七年越しの「ガルパンは、いいぞ」~「劇場版 ガールズ&パンツァー」
ドーモ、タイラダでんです。よくきたね。
さて、このたび私、大変遅まきながら「劇場版 ガールズ&パンツァー」を観ました。観たんです。アマゾン・プライムにて。
そしてその結果、驚愕し、感動し、全力で後悔しています。何故僕はこれを劇場で観なかったのか(君ソレ何度目?)。これこそ劇場の大スクリーンと音響設備を持ってして、初めてその魅力が100%味わえるたぐいの映画ではないですか…!
ナンデ「ガルパン」観ていなかったの?
と、そう言われれば恥ずかしながらそれは「偏見」の一言に尽きます。「女子高生✕〇〇ものってなんか苦手だな」(これは後に「宇宙よりも遠い場所」によって粉々に打ち砕かれるわけですが)だの、「実戦ではなくスポーツ感覚で戦車を操るのってどうなのよ。そんなお遊び感覚で兵器を動かすなよ」(今思うと、別にいいじゃない人が死なないほうが、って感じですが)だの、まあ愚にもつかない理由です。
でも、TV放映中、そして劇場版がかかっているときに聞こえてくる評判(特に信頼している方々の評価)を目にして、脳内の「いつか見るリスト」の片隅にそっと置いてしまっていました。ほら、あるじゃないですか。摂取するべきタイミングを逸してしまっているような気がして、なかなか手が出せないもの。そういう存在になってしまっていたのです。
そんなこんなで「ガルパン」を宇宙よりも遠いもののように感じていたとき、こんな記事を目にしたのです。
「あ、こんな語りを目にしちゃあ、いつかと言わずすぐに見なくては」
僕は「人のおすすめホイホイ信じるマン」兼有言実行の男ですからね。
開始30分の衝撃
で、見始めたんですが。
なんですかコレは。なんなんですかコレは! 戦車が走る! 戦車が撃つ! 戦車が超信地旋回する! アスファルトを削り、街を半壊させ、火花を散らす! 戦車砲が咆哮を上げ、弾丸が風を切る! 多種多様な戦車とその乗り手たちが、各々の個性を活かした戦術でぶつかり合い、散っていく! その様子が舐めるようなカメラワークと大迫力の音響でコレでもかコレでもかと叩き込まれてくる!
か、カッコイイイイ!!!!!!!!!!
画面の前で拳を握ったのは久方ぶりでした。興奮したまま最初のエキシビジョンマッチが終わり、ふと動画の残り時間を見るとまだ30分ほどしか経過していない。は? まだ? 最初の30分でこれ? はい、もう完全にノックアウトです。降参。
とにかく最初からフルスロットル。出し惜しみなし。「戦車カッコイイですよね。最高ですよね。ほら、こうすればカッコイイでしょ? こういうのもありでしょ? え? こんなのはどうかって? もちろんありますよ!」そんな制作陣の「スキ」の叫びが画面を通してこちらにも伝わってくる冒頭30分。作り手が「スキ」を叩き込んだ作品にハズレ無し。古事記にもそう書いてある。(逆に「スキ」が無い連中が手がけてしまうとどうなるか……やめろ! 古傷をえぐるのはやめるんだ!)
ちなみに、そのあとのサービスシーンまでフルスロットルでした。女体が七分(ななぶ)に、風呂が三分(さんぶ)! 女体が七分、風呂が三分だ! わかったか!
「演技」する戦車、スゲー!
この作品、当たり前ですがとにかく戦車が素晴らしいです。3DCGで描かれる戦車たちは、リアルな部分と荒唐無稽な部分を天秤にかけ、どちらを取ったほうがより画面映えするか、見る者のハートを射抜けるかをきちんと計算して動かされています。履帯の動き、砲塔の動き一つとっても疎かにしていない。要は、女子高生たちと同じ一人のキャラクターとして動かされているんですね。戦車に「演技」をさせている感じです。
その結果どうなるか。見ているこちらも戦車たちを一人のキャラクターとして、つまり感情移入の対象として見ることになる。ただひたすら「戦車すげー! 頑張れ戦車! 負けるな戦車!」と叫ぶようになりはてるのです。もちろん本来は中で操縦する女子高生たちがその対象であるはずなのですが、そうはならない(僕だけですかね)。実際後半の対大学選抜では画面に映る比率が明らかに戦車メインになってしまっている気がします。
特に最後の最後、不利を覆し敵の大将と2対1の戦いに持ち込んだ決戦のシーンでは、主役の「西住みほ」を含め一切のセリフ無し。画面中を縦横無尽に駆け回る複数の戦車の姿と、それらが立てる轟音だけがひたすら画面を流れるという、冷静に考えれば作った人間の正気を疑うようなシーンが繰り広げられますが、そのころには見ているこちらもすっかり出来上がってしまっているので、何の問題もなく製作者の狂気を受け入れることができてしまいます。戦車様を崇めよ。
とはいえ、決して人間をおろそかに描いているわけではないと思います。おそらくは(本編未視聴なので本当にそうかはわかりませんが)本編からの成長、または関係性の発展を感じさせるような姿もきちんと描かれていました。そういうところに手を抜くような制作陣ではないことはわかります。
未来へ
そんなわけで。
本編の放映が2012年だそうなので、実に七年越しに、初めて口にすることになりました。
「ガルパンは、いいぞ」
とはいえ、本編も最終章も一切見ていないわけですから、その本来の魅力を半分もわかっていないとは思います。逆に言えば、そのようなニワカな人間の僕をガッツリはまらせる程の力を持つのがこの「ガールズ&パンツァー 劇場版」だと言えるでしょう。
未見の方は(いらっしゃるんですかね? なんだか見ていなかったのは僕だけのような気がしてきました)是非どうぞ。ぼくはこれから本編を追いかけていくこととします。
◇いじょうです◇
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