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イスラエルのスタートアップでインターンシップの採用面接 受かるまでの道のり
先日、イスラエルに拠点を持つとある企業でインターンシップの面接を受けてきました。
テルアビブでの生活費が想像の倍以上高く、現地で何か仕事を見つけなければ私に明日はありません。
ただし前回のブログでも書きました通り、現地でボランティア等をして無料の宿と食事を手にすることはしないと決めています。起業に向けてのアクションを取る、という本筋からは外れないようにしたいと思っているからです。
ですので私がイスラエルに滞在し続けるには、こっちのスタートアップで働かしてもらい、スキルや経験を身につけながら生活費を稼ぎ、自分達のプロダクト開発も進めていくという道がベスト、というよりこれしかないと考えていました。
余談ですが先に帰国した鈴木くんは、もう日本でスタートアップを見つけて、今月から早速働き始めるようです。どうやら彼はデキる男らしい、そして損切りもできる。
今回は私がイスラエルに来てから、現地のスタートアップにアプローチし続けてようやく面接まで辿り着いたいきさつと、その結果について書きたいと思います。
主な流れ
1. イスラエルにあるスタートアップを探す
2. インターンの申し込み、メールでのアプローチ、履歴書の送付
3. 面接
4. 今後について
1. イスラエルにあるスタートアップを探す
まず、現地のスタートアップやテック系企業を探すところから始まります。私はイスラエルに来る前から元々興味のあった会社がいくつかあったので、まずはそれらの会社のホームページを見に行き、インターンを募集しているかやオフィスの場所、お問い合わせフォーム等を確認し、ここだと思った企業にメールでインターンをさせて下さいとメールを送りました。
しかし、数日経っても全く返信が来ませんでした。おそらく忙しすぎて、私の相手をしている暇は無かったのでしょう。
2〜3社リクエストを送っても同じような状況だったため、私は自分自身のメール文を見直すと同時に、アプローチする会社の数を少し増やそうと考えました。
現在、日本語ベースでイスラエルのスタートアップについてまとめた情報サイトはありませんが、英語ベースだといくつか存在します。
私が使ったイスラエルのスタートアップを調べることができる特にオススメのサイトを2つ紹介します。
・Start-Up Nation
1つ目はこちらのサイトです。非常に使いやすく、1番多く使いました。
あるスタートアップを検索すると、その企業の概要、紹介動画、チーム構成、投資ラウンド等の情報が一覧できるページが表示されます。
正直、ただイスラエルのスタートアップについて調べるだけであれば、わざわざ現地に足を運ばなくてもこのサイトだけで相当な情報を得ることができます。
イスラエルのスタートアップとか興味ねえーという方でも、色々な会社があって本当に面白いですので、是非一度は見て欲しいです。
・IVC
もう1つはIVCのサイトです。おそらく最も多くのデータを持っているのはこのIVCだと思います。
20年以上イスラエルのスタートアップに関する情報を集め、分析しているそうですので、情報の質も量も相当なものだと思われます。
また、上で紹介したようなサイトを使って調べる以外にも、スタートアップ関連のイベントに足を運んでみたり、イベントで会った人に聞いたりすることで様々な情報を得ることができます。そして話してみたらその人自身が自分の会社をやっていたということは本当によくあります。
インターネットを使って調べると、自分の興味のある分野の情報はたくさん手に入れることができます。しかし、とりあえずイベントに参加してみたり、そこで会った人と話したりすると、自分がこれまで目を向けてなかった分野でもユニークな会社があったり、面白い技術を持っていたりするということを知ることができます。
ですので、スタートアップの探し方としては、インターネットを使って調べることとイベント等に足を運んで人に聞いてみることの両方をすることが個人的にはオススメです。
2. インターンの申し込み、メールでのアプローチ、履歴書の送付
面白そうと思うスタートアップが見つかったら、まずはお問い合わせフォームからメッセージを送るなどしてコンタクトを取ります。
私は面接を獲得するまで、結果的に十数社のスタートアップにリクエストを送りました。体感としては10社にメールを送ったら、2〜3社から返信がきます。返信が来てからの次のステップとしては、履歴書の送付を求められるか、電話ができる都合の良い時間を聞かれるかのどちらかになります。
中には突然電話がかかってくる会社もありました。その場で簡単な自己紹介、インターンの目的などを聞かれます。数社と電話をしましたが、どのくらい働くことができるのかと聞かれた際に、ビザの関係でひとまず2〜3ヶ月になるということを伝えると、大体うーんといった雰囲気になります。
また私の拙い英語のためか、意思疎通がうまくいっていなかったからなのか、途中で電話を切られてしまうこともありました。あれは悲しい経験でした。
そうでなくても、最初のメールの返事だけ来たもののそれ以降連絡がつかなくなったり、履歴書を送ったきり返信がこなかったり、なかなか苦戦を強いられました。
