「愛をもって向き合いたい」5つのコミュニティを横断するからこそ見える、僕なりの関わり方。
みなさん、「コミュニティフリーランス」って肩書きご存知ですか?
そんな肩書きをもつのは、今回のコミュニティの教室のゲスト、長田涼さん。
なんと現在5つものコミュニティの運営に携わっているらしい....!!
(さすが、コミュニティフリーランス!)
果たして、長田さんはどんなコミュニティに携わっているのか、そして運営するうえでどんなことを意識しているのか。
イベントに引っ張りだこの長田さんに迫ってみました。
※こちらはNPOグリーンズが運営するコミュニティの教室第3期のイベントレポートになります。
長田涼(ながた・りょう)
1991年京都生まれ。新卒でユニクロ入社後、スポーツイベント会社、IT企業と渡り歩いた後、2018年よりコミュニティを生業とするフリーランス「コミュニティフリーランス」として活動を開始。
コミュニティマネージャーやコンサルがメイン業務。1年間で15個ほどのコミュニティ運営に関わり、コミュニティの探究に日々の時間を費やしている。現在は5つのコミュニティ事業に携わる。
好きなものは、漫画・サウナ・カレー。
フレスコボールの日本代表選手もつとめる。
ーーーーーーー(ここからは講義の内容)ーーーーーーー
僕は今、5つのコミュニティに関わっています。
それがこちら。
①Wasei Salon
②T4 TOKYO
③渋谷をつなげる30人
④mint
⑤NPOグリーンズ(※今回、説明は省略)
一旦、僕が関わっているコミュニティがどんなところなのかザっと紹介してみます。
1.Wasei Salon
こちらは、21人限定のクローズドなオンラインサロンとして2018年4月にスタートしました。
最初は立ち上げ人である鳥井さんが招待したメンバーでスタート。
この21人は、向いている方向もやっていることも年齢も職業もバラバラなんです。
でも共通した僕らの価値観をもっていて。
それは、「納得した人生を歩みたい」ってこと。
このコミュニティ内で、具体的に何をやっていたかというと、メンバーのやりたいをカタチにする形式で様々なプロジェクトをやっていました。
サイボウズ式第2編集部とのコラボでイベントをやったり、ライブ配信をやってみたり、noteでのインタビュー記事で自分たちの価値観を発信したり。そんな活動を1年半くらいやっていました。
そんなWasei Salonなんですが、2019年8月からリニューアルしました。
具体的には、「これからの働くを考えよう」というテーマを置いて、活動をスタートしています。
なんでこのテーマにしたかっていうと、「働く」っていうテーマでイベントをやった時に、ものすごい反響があって。
そのイベントの時にみなさんの声を聞いてみると、みんな働くってことに「このままでいいのかな」とか疑問や不安、悩みを持っていたのが印象的で。
だから、「働く」をみんなで考える場をつくりたいと思ったんです。
現在は、21人から90人へ拡大しています。
(↓新規メンバーも募集しています!!)
2.T4 TOKYO
次は、卓球のできる複合施設「T4 TOKYO」です。
この施設には、レストランがあったりイベントスペースがあったり、卓球メーカーの物販が入っていたり。
T4 TOKYOは卓球を「コミュニケーションツール」として捉えて、卓球を通じたコミュニティづくりをしていて、そこのコミュニティ周りのお手伝いをしています。
また、T4 TOKYOは「オフィス×卓球」っていう文脈で商品作りもしています。
社内のコミュニケーション不足を感じる会社が多い中で、それをT4は卓球というコミュニケーションツールで解消しようとしています。
そこから、「働く×卓球」はもっと可能性を秘めているんじゃないかということで、オンラインコミュニティを立ち上げ、社外の交流の場をつくっています。
3.渋谷をつなげる30人
こちらはコミュニティ型のまちづくりプロジェクトになります。
これは、渋谷に何らかしら関わっている様々なセクターの人達が30人集まり、共創して価値を生んでいくっていうコミュニティになります。
これが今、気仙沼や京都、名古屋に広がっていて、つながりを通じたまちづくりをしようとどんどん広がっていっています。
4.mint
これは、コミュニティポイントのアプリで、ポイントカードをアプリでつくれるっていうサービスです。
コミュニティに貢献した人に対して、感謝のしるしとしてポイントを付与し、そのポイントを使ってグッズがもらえたり、イベントに参加できたりする仕組みになります。
ここが今挑戦しているのが、ファンとの共創。
一方的に価値を提供するのではなく、ファンと一緒に価値をつくっていけないかっていうのを考え、挑戦しています。
コミュニティとは何か?
