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【レポ】新ポルノの幕開け ポルノグラフィティNewアルバム「暁」

2022年8月3日。ポルノグラフィティ、5年ぶりのNewアルバム「暁」がリリースされました。どれほど待っていたことか。

聴けば聴くほど、そして聴くときのシチュエーションや自分のメンタルによって、聞こえ方は変わってくるのですが、いったん初聴き時点での感想をまとめます。

ちなみに発売前の予想(妄想)はこちら。良ければ併せてどうぞ。

全体の感想

とにかく曲ごとの落差がすごい、1曲1曲が強いラインナップとなっております。そもそも5年分のシングルが6曲入ってますから、もはやミニベスト盤。ハードなアップテンポの曲は少な目ですが、体に一音一音がしみこむような珠玉の15曲ですね。

作曲の方は二人とも作っていますが、またテンポの難しい曲をこんなにそろえて・・・これでツアー回るんですよね?ライヴ大丈夫ですか、演奏できます?(演奏できるんでしょうね)。

全曲の作詞が晴一ということで、いつもに増して短編小説集のような雰囲気。フィクション作らせたら晴一の右に出るものはいません。詩的な美しさ、時代を切り取る言葉のチョイス。20年のキャリアは伊達じゃない。

そしてジャックの豆の木以上に無限に成長する昭仁の歌。劇場版「昭仁の声 無限成長編」はまだまだ終わらない。ファルセット(裏声)がふんだんに使われており、きれいですね。どこまで音域を広げるのでしょうか。

また、ハキハキした滑舌でガツンと歌詞を届けるのが得意な昭仁ですが、今回は語り部というか、熱や情はこもりつつも、曲の世界観(ストーリー)を届けるような歌い方に聞こえました。いわば、主演俳優じゃなくて狂言回しみたいな。晴一の作詞も相まって、よりストーリー性を強く感じます。

ストーリー性について、一通り順番に聴いて感じたことは、「生」を感じるなあということ。

「生」。「人生」であり、「生存」であり、「生命力」であり。
一寸先は闇、当たり前が当たり前でなくなった今この時代に、ポルノが描き出す「生」のストーリーたち。今の時代に今のポルノが描く、人の営み。人の生き様。

もちろん曲ごとに世界があり、同じアルバムに収録されているからといって、共通のコンセプトを狙っているわけでは必ずしもないと思います。ただ今回は全曲にMVが作られ、2日間限定で映画館での上演も行われます。曲同士の「繋ぎ」となる映像もあるとのことで、そう思うと、曲同士の繋がりのようなものも多少はあるかもしれません。

「ああ、これポルノらしいよね」というのに甘えず挑戦しつつ、ポルノの代表的な強みである「晴一詞の世界観」「昭仁の歌」を、ある種突き詰めてみたアルバムとなっているように思います。

曲ごとの感想

No.1 暁

先行配信もされていたリード曲。
厳かに、まさに夜明けのように始まるイントロからの、疾走感あふれるポルノお得意のポップロック。アニソン的な曲を作らせたらポルノは輝くに決まってるんだから。「アニマロッサ」「THE DAY」とかの系譜が好きな方は絶対好き(僕調べ)。

1曲目から超高音をかまして、聞き手の息の根止めにかかってます。アルバムタイトルと同じタイトルということもあり、このアルバムのリリースするにあたってのポルノの力の入れようがこの1曲でわかるはず。

歌詞の世界からは、苦しくても、這いつくばってでも、希望が訪れることを信じて。絶望や失望すらも携えて、そんな生きる力を感じる曲。MVも公式YouTubeで公開されてますが、破壊力がえげつない。

韻を踏んだ歌詞にどことなく鬼道の詠唱感を感じるのは僕だけでしょうか。語呂がいいんでしょう。疾走感を含め、今秋から始まるBLEACHのOPにピッタリだと思うので、ぜひ、ぜひ起用してください

No2.カメレオン・レンズ

シングル曲。世界観は前曲と落差がナイアガラの滝ほどありますが、「暁」の勢いをそのまま突き進むと聴くほうもえらいこっちゃなので、いい意味で少しブレーキをかけるこのテンポ感が案外心地いい。

「暁」で夜明け前を見た次に、この曲で深夜の世界へ。前曲でも暁/赤月・・・太陽と月が出てきて、この曲でも月が登場。次の「テーマソング」も青空が出てきますが、この空の情景が移り行くのがビジュアル面でも面白い。

