【マンガ感想文】 正反対な君と僕 第63話 「処理落ち」

内容に触れる感想なので、未読の方はリンクへ






谷くんの見栄は「強いフリ」をすること。鈴木さんに心配をかけたくない気持ち、鈴木さんと別れることへの恐怖、距離を置くことまで考えさせた彼女に中途半端なことはできない…。
そして谷くんは自分が見栄を張っていることを認めていなかった。


「ああそっか、僕は 自分の脆さを認めたくなかった」
「自分で解決しないと…」

一方、鈴木さんの見栄は「理解があって、懐が深くて、相手を想えるような彼女でいること」。それは谷くんにそう見られたい気持ち以上に、谷くんへの想いに思えます。

そして鈴木さんは自分が理想に達していないことを自覚している。 
これは鈴木さんが、大口開けてハンバーガー食べるのを恥ずかしがったり(2話)家に挨拶に行くとき髪染めしたり(39話)、他者からどう見られているかを気にしてきた鈴木さんだからこそ、理想と現実のギャップにこれまで苦悩してきた。
そして、谷くんの存在があったから現実の自分を認めることができた。

鈴木
「今悠介くんが考えてることで私が解決できることなんて、何もないのかも」
「私…自分が「救ってあげられる」なんて思っていないし、なんでも一緒に解決出来ることばかりじゃないってわかってる」
「見栄を張ってんの!!!」

相手に幻滅されたくないから、相手に見せる自分は理想の自分でありたいから、見栄を張る。
でもどうしたって理想と現実の間にはギャップがあって、常に理想を演じることはできない。

でも理想を演じなくたって、ありのままの自分で相手を想うことはできる。
なぜなら2人はお互いに対して「理想」を求めていないから。

鈴木
「そういうのを言って!ってずっと言ってんじゃん」
「しんどい時に「しんどい」って言える場所ぐらいにはなりたいよ」 

鈴木さんは自分が理想に達していないことを知っている。
でもこの言葉は、紛れもなく今の鈴木さんから出てきた言葉のはずです。

現実の自分を認めた上で、理想の自分であろうと見栄を張る。
見栄が自分のためではなく、相手を想っての行動でありたい。
見栄が理想の自分に近づく一歩でありたい。
そう感じた話でした。


最後に好きだった発言・描写

・ナベ
「そん時の気分によるかも」
「私今一番「そうしたい」ってことしか興味ない」
「自分で選んだ感が欲し〜」
進路に関して、恋愛に関して、人生における決断の正解不正解なんて結果論。
自分で選んだ感=決断に対して自分が納得し責任を取る覚悟と思いました。気分と言い切れる強さがカッコいい。

・鈴木
「モヤモヤすることあるなら吐き出しちゃおう」
この鈴木さんの上目遣いがヤバ可愛い。

・西さんの親がお茶を持ってきてくれている、進路への応援を示す描写
・平から東への「頑張れ」のメッセージ

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