僕が関わっているコミュニティの紹介が終わったところで、具体的な話に入っていきたいと思うのですが、、、。
まずその前に、そもそもコミュニティってなに?って話をしようと思っていて。
僕は、コミュニティって一言で言うと、
「関係性の集合体」
だと思っています。関係性が複合的に集まったものがコミュニティなんじゃないか。
ただただ人が集まっていればコミュニティになるわけじゃなくて、「一対一の関係性があつまったもの」、それがコミュニティになるんじゃないかって思うんですね。
それは、ヒエラルキーではなくて、もっとフラットで双方向な感じ。
僕ってTwitterで仕事を貰うことが多いんですけど、反響があるたびに世の中にコミュニティって概念や考え方が広がったなぁって感じています。
じゃあなんで、こんなに今社会でコミュニティが広がったを考えてみると、次の理由があるんじゃないかなと。
①情報過多な時代
情報が多すぎて、マスへの発信だけでは通用せず、1人に届けていくことが求められている。
信用できる人からの情報を求めている。
②これまでのコミュニティに対しての安心感が薄れている
会社や家族という昔からのコミュニティに対して安心感を感じなくなってきている。
③SNSの普及
誰もが気軽にコミュニケーションが取れ、繋がりやすい環境が整っている。
④信用経済の到来
信用が可視化され、経済圏が回る時代に。
人との関係性がより重要視されている。
ここで1つある研究結果を紹介しようと思います。
ハーバード大学の教授が70年間幸福論の研究をした結果があって。
簡単に紹介すると、人はどうやったら幸せになれるのか?っていうのを70年に渡って研究したという内容です。
例えば、幸せっていうと名誉があるとかお金があるってことをイメージするかもしれないですが、
実は、
「人生において、いい関係性を築き、いいコミュニティに入ること」
が人を幸せにするっていう研究結果が出ているらしいんですね。
僕はそれにすごく共感していて、僕がコミュニティを仕事にしたのも、人と人の関係性の価値や居場所っていう空間に価値を感じていたからなんですよね。
コミュニティによって人生の充実度が上がった経験があるんです。
コミュニティマネジメントとは
じゃあここから僕の仕事である、コミュニティマネジメントの話に入っていこうと思います。
始めに、コミュニティマネジメントってなんぞやって話から入りたいと思っていて、僕は一言で言うとこういうことなんじゃないかと。
それは、
「メンバーが安心安全を感じるための、環境・文化を醸成すること」。
これがコミュニティマネージャーの仕事なんじゃないかと思っています。
細かく話すときりがないので、いくつかコミュニティマネジメントで意識していることをピックアップしてお伝えします。
①数字と切り離す
→無理やりコミュニティにKPIを設定しがち(例:売上、所属人数)
→数字に踊らされ、本質を見失う方向に
コミュニティ運営において目標値を設定する時は、コミュニティ外に数値設定をすると良いと思います。
例えば、Twitterのハッシュタグの投稿数とかイベントの数や集客数とかメンバーのアンケート結果とか。
②マネージャー2人体制
→コミュニティマネージャーは孤独を感じがち
コミュニティマネージャーで集まっても愚痴を言い合うことがたまにあって、本来そんなんじゃなくない!?って感じることがあるんですよ。
みんなが楽しむ場をつくるのに、なんで運営側が苦しんでいるんだって。
でも2人いれば、孤独も感じないし常に壁打ち相手がいるから色んな角度から施策を打てると思います。
コミュニティマネジメントの特徴的なところって、複合的に様々なスキルが必要になるところ。
お互いの得意な部分と苦手な部分を補いあって「いかしあいながら」運営していくのがいいと思います。
コミュニケーションを担当する人と運営の仕組み・ロジックを整える人、とか。
③コミュニティ関係人口をつくろう
→コミュニティ内を強めるためにもコミュニティ外で活動していく事が大事
