これをまず知ってほしい。防災力を身に付ける考え方
防災力とは何でしょうか。
私が考える防災力とは災害時に命を守る力のことをいいます。
具体的には災害発生時に命を守る適切な行動を取れることであったり、インフラが整うまでの間、自給自足することであったり、様々です。
さらにその行動主体は個人である場合、自主防災組織などの地域コミュニティである場合と、様々な形があります。
個人レベルでも地域レベルでも災害時に自分で考えて、命を守る行動をとることが出来る力を総称して防災力というのだと私は考えています。
では、この防災力を身に付けるにはどうすればいいのでしょうか。
《備蓄品を用意する》・《防災グッズを買う》
こうした行動をとることは間違いではないと思います。
しかし、それが自分にとって必要なモノか考えずに、専門家がこう言っていたとかそういった理由で買うことは本当にに正しいでしょうか。
私は消防士としてこれまで防災指導を行う中で、「地震の時は机の下に隠れてください。」「防災リュックは備えておいた方が安心ですね。」とありきたりのことを伝えてきたのですが、ふと考えました。
住んでいる場所も違う、住んでいる家も違う、家族構成も違う。
そのような人たちに同じ行動の具体的な提案をしても何の意味もないのでないかと。
最も伝えるべきことは、自分たちにとってどういう行動を取ることがベストなのか考えるきっかけを与えることでした。
では、どうすれば災害時に取るべき行動を考えることができるのか。
次の3つのフェーズに分けて考えていくことで、自分たちにとっての答えがみつかると考えます。
《知る》 《想像する》 《行動する》
ここで、災害時の対応をスポーツに例えて考えてみたいと思います。
例えば、スポーツで相手チーム勝ちたいとき、皆さんはどうするでしょうか。
まずは相手チームがどういった特徴のチームなのかを知ろうとしますね。
相手はどんなプレイスタイルなのか、具体的にどんな攻撃を仕掛けてくるのか、知らなければ対応することはできません。
まずは相手を≪知る≫ことこれが一つ目のフェーズです。
次に、相手のチームのスタイルや攻撃は分かったけれど、いざ自分のチームと対峙した時にはどうなるのか。
自分のチームの戦力と照らし合わせて想像する必要があります。
相手のエースには自分のチームのエースをマッチアップさせるといったような戦略を練る作業です。
これが、2つ目のフェーズの≪想像する≫です。
ここまで、相手を知り、自分たちのチームと戦うことを想像してきたところで、いよいよ最後のフェーズである≪行動する≫にいきます。
戦う具体的なイメージが出来れば、戦う上での勝算や不安要素がそれぞれ見つかります。
勝つために、勝算となる部分を伸ばすための練習に取り組んだり、逆に不安要素を補うための強化練習をするのです。
やみくもに練習(行動)していても試合には勝てません。
相手を知り、自分たちを知り、それを落とし込んでいく作業を経て、練習に励むことで初めて試合に勝つことが出来ます。
災害対応においても同じことがいえると考えています。
災害とはどういったもので、どのような脅威があるのかを知る。
自分のまちで発生した時にはどのような猛威を振るうのかを想像する。
自分たちにとってのベストを考え出し、行動する。
防災力を身に付けるには、ただ行動するのでなく、行動までの動機付けが大切だと私は思います。
これから先、災害大国日本に住む私たちは、小手先の防災スキルでなく本質的な防災力が求められます。
防災力を付けるために、3つのフェーズ(知る 想像する 行動する)に分けて、段階的に取り組んでいきましょう。