人が見ている「今」は、人によって同じようで異なる。人それぞれで見ている世界は同じようで違う、ということを美しい色遣いで視覚的に描く曲。一人ひとりの人生は交わるようで交わらない。交わった時に見える色は全く同じではない。その人の営みに感じる哀しさと美しさ

なお視覚的にもやられますが、聴覚の方も昭仁の息遣いでやられますし、ギターソロが静かながら雄弁で、またいいんだ。

No3.テーマソング

リリース時点での最新シングル。夜の世界から一転、泣きたくなるほど爽やかな青い空が広がる応援ソング。もうだから前曲との落差がマリアナ海溝
今の時代だからこそポルノが届けたい曲、という意図も存分にあるメッセージ性の強い曲。

正直シングル単体で聴くと、今の僕には少々重くて、同じテーマでも同曲のカップリング「IT’S A NEW ERA」「REUNION」の方がスッと聴けるのですが、割とヘビーな曲から始まるアルバムで、泣けるほど爽やかなこの曲を序盤の締めに持ってくるのはいいなと思いました。肉汁たっぷりのハンバーグディナーを食べてワイン飲んだら、アイス食べたくなるじゃないですか。それです。

「カメレオン・レンズ」のカップリングである「前夜」、この曲のカップリング「IT’S A NEW ERA」まで無理やりつなげると、歌詞の「空」繋がりで世界の広がりがより豊かになります。

No4.悪霊少女

リリース前からタイトルの怪しさでファンが湧いた話題曲。ストリングスでゆったり始まったと思ったら、めちゃくちゃテンポの難しい曲が始まる。1回目聴いたときは1番のテンポが本当につかめなかった。これを普通に歌えている昭仁の化け物さが改めて分かる

おどろおどろしいホラー曲と思いきや、低音が不穏なアクセントになりつつもサビは熱量の高い曲。僕は特別音楽に詳しくないですが、米津玄師やYOASOBI、Adoとか、最近トレンドの複雑な曲作りに通じるものを感じるメロディライン。

歌詞の方は、女の子の初めての恋煩いを「霊に憑りつかれた」と喩える世界観。まあ恋の病ともいうものね。終盤に出てくる「七色」というのは虹ではなく「七つの大罪」なんですかね。純粋な少女が、いよいよ恋を経験して、欲を覚え、大人になっていく。

また、「女性は純であれ」という男性(父)視点の女性観と、「女は恋をして強くなる」という女性(母)視点での女性観が1番と2番で対比されていると思っていて、少女の恋煩いというテーマの短い曲の中に、皮肉めいた晴一節が炸裂する曲。

No5.Zombies are standing out

最近のポルノを代表するシングル曲。以前も書きましたが、ファンが「こういうのを待ってた」という重厚でポップさもあるロック曲であり、ポルノ自身の自信にもつながったという曲。最近のポルノを知らない人には、まずこれを摂取させれば沼らせることができます

前曲が悪霊というのもあって、ゾンビというワードに引きずられがちですが、苦しいことの多い現実と戦いながら救い(希望)を求めて必死に生きようとする様を描いており、ダーク・ホラーというよりも人の生命力を感じる世界観となっております

ギターソロがえらくかっこよく、声が嗄れるほどに叫ぶ祈りのごとく。また昭仁の方は、英語詞の発音が癖になる。「ゾンビ」じゃなく、「ザォンビ」です。

No6.ナンバー

前回のライヴツアーの最終版で披露された新曲。ストリングスのイントロが美しく、ゆったりめのバンドサウンドの中で、生き物や自然風景などがたくさん登場し、ジェリービーンズのようなポップな言葉も出てくる、飛び出す絵本のような柔らかいイメージを持たせる曲。荒廃したゾンビの世界から一転。だから落差が(略)。

一方でちゃんと歌詞を読むと晴一先生さすがですという感じ。「ナンバー」は「数字」の意味ですが、現代社会の様々な数字・・・例えば時間、成績、お金・・・にとらわれて大事なものを見失っていないかい?というようなメッセージを感じます。

