピースボートに参加するのが一番の目標ですか?
もう一つあります!ダンスの大会の音響さんやってみたいなっていう。ただただ観たいだけなんですけど(笑)それをスタッフとしてお金もらって観れるっていう最高の現場なので。頑張ってる高校生とか、中学生とか下の子たちでもいいから、大会で再生ボタンをピッてする人やってみたいです。

ーやっぱりダンスやってた側としては気になりますか?
気になりますね。その再生ボタン押す人を業界で音の「叩き」っていうんですけど、叩きで活躍されてる方と、何かわからないけど繋がって。その方からで、小さいイベントですけど、来月かな?エイベックス関連のイベントがあって…ピッてやります(笑)

ーじゃあずっと軸として、イベントでお客さんも出演者も心動かせるっていうのがあってそれをどういう環境やステージでやるかっていうことですか?
そうですね!

ー本当に楽しみながらやってますね。
ありがたいでございます。

あとがき

ライブやイベントを観に行く時の視点が、一つ増えたのではないでしょうか?私たちが客席で体験しているのは、観客も含めてその場所に関わる人すべてで創り上げられる空間なのかもしれませんね!
あやさん自身の心が動いた経験から仕事の軸ができていて、イベントをつくることへの高い熱量を感じました。
あやさん、ありがとうございました!

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