コミュニティマネジメントはコミュニティ内に注目しがちなんだけど、それだけ見ていれば良いってわけではなくて、コミュニティの熱量を高めるために、コミュニティの外と接点を持つことが大事だと思っています。
例えば、外とコラボしてイベントを開催すると、メンバーの人達が「自分はこのコミュニティのメンバーなんだ」っていうことを意識することができて、結果的に熱量が高まるんです。
あと外と接点を持っていると、施策の幅が広がったり、コラボして新たな価値が生まれたりすることもあるんですよね。コミュニティメンバーだけがもらえる特典を作ったり、イベントやサービスの割引ができたり。
コミュニティマネジメントでやってはいけないこと
いろんなコミュニティに関わったからこそ逆にやっちゃいけないってこともいくつか感じています。
それは次の3つで。
①入り口設計が甘い
→誰でも入れるコミュニティにはあまり価値がない
これは、Twitterで炎上するのと一緒だと思います。
コミュニティって共通の価値観で繋がっていて、炎上しないからこそ価値があるんですよね。
でも、誰でも入れる(=排他性がない)コミュニティには安心感を抱きにくいんですよね。
方法論としては、月額制や招待制をつくったり、入会前に面談を行ったりとかがあると思います。
しっかり自分たちのコミュニティの価値観を伝えて、「この場所だったら僕もなにかやってみたいかも」って思ってもらうことが大事だと思います。
②とりあえず始める
→「なぜコミュニティをやるのか?」が明確ではない
「なぜ」を突き詰めず始めるとうまくいかない可能性が大きいんじゃないかって思います。
なんでかって、コミュニティって万能薬じゃないんですよね。
コミュニティってすぐに成果が出るわけではないし、つくったら終わりじゃなくてつくってからが始まりだし。
地道だし、辛いことや泥臭いことがいっぱいある。
この問いって、そういうことを乗り越えたうえで達成したい大事な価値とか世界観ってなんですかってこと。
それを明確にしておかないと、途中で辛いからやめる、めんどくさいからやめるってことが起こってしまう。
だから始めるときや辛い時に、この問いに戻れるかが、大事なんじゃないかと思います。
③マネージャーが愛を持てない
→愛のないコミュニティマネジメントは見透かされ、メンバーは冷めてしまう
熱量や愛情って中心から広がっていくものだと思うんです。
誰よりもその場を楽しみ、愛でられるか。
メンバーの熱量をあげることを考えるときは、まず自分の熱量がめちゃめちゃ上がっているかどうかが大事ではないでしょうか。
最後に
本質的にコミュニティを理解し、向き合おう
いろんなテクニック論が流行っているけど、それにまどわされずに自分の目の前にいる1人の人やコミュ二ティにしっかりと向き合うことが大事だと思います!
ーーーーーーー(ここまでが講義)-------
ここまで読んでくださった方、ありがとうございます!
オンラインのコミュニティをいくつも運営している長田さんだからこその視点が多いところが印象的でしたね。
コミュニティってなんか流行っているからやってみようじゃなくて、「なぜ?」を突き詰めた先の実現したいことをしっかり見据えてアクションしていきたいです。
最後に印象的だった質疑応答を1つ抜粋。
Q:オンラインコミュニティを活発に継続するにはどうすればいいのか?
A①:自己紹介の設計をする
質問項目を10個ぐらい置き、パーソナルな質問をおいたりします。その回答内容をきっかけにして、コミュニケーションを活発化することを意識しています。
A②:即レスする
オンラインの難しさってコミュニケーションが可視化されてしまうことなんですよね。それってつまり、無視も可視化されるってこと。
人が一番コミュニティケーションを躊躇する時って、「無視されるんじゃないか」って時じゃないでしょうか?だから、何か言っても絶対反応してくれる人がいるっていう安心感を感じてもらえるように意識しています。
A③:直接会う場をつくる
場に対する安心感を感じてもらうために、みんなで集まる場をつくったり個別で会う場をつくったりしています。