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小説『三分間』

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高校生の「僕」が異次元で出会った不思議な青年「ロングコート」と紫色の世界で過ごす話です。
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2019年10月の記事一覧

小説『三分間』全編

 夕日が沈んでゆく。夕日が沈む際は、空がオレンジ色に見えるよな、とふと思った。昼頃には、空は青く見える。夜は、太陽が昇っていないから黒だな。そんな当たり前のことを思うのだが、理由はなぜだろう。きっと世界のどこぞの国の科学者がその理由を解明していて、インターネットで調べたりしてみたら、その理由が出てくるのだろう。ただ、僕はそんなことで理由を知りたくはなかった。理由とは、人間がでっちあげた概念にすぎな

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小説『三分間』最終話

 灯りの方へ向かって歩いていくと、足元に線路のようなものが見え、線路に沿って灯りも並んでいたので、辿っていくことにした。
 進んでいくと、駅のホームが見えた。駅には、人影が並んでいたが、どの人も石のように固まって動かなかった。あくびをしている人、スマホを見ている人、新聞を読んでいる人、いろいろといたが、どの人も完全に固まっていた。
 そんな人たちを見ていると、電車がやってきて停車したので、乗ってみ

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小説『三分間』第九話

 ベッドから起き上がって窓の外を見てみると、雨が降っているようだった。それもかなり激しく。嵐が来たようだ。
「どうも嵐が来たようなんだ。こんなことはしばらくなかったんだけどもね、嵐が来ると、鳥たちが混乱して街へ向かってくるんだ。とにかく、早く避難しないといけない」
 ロングコートは慌てた様子で、コートを羽織りながらそう言っていた。
「さあ、君も着替えて、外に避難しよう。俺の、このコートを着るといい

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小説『三分間』第八話

 風呂場に着くと、大きなバスタブにお湯がなみなみと入っていた。やはりお湯はすでに沸いていた。なによりも目を引かれたのは、バスタブの周りに置かれていた本棚だ。風呂場で本を読んでいるのだろうか。
「ここが俺ん家の風呂場だよ。広いだけが取り柄だけどもね、ああ、そこにある本も読んでみるといいよ。濡れたりしないから、大丈夫さ」
 そう言われたので本を手に取ってみたが、なんの文字が書いてあるのかさっぱりわから

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小説『三分間』第七話

 塔に着き、中に入るのかと思ったが、入り口らしいドアはなかった。
「これに乗るんだ」
 ロングコートはそう言って、僕たちは外付けのリフトに乗った。リフトに囲いはなく、一歩踏み外すと落っこちてしまいそうだったが、ロングコートは平然と街を眺めていた。
「こうやって、家に帰る前に、景色を眺められるんだ。いいだろう」
 ロングコートは、街を見ながらそう言った。
「ロングコートは、どこかを眺めるのが好きなん

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