嗅覚の記憶:梅漬け干しは夏休みの思い出
梅干しの旨味をだすには、土用干しといって土用の日頃に3日3晩天日干しにするのが肝要だそうだ。なかなか3日晴天が続きそうな日はしばらくなさそうだし、8月に入ったら出張行くかもしれないし、漬けただけでも結構美味しくいただけるし。。。ということで干さないでこのまま出来上がりにしてしまおうかと思っていた。でも色々と調べてみると、続けて3日3晩じゃなくていいし、お彼岸すぎて秋口になってもいい、と柔軟性があるようだったのでそちらを採用することにした。で、今日、晴れてきたお昼過ぎからまずは全体の3分の1分くらいの量を半日干す。(どうやら最近、一時の暑さのせいか、うちのベランダに蟻が増えてしまっていてるため)蟻が登ってこないような方法で、ちょこちょこチェックしながらの初めての梅干しにチャレンジした。
梅を干し始めて2、3時間経過した頃からとても懐かし思い出が蘇ってきた。梅を見に行かなくても風向きによっては居間まで運ばれてくる梅干しの匂いは、小学生の頃夏休みのよく晴れた日の記憶と直結するのだ。祖母が、もっと大量の梅を、庭や畑で採れる紫蘇と供に漬け込み、手が紫蘇の色に染まりながら天日干ししていた時の匂い。たまにひっくり返すように言われて、こっそり味見した時の、完成した梅とはまた違う柔らかな塩味の半熟梅干しの味。そういえば、そういう日は大抵布団も干されていて、夜になるとよく干されたいい匂いのする布団で、蚊帳の中で眠っていたっけ。30年以上前の記憶が、まるでついこの間のことのように蘇った。
梅仕事は、なかなか思うように進まない仕事からの現実逃避も相まってチャレンジしたのだが(そして、明日試験があるというのにこんなことしてるという)、そんな邪な思惑を遥かに上回る過去の記憶と自分の理想と暮らしを見つめ直させてくれている。
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