私が特に目立った経歴や能力の持ち主であったり、ちゃんとしたエンジニアであったりすれば違ったのかもしれませんが、これが現実なのだと思い受け入れました。
しかしそんな状況でしたが、唯一1社だけ面接まで行くことができました。
以下、当日の面接の内容とその後どうなったかを書いていきたいと思います。
3. 面接
面接場所はその会社のオフィスで、コワーキングスペースの一室でした。めっちゃオシャレでした。代表の方はとてもフランクな雰囲気で、最初にまずコーヒーを一緒に取りに行き、一息ついたところでスタートしました。
私の受けた会社は、業種でいうとITというよりコンサルに近い感じのところで、まだ設立して1年経つか経たないかくらいの会社でした。
まずは簡単な自己紹介から始まりました。
大学卒業後、1年間化学メーカーで法人営業を行い、起業するために退職し、イスラエルに来たことを話しました。
そして、会社員時代に1ヶ月程インドに滞在していたことや、毎日ベトナム工場とフィリピンにある現地法人とメールや電話でやり取りをしていた経験から、こっちで働いても何とかやっていけますということを説明。
その他には自分に何ができるのかやどんな仕事をイメージしているかについて等のいくつかの質問があり、どちらも営業に関する内容で回答。
トリッキーな質問や難しい質問等は一切無く、聞かれる内容は実にシンプルで以下の3点であるように感じました。
・自分が誰なのか
・何ができるのか
・何がしたいのか
自分が何者なのかを話すためには、これまで何をしてきたのかを話す必要があります。今回の私の面接の雰囲気だと、特徴的なエピソードや個人の思いが詰まったストーリーを語るのではなく、自分の経歴に関する客観的な事実のみが求められているように感じました。その上で、これまでの経験の中に相手に興味があるポイントがあれば、その部分だけを深掘りされることになります。面接したのが1社だけなので何とも言えませんが、これは多くの場合で同じようなことが求められているのではないかと思います。
次に自分に何ができるのかに関してですが、これは先程の自分の経験に基づいて何ができるかを説明する必要があると感じました。〜を専攻していたため〜ができます、〜の職種で働いていたため〜ができますのような形になります。私はプログラミングを自分で勉強したためウェブサイト作成等はできますという点を履歴書で一応アピールしていたのですが、面接では一切触れられませんでした。余程で無い限り裏付けのない能力やスキルは興味を持ってもらえない、もしくは認めてもらえないように感じましたので、この点はシビアなものを感じました。
最後に自分が何がしたいのかですが、この辺りで始めて相手の会社の話が絡んでくるようになります。自分と会社の目指すところの共通部分であったり、自分の〜の力があれば会社を〜に変えられます、といった風なものです。ただ、ここはもう確認程度に近い流れと言いますか、全く違う職種の新しいことに自分が挑戦したいということが無い限り、相手と自分の共通認識を合わせる作業に近くなります。当然自分がしたいことをアピールする場ではありますが、最終的には相手が決めることなので、仕方がないとも言えるでしょう。
そしてこの一連の流れはピッチに近いものがあると感じました。現地のピッチイベントでは、誰が何をするのかを短い時間でプレゼンしていました。かつその上で、Why you問題、何故あなたがそれをするのかということを聞かれることになります。この何故という部分が必要な理由は、他の人に納得してもらい、さらには共感してもらうために必要なのだと思います。私はかつてやりたいことに対する強い原体験が無く、このWhy you問題にとても悩まされました、というか今でも悩んでいます。
面接の話に戻ると、海外では即戦力が求められると言いますがそれはその通りで、日本の新卒採用のようなケースは非常にレアだなあということを実感。
就職するのであれば、スキルと経歴と熱意の3点セットを持って戦いに出る必要があるなあ、ということをひしひしと感じます。
そして一通り話し終え向こうのターンへ。
まず結論として、インターンをすることは可能とのことでした。
最初にインターンの期間について、トラベルビザが最長90日間であるため2ヶ月間のコミットになるということを事前に伝えていましたが、期間が短いことは問題ではないとのこと。
また裏技として、一旦どこかの国に出国して再入国すれば再びそこから3ヶ月間滞在することができ、これは法的にも全く問題無い方法らしいです。またその際の出国先としては、中東付近だと難しいけれど(パスポートにイスラエルのスタンプがあると敵対関係にあるアラブ諸国の入国を拒否されることがあるらしいです)、ギリシャやキプロスがオススメであり、多くの人がそうしているとのことでした。もちろん、それができるだけの航空代と滞在費があればの話ですが。
次にインターンの条件及び待遇について。
インターン期間中はそこのオフィスの設備(シャワー、ドリンク飲み放題、キッチン、その他)は自由に使うことができ、勤務した日のランチ代は出して頂けるとのこと。
ただし、そのオフィスに寝泊まりすることはできないとのことでした。当然ですよね。
そして肝心の給与に関してですが、給与を支払うことはできないみたいです。
理由は単純で、ワーキングビザを取得していない外国人が現地で働いて給与を得ることは法律で禁止されているからです。こればかりはどうしようもできないようでした、まぁ分かってはいたことなのですが...
