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ものを「作る」と「売る」話

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地場産業・伝統工芸・量産品の「作る」と「売る」に関する記事をまとめています。
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2020年3月の記事一覧

DtoCとは自社ECサイトでただ販売することではなく、生産者がユーザーに直接伝えて販売すること。

DtoCとは、Direct to Consumerの略で、生産者やメーカーが、自ら企画し製造した商品を、小売店や卸を通すことなく、自社のECサイトや直営店で、直接ユーザーに販売するビジネスモデルのことです。 一般的にDtoCと言うと、自社のECサイトで直接顧客へ販売するビジネスモデルのことになっているのですが、本質的に言えば、メーカーがエンドユーザーに価値やストーリーを伝えて販売することを意味すると思っています。 なぜDtoCが流行っており、生産者やメーカーは積極的にやっ

良い販売員を見つけるか育てるか、それとも自分が販売員になるか。

前回、モノを作ることと同様に、モノを売ることの大切さを話しました。実際、消費者にモノを売るのは誰か。それは百貨店やセレクトショップなどの小売店などになります。最近では、オンラインショップなどもあります。 もっと細分化すると、小売店の中にいる販売員さんが消費者と会話やセールスをし、販売していくことになります。つまり、販売員さんのセールストークや能力がモノが売れるかにも影響してくると言えます。 その販売員さんがどれだけ製品について知っており、お客さんに説明できるかで、その製品

物を作るのも大変だけど、物を売るのも同じくらい大変。

デザイナーや職人さんは今までこの売ることをあまり注力せず、作ることばかりに専念していました。その結果、伝統産業や日本の製造業は衰退していき、デザイナーと職人さんのコラボは失敗することが多く、ものづくりは盛り上がりが欠けてしまいました。 大前提として物を作るのも大変です。ただ物を売るのも同じくらいに大変だということです。大事なことは、良いものを作り、ちゃんと売る。今までの製造業は、良いものを作ることができていましたが、ちゃんと売るまでを繋げられていません。 地場産業に関わる

組紐の主な用途とは?

せっかく組紐の先行販売を始めたので、組紐について書いていきたいと思います。まず組紐の主な用途は、何かご存じでしょうか?組紐と言われると、映画「君の名は。」などで有名になりましたが、実際に何に使われているか知っていますか? 実は、和装の帯締めなんです。 帯締めは、和装で帯を固定するのに用いる紐です。結びやすくほどけにくいという特徴を活かし、組紐は和服の帯締めに用いられることが主な用途になります。現在では、他の用途としては髪留め、アクセサリーなどとして使用されています。 ち

東日本大震災から9年が経った今日、人を守るものを作るという思いから、光る組紐が生まれました。

3月11日。 今から9年前の今日、東日本大震災が起こりました。 この9年間に様々なことが起こり、時代も大きく変わろうとしています。 その中で忘れてはいけないこと、今できることがあります。 当時19歳だった自分はデザイナーとなり、ものづくりに関わっています。 いま、その自分ができることは、防災のためのものづくりをすること。 9年が経った今日、人を守るものを作るという思いから、 光る組紐を生み出しました。 「蛍組紐」 創業130年の組紐工房 龍工房が手掛けた、 防災にも

創業130年の組紐工房が手掛けた、防災にも役立つ、光る組紐ブレスレット。

明日、3月11日という日に合わせて、 組紐の先行販売(クラウドファンディング)を開始します。 創業130年の組紐工房 龍工房が手掛け、 プロダクトデザイナーであり防災士でもある三島大世が考えた、 光る組紐ブレスレット「蛍組紐」 3つの特徴 ①糸から紐を組む、日本古来の伝統技術である組紐を身に付けられる。 ②熟練の組み技術で、蓄光撚糸を組んだ組紐は、暗所で蛍のように光る。 ③世界的なヒット映画「君の名は。」の組紐を監修し、某ワールドカップのメダルの紐も手掛けた龍工房。 リ

工芸品と量産品における「用の美」

「用の美」という言葉を知ってますでしょうか? 生活用品として使われていた道具は、使われているときが一番美しいと言えます。そこには装飾性などはなく、純粋な機能があるだけ。実用性の中に美しさを見出します。 1926年に柳宗悦氏らによって提唱された「民芸運動」から生まれた言葉で、日常的な暮らしの中で使われてきた日用品に「用の美」を見出し、新たな価値を称えました。これらの多くは工芸品とも民藝品とも言われています。 プロダクトデザインとの関係用の美は、プロダクトデザインとも結びつ

職人の世界は分業制

職人の世界は基本的には分業制で、製品として完成するまでに多くの工程に分かれており、その一つ一つにその専門の職人が存在しています。つまり、一人で完結する仕事ではなく、協業して成り立っていると言えます。 例えば、陶磁器。ひとつの焼き物が完成するまでに、陶土屋、型屋、生地屋、窯元など非常に多くの職人が関わっています。 なぜ職人は分業制になっているのか?というとそれぞれの工程が、非常に高い専門性を必要とするので、1人前になるのに10年かかるとも言われています。つまり、分業せざるを