世の理を科学的に、合理的に解釈しようとするのは、人の世の発展に直結することでもあり、人の知的欲求を満たすものでもある。一方で、自然は自然で図らずも成り立っていて、時が来れば季節は巡るし、あるがままに成立している。
ラスサビなんかは割とダイレクトで、あるがままの今を生きれば明日は明日の風が吹く、というような心のゆとりを説いているようにも聞こえます。

正直ライヴDVDで見た時はあまり印象に残らなかった(メビウスの方がインパクトがあった)のですが、聴けば聴くほどに世界観が深く感じる曲だと思いました。

No7.バトロワ・ゲームズ

編曲・トオミヨウさん節炸裂の電子音がダンサブルなループ曲。また前曲からの落差…。前アルバムでの「MICROWAVE」の衝撃、ここに再来す。

CoDみたいないわゆるサバイバルゲームのような、割と過激な曲。「ナンバー」が絵本とすればこちらはバーチャル。TVゲームの世界を歌っているように見えて、リアルの世界のことを言ってるのかなあ。それとも、スマホが普及した今この時代で、いつでもどこでもバーチャルの世界に入り込み、現実を忘れていくことを皮肉っているのか。

あるいは、「敵はどこだ?」「178028-29」ほど直接的ではないけど、ゲームの中でも現実でもいとも簡単に人は死ぬということを暗に言っているのでしょうか。この曲にやられる方が多発しそう。

No8.メビウス

前回のツアーで披露された新曲。なぜか初聴きの時から水の中のようなイメージが浮かびます。気持ちいい海や湖ではなく、仄暗くて音も光もない、そんな水の中で唯一聞こえる昭仁の歌って感じ。

アコギのやさしいメロディから始まり、サビにかけて壮大に盛り上がっていく曲の流れが美しい。メロディで好きな曲はと聞かれたら、メビウスは間違いなく上位に入る。

こちらも小説のような世界観。Aメロの昭仁の歌い方にも、どこか幼さも感じる印象なのですが、初めて歌詞を見てみたら謎が解けました。ひらがなが多い。というかほぼ漢字がなくて、難しい言い回しもほとんどない。ライヴで聴いたときには気付けない、歌詞を見て聴くことの良さですね。

柔らかい雰囲気とは裏腹に、愛するゆえの殺人(愛する人には一番きれいな状態でいてほしい=今が美しいから老いないように死んでもらう、とか)みたいなストーリーで聴いてたんですが、どうなんでしょう。え、この考え方サイコパスですか?

「メビウス」とは歌詞にも出てくる「メビウスの輪(帯)」のことで、永遠や循環を表すものとして用いられるもの。主人公は「えいえんってこういうこと?」と言ってますが、捩じってつなげたそれは、いびつな関係でしかない。結果「こわれてしまった」二人の関係は救われない。

No9.You are my Queen

予想通り恋の歌だったんですが、予想以上にプロポーズ感がある曲でした。「ジューンブライダー」「My wedding song」に続く、一生の愛を誓う結婚ソング!?ポルノな意味での「女王様」じゃなくてよかった。

あえて録音したかのようなノイズが入っていて(「月明りのシルビア」と同じですね)、まさに恋人へのプロポーズのために弾き語りを録音しました、みたいな作りになっています。曲自体が短めなのも、ラスサビの前にあえて余白があるのも、プロが狙って作った結婚ソングじゃない、素人の日常感がある。海外のSNSで流れてきそうな、イケメンのイギリス人が演じる映画のワンシーンっぽい。

永遠を終わらせた「メビウス」の世界観から一転、世は諸行無常、いつ何が起こるか分からない世界で、この愛だけは永遠と誓う。その尊さと幸せをストレートに謳う、ある意味新鮮なポルノです。

No10.フラワー

シングル曲。人の力強さ、生命力、人の生の美しさにアプローチした、恋愛的な意味とは異なる意味での「愛」の歌。漢字一言で言うなら「凛」。

静かに始まるイントロから、生命力を伝える力強いサビ。この曲だけでカロリーがすごく高いですが、前曲が比較的軽いタッチの曲なので、より重厚さが際立つ。アルバムに収録されることで、より良さが引き立った曲やなと思います。

また、かわいいプロポーズ曲の後に聴くもので、シングルとして聴くときと少し印象が違う。一輪の花から、二輪の花のイメージに聞こえます。プロポーズ後の、二人の人生の中で、お互いが依存しあう関係性ではなく、一人の人間として尊敬しあうカップルのイメージが浮かびます。アウトロの余韻もあって、二人がこれから歩む数十年という、時の重さすら感じる。

