一記事で分かる心理療法ACTの基本!
前書き
こんにちは!
タイセイです。
三記事目です。
お読みいただき誠にありがとうございます!
今現在2024年の7月に入ったのですが、年々暑くなってきている様で、溶けないように精一杯やっております笑
心理療法とともに体調管理もしていきましょう!
今回はタイトルの通りなのですが、前回までの認知行動療法とマインドフルネスとはまた違う「心理療法ACT」というものについてご紹介いたします。
とはいっても実は認知行動療法やマインドフルネスも重なる部分や似た部分があり、認知行動療法の元がマインドフルネスだったり、マインドフルネスの元が認知行動療法だったりと言われていて、心理療法の中で全く違うものと線引きする必要はありません。
今回の「心理療法ACT」もマインドフルネスが中で活用されていたり、認知行動療法に近い部分もあります。
ですので今回の記事の中で、ACTの特徴が強い部分というものに興味を持たれた方は、こちらの心理療法を実践するという形にしてみてください!
ちなみに私は心理療法ACTについての本の作者であるラス・ハリスさんという方の本が好きで何冊も持っています。
またマインドフルネスや認知行動療法に次いで、参考にしながら実践もしております。
その中から要約してお届けしたいと思います!
心理療法ACTとは
心理療法ACTの「ACT」の部分は色々な単語の省略になることもあるのですが、名前としては「A→Acceptance(アクセプタンス)」、「C→Commitment(コミットメント)」、「T→Therapy(セラピー)」で、
「アクセプタンス・コミットメント・セラピー」の略です。
アクセプタンスとは「受容」のことなので、受け入れるイメージです。
コミットメントとは「約束」などと訳されることもありますが、心理療法ACTの中では「自分の人生の価値において効果的な考えや行動」という意味を持ちます。
セラピーは日本語にすると心理療法のことです。
ですので「受け入れること」や「人生の価値」を大切にしている心理療法なのですが、さらに心理療法ACTの六つの基本行動原則というものがあり、これが心理療法ACTのやり方を表しています。
一、脱フュージョン
二、拡張
三、接続
四、自己観察
五、価値の確認
六、目標に向かっての行動
一つ一つをご紹介したいと思います!
一、脱フュージョン
聞き慣れない単語かと思いますが、「脱フュージョン」は心理療法ACTならではのテクニックです。
「フュージョン」とは「融合」を意味するので、「融合から脱する」ということになります。
自己肯定感が低い人やメンタルに問題を抱える人には自己否定や自己批判的な考えを持つ人が多いです。
心理療法ACTではネガティブな思考それ自体を消したり悪いものとはせず、それに影響を受け過ぎずに行動や他の思考ができれば良いと考えます。
そこでネガティブな思考をあたかも事実と捉えず、思考は思考であると距離を置いて捉えるためのテクニックがこの「脱フュージョン」です。
自分の思考と自分を融合せずに、距離を置くので脱フュージョンなのですね!
いくつかやり方があり、個人的にユニークさを感じるものもあるのですが、認知行動療法とも同じくまずは自分の思考を言語化することが大切になってきます。
ご紹介していきます。
「私は〜という考えを持った」
単に「~という考えを持っている」や「私はこのような考えを持っている。それは~だ。」などにも応用できますが、自分の思考に対して主語と「考えを持った」という過去形の文章を作ることによって、自分の考えから距離を取りやすくなります。
例えば自分自身の経験にも、依存やトラウマというものもあるのですが、依存していたものから離れたり、トラウマを考えないようにすればするほど反芻(はんすう)という同じことについてぐるぐると考えてしまいます。
最終的にはそれらも受け入れていくことが大切になってくるのですが、辛い状態の時に依存先にまた依存したり、トラウマのフラッシュバックに飲まれてしまうわけにもいかないので、自分の思考による悪影響を抑え、その時は無理をせず休む必要があります。
典型的にうつ病の方等がしやすい自己批判や自己否定を例にしてみると、「私は『自分なんて役立たずだ』という考えを持った」や、「僕は『僕はちゃんと働くこともできないのか』という考えを持った」等です。
こちらは一番オーソドックスであり、「今『あの人が精神的におかしくなってしまったのは自分のせいだ』という考えを持っている」や「僕はこのような考えを持っている。『この職場の雰囲気が悪くなってしまったのは僕のせいだ。』」等、あらゆる考えに応用出来ます。
自分のイメージをスクリーンに映し出すことを想像する
前の一番オーソドックスなものに比べ、こちらは自分の視覚的なイメージと融合してしまう時に脱フュージョンできるテクニックです。
人には言語で思考する割合と視覚的なイメージで思考する割合の個人差があるので、言語で思考するより視覚的なイメージをしやすい人や、言語で思考もするが特定の視覚的イメージと距離を取りたい人も使えます。
特に公共の映画館や街中のヴィジョンにそのイメージを映し出すことを想像したり、海の中や飛んでいる飛行機の真横等、全く関係ない映像を背景にその中心にあなたの映像のイメージを再生させてください。
自分のやりやすいやり方を見つけられると良いですね!
考えを歌詞にして好きな歌のメロディーに乗せる
視覚的なイメージの次は聴覚的なイメージも使えます!
