ぶためんの悪魔的な食い方。
みなさんは、ぶためんをご存知だろうか。
28歳の筆者が、小学校時代に友人と食べていたことを懐かしむくらい、長く販売されているミニカップラーメンだ。
小学生の頃、近所の野口屋という駄菓子屋で買って食べていたのを思い出す。賞味期限の切れたお菓子を平然と置いていることで有名な店であったが、それでもぶためんが食べられる貴重な存在であった。
当時は学年×100円のお小遣いだったので、ぶためんを買うのすらひどく悩んでいた。高学年である5年生の時ですら、コロコロコミックを買うと残るのは20円だけだったからだ。今では好きなだけ食べられるぶためんも、あの頃はそれだけ贅沢な食べ物だった。
話を現代に戻す。
私の彼女はこれまでぶためんを食べたことがなかったのだが、私が夜のおやつに食べているのを見て、一口食べたいと言い出した。
一口だけならと与えたところ、もう一口、もう一口と食べ進めていき、気づけば半分くらい食していた。
汁だけ残ったぶためんを眺めながら、彼女は少し物足りなさそうな顔をしている。愛し彼女のため、私はそっと席を立った。
本当は1人隠れてやろうとしていた、当時の私がやっていた「悪魔的な食い方」を、仕方がないので彼女に教えてやることにしたのだ。
冷凍ご飯を温め始めた私を見て、彼女は怪訝そうな顔をする。彼氏が夜分にカロリーの高い麺を食べた後、米を食べようとしているのだ。そりゃそんな顔にもなる。だが安心しろ、ここからが本番だ。
レンチンが終わりホカホカに温まったご飯を、私はぶためんの残り汁にぶち入れた。彼女は「えぇっ」と声を上げ、「それ不味いでしょ」と異を唱えた。
そんなリアクションを取る彼女を他所に、私は米 in ぶためんの残り汁を口に入れた。
ほろり、と口の中で米がほどける。ぶためんの、胡椒と豚骨由来の香ばしい香りが鼻を抜ける。
まるで猫まんまの上位互換。至福。これが日本人ゆえの日本人たる幸せ。
美味そうに食べる私を見て、どうやら彼女は興味を示したようだ。「一口ちょうだい」と、まるでデジャブのような言葉を発した。
米inぶためんの残り汁を与えると、彼女は一口食べて、「おお、おいしいね!」と驚き笑顔を作った。
その笑顔を見るために、ぶためんは存在しているのだ。かつての自分と重ね合わせるように彼女を見つめ、私は幸せを感じていた。
勢いよく全て食べるのかと思いきや、三口ほど食べて、ぐいと米inぶためんの残り汁を私に押し出した。
「お腹空いてるでしょ。残り食べていいよ」
全部食べられるオチだと想像しただろうか。彼女はいつも斜め上を行く。お言葉に甘えて、残りを全て食させていただいた。こういうありふれた幸せを、これからも大切にしたいものである。
それにしても、最近やけに太ったように感じる。お腹がぶよりと出てきているのだ。ご飯を馬鹿食いしているわけではないのだが、果たして何故だろうか、見当もつかない。