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「 自然界のエクスタシー 」 富永大士 絵画展
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2024年、夏至の6月21(金)より6月末日まで
京都を拠点に活動している画家・富永大士による個展を
山口県宇部市グリシーヌにて開催いたします。
【 基本情報 】
「 自然界のエクスタシー / Ecstasy of nature 」
2024年6月21(金) - 30(日) 11:00 - 18:00(6/27(木)休廊)
於 GLYCINES (グリシーヌ)
〒755-0065 山口県宇部市浜町2丁目12-39 聖仁会ビル3F
https://maps.app.goo.gl/xvQhCDx1MSotQs4f8
*入場無料
会期中、終日作家在廊予定です。
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<ギャラリートーク>
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対談者:齋藤千鶴 × 富永 大士
タイトル:「 山を育てる 」6/22(土) 16:30-17:30(16:00開場)
無料、予約不要。お時間に余裕をもって、上記日時に会場にお越しください。
★ 詳細 ★(←クリックしてください)
<調香ワークショップ>
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寺田 紫 (テラダ ユカリ)/ 調香師)
作家と親交の深い寺田紫が、展覧会場にて、この場所ならではの
ワークショップを開催します。
6/22(土) 12:30-15:00(1 枠)「個人調香」
6/23(日) 11:00-13:30(4~6 名)「グループセッション」
6/23(日) 14:30-17:00(4~6 名)「アート作品を香りで表現してみよう」
★ 詳細 ★(←クリックしてください)
【 展覧会によせて 】
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自然界との交流。
屋久島に訪れていたときのこと。
「心を開いた人間がその場にいると自然界がエクスタシーを感じる」
という言葉がふいに出てきました。
人間である私たちは、風景を眺めてその美しさに恍惚となることがあるけれども
見られている自然界の側も、同じものを受け取っている気がします。
‥そして、極論を言うと、人間と外の環境の区別は、実はないと私は思っています。
私たち人間は、周りの環境から切り離された“ 視点 ”をもつ
不思議で特異な感覚器官なのではないでしょうか。
この不思議で精妙な身体全体をつかって
外界の自然を、更には人間の意識では捉えられない目にみえない世界をも
感じて味わうこと。
その時に感じて生じる自然界とのエクスタシーは
生殖行為のセクシャルな恍惚よりも動くエネルギーが大きい。
そのエクスタシーからは、何かが生まれるきっかけ、気配が発生します。
まず、無数の/無尽蔵の佳き可能性がその場に胚胎し
そこから実際にさまざまなインスピレーションや物事が具現化して
この世界をよりよい場所になるための
“ 何か ”が生まれ出てくると私は感じています。
このような発想で自然界に眼差しを向け、触れ合うことをはじめたら
この世界の認識の仕方や、変革期を生きる私たち人間の“ これから ”の在り方が
かわる気がしました。
■ 作家について ■
富永 大士 / トミナガ タイシ
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1979年5月12日 熊本県天草町ウエサク満月生まれ、大阪府豊中市育ち。
1998年 東京造形大学在学中より、東京や熊本、ベルリン、ソウルやバンドン(インドネシア) などの美術館やギャラリーで作品を発表。 近年はアメリカ・アリゾナ州のセドナやホピの居留区に訪問。2021年〜23年 青森市からの招聘で断続的に現地に滞在。その他、岐阜や屋久島、宮古島や高千穂などを訪れて 近代以前の文明についてリサーチし絵画を制作しています。
その他、金工アクセサリー「アウラ・ロコ」主宰。講演会「錬金術と植物の力」の共催(企画・運営)。こども芸術教室キッズラボ講師。
【 これまでの歩み 】
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富永はこれまで、オーソドックスな絵画表現をはじめ
歴史的な文脈のある特定の場所に作品設置するインスタレーションなど
空間全体やコンテクスト(文脈)にアプローチした作品を制作し発表してきました。
● 身体からはじめる(1996年-2005年)
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富永は、10代後半、大阪府立港南高校(現・港南造形高校)在学中より
自身の身体について感じ、観察することから表現を開始しました。
その内側に収まりきらない膨大なエネルギーが胚胎している身体を感じとり
その感覚について表現することからはじめました。
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ベルリンの壁跡。かつて存在した境界線上に人が入った立方体を設置。
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絵画=身体。
身体から出発した富永は、自分の表現について説明する「言語・語彙」が自分にないことを痛感し、20代は内省しながら書籍や文献を渉猟する時期を過ごします。
2005年には、なぜ日本人である作者自身が西欧由来のキャンバスという支持体に絵を描くのか?という長年の問いの答えとして、絵画の歴史や日本の近代化の歴史、自分自身の出自を徹底的に紐解く作業をしました。
そして「 絵を描くことは、キャンバスという装置に、図像(イコン)を“磔(はりつけ)”にする行為だ 」という結論をもとに “ Melancholic Saturnian ” CASO(大阪)を制作・発表しました。
そこでは、西欧(キリスト教社会)から端を発する
現代社会の枠組みをキャンバスにみたてて、我々日本人(表層的消費に明け暮れる存在)を、その枠組み=水平線と垂直線で構成された矩形=キャンバスに磔にする
巨大な作品が生まれました。
● 宇宙と子宮(2008年〜)
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キャンバスという支持体を自分の中で血肉化した富永は
次第に、日本独自の創造性の源泉である自然信仰や神道に接近していきます。
過去の人たちが目にみえない世界へどのようなアプローチをし、畏敬しながら生活を営んできたのか?という問いに、次第に表現のベクトルがかわっていきました。
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制作を通して、富永は
「身体は、天(目にみえない世界)と地(具現化されたもの)の中間に存在し
その両者を繋ぐ存在である」と確信していき、作品を制作するようになります。
そして「Manhole Painting(2010年)」に結実します。
“ ある日、博物館で銅鏡を観る機会がありました。
宗教上の目的で作られたその造形は、私は不意にマンホールにみえてしまいました。
そして「もしかしたら、人間はその時代に要請された意図や用途を越えて、
繰り返し似たような造形物をつくり、生活の中に取り入れるのではないか」と想像し
「銅鏡とマンホールは共に、都市の表と裏(目にみえない世界・地下世界)を繋ぐ異界の徴(しるし)」なのではないか、
と思い至るようになりました。
また、そういう視点で街にでてみると、マンホール=異界の徴の数は思った以上に多く、
線で結べば何かの像にみえてくる、夜空に煌めく星々-星座を想起させました。
「Manhole Painting」は、マンホールというひとつの造形物をつかって
都市あるいは人間の履歴を自由に読み解こうという試みです。”
2010年「Manhole Painting」プレスリリースより
● あたらしい磐座(2017年〜)
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富永は、文献を渉猟する時期(2000年代)を経て、2017年頃より
日本各地の聖地、信仰の対象となった磐座や巨木など、神の依代(よりしろ)に訪れる機会が増えていきます。
その場で得たインスピレーションをもとに制作するようになります。
本展覧会「自然界のエクスタシー」は、
さまざまな場所からインスピレーションを受けて制作された作品で
構成いたします。
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