「10代のテレビ視聴時間が激減」という総務省データを更に詳しく見てみる
「若者のテレビ離れ」を示す数字として、総務省の情報通信白書に載っていたこんなデータがtwitterで話題になっていました。
これは、総務省の情報通信政策研究所が大学の研究者の方と共同で2012年から毎年行っている「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」の結果を紹介したものです。
情報通信白書に載っているグラフを別の形で表したのが次のものですが、10代の休日におけるテレビの平均視聴(録画を除くリアルタイムでの視聴)時間は一日当たり87.4分となっており、4年前の数字の155.8分からかなり減ってきているとともに、30代の約半分、60代の約4分の1であることが分かります。
ただし、一般的な10代の人が休日にテレビを視聴している時間が一日当たり87.4分というわけではないことに注意が必要です。そもそもテレビを全く見ていない人がおり、その人の分も頭数にカウントした上での数字だからです。
実際、10代の人で、休日にテレビ系動画(リアルタイム視聴と録画視聴の両方を含む)を見た人の割合は59.9%となっており、裏を返せば10代の4割は全くテレビを見ていないということになります。全体で84.0%、60代では94.8%の人が見ていることからすると、やはり少ないですね。
比較のため、休日にネット系動画(動画投稿・共有サービス、VOD、ダウンロード動画の総称)を見た人の割合を示すデータが次のものです。
10代では58.5%と、テレビの59.9%に匹敵する数字となっています。逆に、9割超がテレビを見ている60代では、ネット系動画を見た人の割合は9.3%にとどまっています。
それでは、この59.9%のテレビを見ている10代の人は、一日に何分ぐらい見ているのでしょうか。ここで出てくるのは、“行為者平均時間”という概念です。これは、実際に情報行動を行った(例:テレビorネットを見た)人を“行為者”として捉えた上で、この行為者に限定して平均時間を計算したものです。
このように、行為者すなわち実際にテレビを見た人に限定すれば、10代でも165.5分リアルタイムで見ていることになります。それでも、ネット系動画を見た人では、動画投稿・共有サービスの視聴時間が209.0分、VODが208.3分となっており、やはり注目すべき数字です。
これを男女別に見てみると、更に興味深い数字になっています。
行為者に限定すれば、10代でも平均で165.5分リアルタイムでテレビを見ている中で、女性の方は200分近くとより長くテレビを見ているということになります。ちなみに、オンライン/ソーシャルゲームを利用している時間の男女差も大変興味深いですね。
最後に、この調査では、(デジタルメディアではありませんが)新聞を読んだかどうかについても集計しています。
休日に新聞を読んだ人は、10代はわずか0.7%であり、60代の51.7%とは大きな違いが出ています。また、40代の人ですら、5人に1人しか新聞を読まないということになります。
世代別にメディアの利用実態が違っているという話はよく言われていることですが、このように詳しくデータを見ていくと、新しい発見があり、より深い洞察が可能になるのではないでしょうか。