全く異なる曲同士を無理やりリンクさせていくのはいかがなものか、という意見もありますが、曲順で印象が変わるというのはアルバムのいいところ。人によって聴き方・受け取り方が違うからこそ、曲の世界観は広がるし、人生は豊かになる。

No11.ブレス

こちらもシングル曲。ありのままの自分でいいのか迷う人の横でそっと寄り添ってくれる曲。背中を押してくれるというよりは、ちょうど良い距離感でいてくれるのがこの曲のいいところ。関西人の「知らんけど」にほんの少し愛を足すとこの曲になります(違うと思う)。

この曲は例えるなら心地よい風。特にサビのメロディは、前曲で登場した力強く咲く花がそよそよと風に揺れるような、そんな爽やかさを感じます。「ブレス」は休符の意味で歌詞中に登場しますが、アルバムに入ることで、いのちの「息吹」のような意味も感じます。

SNSが発達して、ともすると簡単に人の人生と比較して、自分の人生を卑下できてしまう時代。変化が速く激しく、その変化へ応えよと日々迫る社会。そんな中で自分の道を自分のペースで歩んでいくことを歌う。「幸せについて本気出して考えてみた」に通じる、派手ではない、描いた夢の通りでもない、でもそれなりに良い人生を肯定してくれる曲

No12.クラウド

ポルノの新たな失恋ソング。メロディが美しすぎる。別れの曲なのにところどころ鐘の音が聞こえるのが、叶わなかったチャペルに立つ二人が偲ばれるようで切ない。でも全体の曲調はどこか晴れ晴れとしていて、明るいのがギャップで切ない。

直訳の「雲」ではなく、システムの方のクラウドでした。クラウドに保存された思い出と、形に残ってはいないけど確かに心の中にある思い出の対比。割と未練たらたらの歌詞にも読めますが、昭仁が歌うとじめじめした感じがなくてカラッと聴けるのは、本当にポルノの強みだと思うんですよね。

単純な失恋ソングとしても素敵な1曲だと思いますが、クラウドという現代人が慣れ親しんだシステムを切り取って、人の営みを描き出す晴一先生の視点に完敗。乾杯

なんでも写真に撮れば思い出に残した気になる。クラウドに保存すればいつでもどこでも思い出に接続し、誰かとシェアすることもできる。それは素晴らしい発明で享受すべきものあり、その時感じた思いや心を世界に繋ぎとめるものでもある。
同時に、電子保存できない、形に残らない感情や思いは、確かに存在するのに、シェアすることも人に見せることもできない。そちらにも目を向けてはどうですかと、晴一先生は仰るわけですね。

これ、このストーリーの前段には「You are my Queen」のような幸せがあったことを踏まえて聴くと、悲しいね。

「(恋の思い出を)波がさらう」と言えばポルノの失恋ソング代名詞「サウダージ」にも同じ表現が出てきます。クラウドのストーリーは現代人にとってリアルな世界観でもあるので、これからこの曲にお世話になる人も増えることでしょう。

No13.ジルダ

タイトルから「ライラ」みたいな異国情緒な曲かと思ったら、映画のワンシーンのような、あるいはインスタのストーリーにでてきそうな、ムーディな大人のおしゃれラブソング。

メロディの雰囲気はどこか懐かしさもありながら、TikTokとかで流れそうな最近の子の曲っぽさもある。…インスタもTikTokも良くわからない男子の戯言です。
最近の若い世代はギターソロを飛ばして音楽を聴くというニュースを見かけましたが、晴一先生のおしゃれなギターを聴きなさい。この主演俳優と女優の横でそっと奏でられるかのようなギターソロを聴きなさい

冷静に考えると、彼氏がいるらしい女性にアプローチするなんてと思わなくもないけど、大人の嗜みって感じですかね。まだぼくにはわかんないや()。ちょっとまだ聞き込みが必要と感じています。

