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人口減少社会と持続可能性

□景色
まるでジェットコースターのような絵である。現在の私たちはジェットコースターが落下する位置に立っている。

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日本社会は「持続可能性」という点において、“危機的”と言わざるを得ない状況にある。次の3点は特に重要。

①財政と世代間継承性における持続可能性
政府の債務残高ないし借金は国際比較しても際立った大規模に及び、私たちは膨大な借金を将来世代にツケ回ししている。

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②格差拡大と人口における持続可能性
生活保護を受ける人の割合は1995年以降、着実に増えている。生活保護に至らずとも生活が困窮、雇用の不安定な層も増えている。若者に対する社会保障その他の支援が国際的に見ても極めて手薄であり、若者の貧困は未婚化・晩婚化→出生率低下→人口減少の加速という悪循環を生じさせている。

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③コミュニティないし「つながり」に関する持続可能性
社会孤立度が、日本は先進諸国の中でもっとも高い国、社会である。家族以外の“他人”への無関心や他者との支え合いの忌避感が、債務残高累積の一因となっている。

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人口減少、債務、格差、孤立と多面にわたる問題が存在している。しかし、見方を変えれば「真の豊かさ」に向けた新たな出発の時代とも言える。

□本

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『人口減少社会のデザイン』
広井良典 東洋経済新報社 2019年

目次
イントロダクション
第1章 人口減少社会の意味
第2章 コミュニティとまちづくり・地域再生
第3章 人類史の中の人口減少・ポスト成長社会
第4章 社会保障と資本主義の進化
第5章 医療への新たな視点
第6章 死生観の再構築
第7章 持続可能な福祉社会

要約
平均寿命と幸福度はともに、経済発展の初期段階では経済が豊かになるのに伴い上がっていくが、ある段階を過ぎると両者の関係はランダムになり、経済以外の要因が大きくなってくる。

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一定の経済成長あるいは物質的豊かさを実現した国、社会はこの点を踏まえて持続可能性を検討したい。

超長期的に見てみる。

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人類は約1万年前に急激に増えやがて定常化し、また300〜400年前から急激に増え再び定常化に向かいつつある。急増の原因の前者は植物光合成のエネルギー利用(農耕)、後者は化石燃料のエネルギー利用である。

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急増から定常化に向かうとき、人類はそれぞれ精神や文化に革新的な変化が生じている。例えば、BC5世紀前後の「第2の定常化」の時はギリシャ哲学、仏教、儒教、老荘思想、ユダヤ教が生成された。私たちは今、限りない拡大・成長の時代の後に来る「第3の定常化」の時代、精神的・文化的な価値創造と発展の時代を迎えている。

□ひとりごと
後日、音声公開予定

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