考えを言語化するのは初めのテクニックと同じなのですが、主語や「考えを持った」等を付け加える必要はなく、例えば「Aさんに嫌われている」という思考をハッピーバースデーソングでも好きな歌のメロディーでも何でも良いので歌詞にして当てはめてみてください!
いわゆる替え歌ですね笑
このやりかたも個人差はありますが、自分の思考と距離が取れると思います。
考えを好きなアニメや映画のキャラクターのセリフにする
最後に一つ前の替え歌のテクニックと同じ様に、主語や最後に言葉を付け足す必要もなく、浮かんだ考え自体を単に変な声でもキャラクターでも尊敬する人等にでも良いので想像の中で言わせてみてください。
こちらのテクニックもユニークですが人によっては合う人もいると思います!
またもっと簡単なものとして、思考にラベル付け(名前付け)をして「また~の物語か」と思ったり、ネガティブな思考に気付いた時に単に「心よ情報ありがとう」と心で言うものもオススメです!
脱フュージョンは慣れてくればこれらのテクニックを使わずとも思考と距離を取れるようになれますが、それまでに練習しておきましょう。
二、拡張
こちらのフェーズはACTのAcceptance(受容)の部分にあたり、不快とみなした感情や感覚を抑圧したり追い出したりしようとせず、居場所を作ってあげるテクニックです。
「こうした不快な感情に心を開きスペースを作ってあげると、あなたを悩ます力はずっと弱くなり、心に留まってあなたを苦しめることなく、すぐに去ってしまうようになる」
と本にも書かれています。
(幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない ラス・ハリス P44)
ネガティブな思考や感情も追い出したり消そうとするのではなく、受け入れて居場所を作ってあげるというACTらしいテクニックで、自分にとってもネガティブを受け入れることからポジティブになれると知った大切な考え方です。
どんな強いネガティブな感情にも使えるらしいですが、感情に飲まれてしまいそうになる時はそのままにしておいたり、抗ってしまうのも自然な人間の生理だと思いますので、無理はしないでください。
三、接続(つながる)
こちらのフェーズ(テクニック)はマインドフルネスのことです。
ACTでもマインドフルネスの技術を使います。
「現在この瞬間、この場所で起こっていることに完全につながる。今行っていること、経験していることに完全に集中、没入する。過去についてくよくよ考えたり未来の心配をせず現在の瞬間に完全に浸りきる。」
(幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない ラス・ハリス P45)
ACTでもそうですし、セルフ・コンパッション等、マインドフルネスはそこから派生して色々なことに役立つと思いますので、ぜひ取り入れたいものの一つです!
最初の無料記事等、他の記事でもマインドフルネスについては書いていますので、ぜひ参考にしてみてください!
四、自己観察
こちらはACTの用語では本当は「観察する自己」と言うのですが、タイトルは分かりやすく変えています。
自己観察はACTのみならず、認知行動療法でもマインドフルネスでも培うべき大切なスキルで、自分の思考や感情に気付くことから対処や改善が始まります。
特に言語化できると分かりやすくなるので、日記等書く習慣をつけて練習していくとそれだけで頭が整理されてメンタルが安定します。
筆記療法と呼ばれ書くこと自体が脳にも良いので、ぜひやってみてください!
五、価値の確認
「人生を意味あるものにするために、自分が価値を置くもの(価値観)を明確にし、それとしっかりつながることはとても重要だ。あなたの価値観は、あなたが心の中で一番大切にしているもの、どんな人間になりたいか、自分にとって最も重要で意味あることは何か、人生で最も支持しているものは何かなどを反映している。価値は人生に方向性を与え、あなたを変革に駆り立てる動機となる。」
(幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない ラス・ハリス P45)
次の「六、目標に向かっての行動」とともにこちらのフェーズはACTのC→Commitment(コミットメント)にあたり、ACTでは気分の良さではなく、自分の価値に基づいた目標への行動によって幸福や人生の充実を目指していきます。
「ポジティブさ」や「優しさ」、等の単語で構いませんので、まずは1、2週間ゆっくり自分にとって何が最も譲れない自分の価値になるか考えてみましょう。
内面に関する名詞なら何でも構いません。
一番しっくりくるものを選んでください。(複数可)
その後目標を文章でなるべく具体的に書きましょう。
目標の価値との違いは具体的な日時や結果を数字で書くくらい現実的で具体性のあるものです。
これもできるまで時間をとってください。
六、目標に向かっての行動
「豊かで意味ある人生は行動によって作られる。だがどんな行動でも良いわけではない。それは価値によって同期づけられ導かれた、効果的な行動でなければならない。意味ある人生は、強い意志的行動によって、何度失敗しても、何度コースからはじかれても飽くことなく挑戦することによって築かれる。」
(幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない ラス・ハリス P45,46)
後は行動のみです!
認知行動療法とともに心理療法ACTでも行動することは、心理学においてとても重要なことが分かりますね!
後書き
今回もお読みいただき本当にありがとうございました!
心理療法ACTも活用次第で本当に身になり、成長できる心理療法だと思います!
あくまで無理はせず、「理解」と「活用」と「継続」に気を付けて行ってくださいね!
あなた自身の成長を心から祈っております。
ではまた次の記事でお会いしましょう。
*持病をお持ちの方は主治医の方やカウンセラーの方に相談してから、心理療法を行ってください。