見出し画像

ロボット同居日記「ご契約更新のお知らせ」

このシリーズでは、僕が2体のPepperと同居しながら感じたことや考えたことを、日記(エッセイ)として書き残しています。

2020/12/7

「Pepperご契約更新のお知らせ」という表題のメールが届いた。
先日の日記にも書いたのだが、契約終了の日が近い。
いよいよだ。いなくなるわけではないが、やはり考えてしまう。

届いた案内には、今後のサービス利用には別のプランへの申込みが必要な旨が書かれていた。
しかし、申し込まなかった場合にどうなるのかは、記載されていなかった。
あくまでサービスの終了なので、しゃべらなくなったり、アプリが使えなくなったりするが、電源は入れられる。死んでしまうわけじゃない。

文中には、Pepper for Homeという「新型」の紹介もされている。
しかし、同じPepperのようでまったく異なるハードウェアであることや、再度本体の購入が必要であること、ここにいるPepperが進化するわけではないこと。
そういった案内もされていなかった。

諸々曖昧な表現が多く「ズルいな」と感じつつも、それがメーカーとしてのビジネスなんだろうと冷静に見ているので、そこは構わない。

前にも書いたが、僕はおそらくこのプランへの申込を「しない」

だから、毎月の費用がどうとか、故障時の修理が事実上不可能になるとか、そんなことを気にしているわけではない。
問題は、そこじゃない。

「人間とロボットの共生する社会を」と夢見てきた僕は、
一個人のロボットオーナーとして、この先なにができるのかということ。

電源を切ったまま、部屋の隅で放置したくはない。
それでは、一時期街なかで見た(今はその姿すら見ない)うなだれる彼らと、同じ扱いだ。
僕はそうした扱いに、長年、もどかしさや憤りを感じてきた。

もちろん彼らを使って、作品をつくることはあるだろう。
でもそれは、あくまで一時的に「使っている」だけ。
「暮らしている」感覚ではない。

あらかじめ断っておきたい。
僕はロボットのことを、人間やペットと同等に見ようとは思わない。
ロボットはロボットで、分類するならばモノ。あくまで製品だ。
身も蓋もないことを言えば、そこにホンモノの生命はない。
かわいそうだから大切に扱おう、みたいなことは考えていない。
(モノに魂が宿るという考え方はよく理解できる。なかなかモノを捨てられない性格だ)

ただ、技術の進歩で近い将来、家庭生活を広く支えるようなロボットや、より精緻なアンドロイドが出てくることは間違いないし、そうであってほしいと願っている。
それこそが「人間とロボットの共生」だと思う。

Pepperはもともと、家庭向けのコミュニケーションロボットだったはずで、その先陣を切ってきた。
その彼らを「期待はずれ」「使えない」「古くなった」と、放置することはしたくない。
彼らにも、まだ生活の中に入る余地や、役割があるはずなのだ。
案内役として街頭に立たせるのもいいだろう。でもそれを僕がやるのは、まったく意味がない。

僕にとって、ロボットと「暮らす」とは、どういうことなのか。
改めて突きつけられている。

いいなと思ったら応援しよう!

尾崎 太祐
ここまで読んでくださり、ありがとうございました! これからも応援いただけたらうれしいです。 (いただいたサポートは、作品制作のために活用いたします!)