であればと思い、ワーキングビザを私が取得することは可能なのかを伺ったところ、それはかなり難しいとの回答でした。
なぜかというと、ワーキングビザを取得するためには多大なコストを要するからです。このコストは、もちろん手続きにかかる時間的なコストもそうなのですが、金銭的なコストがかなりかかってくるようであり、ざっくりですがトータルで150万〜300万円程度は必要になってくる模様です。そしてこの手続きにかかる費用は会社が負担することになっています。
そのため、その会社にとってどうしても私の力が必要で、私にしかできない仕事があるような場合を除いて、ワーキングビザを発行してもらうことは難しいのが現状です。
このビザの話題辺りから徐々に雑談に入っていきました。
まず起業することに関して、イスラエルには現状イノベーションビザがあるが今のところシンプルで取得しやすいものではなく、外国人が来て起業するにはハードルが高く、良い環境とは言えないとのコメント。
もし起業したいのであれば、面倒な手続きがかからない日本でする方が良いとのアドバイスも頂きました。最近は日本でもスタートアップへの投資も盛んになってきているため、起業しやすい状況なのではとのこと。これは確かにその通りだなと。
単にビジネスをする場として見た場合、イスラエルは日本人にとってアメリカやヨーロッパよりも働きやすい場所であるようです。アジア人であることによって不利になることが無いのはもちろんのこと、多くのイスラエルの人達は日本のアニメやマンガが好きであり、さらに日本人は礼儀正しいというイメージもあるため、もし日本人が何かするのであれば歓迎されやすいみたいです。ただし、日本人は語学の面で弱いため、現地で活躍するにはそこが厳しいところとのことでした。
ここからはその方のこれまでのキャリアについての話、現在の仕事内容などを伺いました。
そして最後にもう一度私の話に戻り、もし私が本当にここでインターンをしたいのであれば、最大限にサポートして下さるとのことでした。住居が無いことや生活費が高い問題について非常に理解のある方で、良い方法がないか一緒に探してくれると言って下さり、もう本当に人として素晴らしすぎる方でした。
そんな至れり尽くせりなありがたい状況で、おこがましいのは百も承知だったのですが、今回頂いた話をふまえて改めて今後どうするかをまず私の中で決めさせてもらい、その上で私の方から連絡し、それから話を進めていくという方向でお願いしました。
というのもこの時、私の中には2つの選択肢があり、
・イスラエルでインターンをしながら起業の準備を進めていく
・日本に帰ってすぐ起業する
のどちらにすべきか悩んできたからです。
上記のお願いを了承して頂き、その後はオフィスのあるコワーキングスペース全体を案内してもらい、ビル全体の雰囲気や設備を見学し終え、その日は解散となりました。
最後にワーキングビアがない場合にできるイスラエルでのインターンについて少しまとめると、
・インターンをすること自体は可能である
・給料をもらえない分、ランチ代・その他設備面のサポートを享受できる
・一旦出国することで3ヶ月ビザが復活するため、滞在期間は延長できる
・ワーキングビザの取得は非常にハードルが高い
・面接及びビジネスの場においても、カチッとした雰囲気は一切無く、直接的なコミュニケーションが求められる。
4. 今後について
自分の中で今後の予定を決め、24時間以内には返信をしました。
東京で起業することに決めました。
その会社には感謝の言葉とともに、イスラエルでインターンはせずに、日本に帰国して起業する旨をお伝えしました。
あれだけイスラエルに行って起業しますと言って出発したのにもかかわらず、たったの1ヶ月で帰国し結局日本でやるということになってしまい非常に恥ずかしく、応援してくれた方に顔向けできない状況なのですが、もうなりふり構わず突っ走るしかないと考えています。
自分がどうしたいのかを考え抜いた結果、起業したいという思いが一番強く、その部分を優先した結果こうなりました。
そして、起業してすることは、もちろんQpicks(5月に作ったライブイベント向けQ&Aサービス)です。他のサービスも考えたりはしましたが、Qpicks以上にやりたいことはありませんでした。
日本で少しずつですが使ってくれる人が増えてきており、色々なフィードバックを頂いておりますので、それらを参考にして開発し直し、東京で鈴木くんと新たなスタートを切りたいと思います。
今後の予定としては、今週末に帰国し、格安のアパートを借りて、7月から東京で活動していこうと考えています。
ただ今週はテルアビブ大学で一週間Cyber Weekと呼ばれるサイバーセキュリティー関連のビッグイベントが開催されますので、最後にそのCyber Weekに参加して、イスラエルの技術やらを学びまくってからから帰る予定です。
とにかくやると決めた以上、場所はどこであれ、目の前のことに全力で取り組んでいくしかありませんので、これまで以上に行動して何かしらの結果を出したいと思います。
Cyber Weekのレポート記事含め、今後もあと数記事くらいはイスラエルに関する情報を出していければなと考えてますので、更新されましたらそちらも是非ご覧頂きたいと思います。
ということで、もうしばらくはイスラエルの屋根に住んで活動していきますので、引き続きよろしくお願いします。