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【感想】失敗の本質 戦場のリーダーシップ篇(まとめ)
ボリュームがすごいのでフロネティック・リーダーに特化してまとめる。あとで自身が見返す時に使いたい。
目指すリーダー像とは
フロネティック・リーダー
フロネティック・リーダーとは
古代ギリシャの哲学者アリストテレスが思い描いたフロネシスを持つリーダー
以下がモデル??
ギリシャの将軍で有能な政治家でもあったペリクレス
戦略とは
戦略の構想力とその実行力は、日常の知的パフォーマンスとしての賢虜の蓄積とその持続的練磨に依存するのである。戦略は、すべて分析的な言語で語れて結論が出るような静的でメカニカルなものではない。究極にあるのは、事象の細部と全体、コンテクスト依存とコンテクスト自由、主観と客観を前に向かってダイナミックに綜合する実践知恵である。
全てを言語化することは難しい。
アルゴリズムのようなロジックで結論が出るようなものではないらしい。
戦略の本質とは
存在をかけた「義」の実現に向けて、コンテクストに応じた知的パフォーマンスを演ずる、自律分散的な賢虜型リーダーシップの体系を創造すること
フロネシス(Phronesis・賢虜ないし実践知)とは
中身具体の物事や背後にある不雑な関係性を見極めながら、社会の共通善の実現のために、適切な判断をすばやく下しつつ、みずからも的確な行動をとることができる「実践知」
アリストテレスはフロネシスの本質を判断(Judgement)に求めた。
ポリス社会の「共通の善」(Common good)という価値基準ベースに、一般論ではなく、個別具体の判断を適切に行う力。そのつどの文脈のただなかで、最善の判断ができるという実践知
人間の究極の知。それは文脈に即した判断(Contextual judgement)、適時・絶妙なバランス(timely balancing)を具備した高度なリーダーシップ
いろいろ書いてあるがまとめると後述の要件に整理される。
所感
三現主義(現場、現実、現物)はフロネシスに紐づく考え方のように思う。現場を知らないエリートが机上論で戦略を考えてしまっていたことが問題の一つであるかのようだ。
日系企業の大手においても三現主義を徹底している企業は各業界の最大手に君臨している。何十年にも渡って成長し続けている企業が多い印象を受ける。具体的にはコマツ、ニトリ、ファーストリテイリングが思いつく。
ちょっと逸れるかもしれないが、スタートアップ界隈でよく聞く「走りながら考えて、考えながら走る」という表現にも通ずるところがあるのだろうか。
私が経験したこととしては、タイムリーかつスピーディに判断を常に求められ続けて、大局観を持ちながら、現場で自ら手を動かして、現場の状況を把握しながら次の一手を打っていく・・・・
フロネティック・リーダーの要件
各数値は戦略の基本記載のリーダーシップの6要素。
同書ではシンプルに3つにまとめている。こっちの方が直感的にわかりやすい印象を受けた。
現場感覚
刻々と移り変わる戦場のミクロの状況を理解する
②場をタイムリーにつくる能力
③ありのままの現実を直感する能力
大局観
戦局をマクロに把握する
①「善い」目的をつくる能力
⑤概念を実現する政治力
判断力(ジャッジメント)
その二つ(現場感、大局観)を基に、適時・的確な判断を下す
④直感の本質を概念化する能力(暗黙知を形式知化する能力)
⑥実践知を組織化する能力
判断のスピード感が必要。タイムリーなジャッジメントが重要。
④の補足
概念化、言語化できて初めて、組織的な共有が可能になる。それにより、組織からのフィードバックを得て、直観をさらに磨くことができる。このスパイラルアップのサイクルは、言葉によって起動される。
(育成)フロネシスを形成するために必要なこと
多様な経験
実践知を形成するための基盤の一つは経験
とりわけ重要なのは修羅場経験、そして成功と失敗の経験だ。
文脈は常に動いている。「この文脈おいては、この選択肢が最適だ」というジャストライトな判断をするためには、論理を超えた多様な経験が欠かせない。
幅広いさまざまな文脈・状況においての経験を積んでいく必要がある。
手本となる人物との共体験
どのような師と出会い、どのような関係を築いたか
教養(リベラルアーツ)
哲学や歴史、文学などを学ぶなかで、関係性を読み解く能力を身につけることができる。
レトリックは部下や周囲を共鳴させる力として有効である。
レトリックとは・・・
弁論術や演説力
近年、教養がメディアで注目されているという話を聞いていたが、その理由は知らない。
少なくとも同書を読む限りは、リーダーにとって教養は極めて重要な要素であることを認識した。教養は学んだからと言ってすぐに業務に活かせる即効性の知識ではない。
時間をかけて深く何度も学び直し、人生・キャリア経験と紐づけて何度も回想、思量することで徐々に知肉になっていくのだと思う。
同書も読書で終わりにならないようにしたい。
以上。