No14.証言

本アルバムで一番に先行配信された曲。前曲のキラキラした余韻もそこそこに、イントロなしで囁きボイス「♪悪魔が黒い翼・・・」。このアルバムはとにかく落差が。

「証言」というタイトルで、どんな厳かな曲が来るのだと思っていたら、想像を超えてくるポルノはさすが。二人の愛を見守っていた、星たちの証言。なんておしゃれ。

「星が見ている」じゃなくて「証明」でもなくて、「証言」するんですってよ奥さん。目は口ほどにモノをいうと言いますが、星はただそこに在ることで口ほどに愛を示すわけだ。
ただこれ続きがあって、「証言してくれるはず」なんですよね。主人公の願望が「はず」という言葉に込められている。もう晴一先生、僕の負けです参りました。

直訳すれば愛する人を失った悲しみを歌う曲だと思うんですが、もう一次元上の愛を語る壮大さを感じるメロディに、行間を想像させる小説のように奥行のある世界観。ルーマニアあたりの森の中を彷彿とさせます(ルーマニア行ったことないけど)。
ただ悲しみに暮れる様子だけではなく、受けた愛の大きさを改めて感じながら前へ進もうとする意志も感じます。その愛はまさにクラウド保存できないけど、確かに胸にあるもの。それを証明するのは、雲と同じく空にある、星たち。ああすてき。

美しくも力強いバラードはポルノの得意とするところ。サビでぶわっと世界が広がるメロディは、まさに一つの舞台でも見ているかのような空間の広がりを感じる。ストーリーの運びも含め、ミュージカルで得た感性が反映されているんでしょうか。

ポルノのバラードはあまり聞いたことがないという人も、ぜひこの曲を聴いてほしい。アルバム曲ながら、入口としてふさわしすぎる。

No15.VS

20周年のアニバーサリータイトルでもある50枚目のシングル。リリース当時は周年ライヴのお祭り騒ぎだったこと、そのライヴでの演出(「プッシュプレイ」とのリンク)もあって、ポルノの軌跡とこれからの決意を感じさせる疾走感のある1曲だった。

アルバムの最後を飾る曲として改めて聴くと、やっぱりエモーショナル。その「決意」はさらに本アルバムでアップデートされている

まだコロナ禍になる前の、あの大入満員の東京ドームで見た光景。それはまさにポルノとファンの双方にとってかけがえのない景色。今はまだ先の見えない状況だけれども、あの光景がポルノとファンにとっての希望となっている。新たな時代にもう一度再現したいものでもあり、一方でそれに固執するわけではなく次のステップへ進む糧でもある。

そう思うと、アルバム最後の曲に「VS」を選んだのは、ポルノグラフィティという夢がこれからも続いていくことを改めて「約束」する曲にも聞こえるんですよ。

きっとこのアルバムは、プロモーションの状況から見るに、ファン以外の方にももちろんアピールしたい自信作だと思うのですが、新規層は獲得しつつ、今までともに夢を追ってきたファンたちにも、改めてよろしくと、そう言っているように思うのは、ファンの驕った解釈かもしれませんが、そう感じずにはいられないのです。

あとがき

最近はサブスクで好きな曲の好きな部分だけをカスタマイズして聞く、というのが普通になってきました。その中で「アルバム」として、順番に収録曲を、初めから終わりまで通して聴くという良さも感じました。
好きな順番で聴けばいいと思うのですが、少なくとも作り手の方は何かしら意図して順番をつけているので、それをまずは楽しむのがアルバムの楽しみ方かなと。

5年ぶりのアルバム。熱量の高いものが世に出されてしまいました。大丈夫か世の中、ポルノの熱に耐えられるか?
これを引っ提げてツアーをやるというのだから、もう僕は今から震えが止まりません。あ、大丈夫です、熱中症ではないです。

と、ツアーの前にまずは2日間限定の劇場上映。MVの世界をつなげて上映するという新たな試み。すでにシングル6曲と「暁」「証言」は公開されていますが、果たしてどんな世界を見せてくれるのか。取り組み自体がミュージカルに通じるところがあって、ミュージカル大好き男子としては胸が高鳴ります。

そしてアルバムの初回限定盤の特典「稀・ポルノグラフィティ」。今までライヴで演奏したことのない曲を、スタジオセッションという形でしゅうろくしたもの。いや、ライヴでやってくれよ!!と思いつつ、これからしっかり目に焼き付けたいと思います。

とりあえず初聴きの段階でしたためてみましたが、聴けば聴くほど世界が深まるのが音楽というもの。これから聞き込んで新たな世界を拓くかもしれません。

とにかくポルノグラフィティ、新アルバム「暁」、よかったよ。

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