マガジンのカバー画像

小説『エッグタルト』

32
高校で吹奏楽部に所属している太田と、数学オリンピックに出場することが決まった女子高生、川野さんの話です。
運営しているクリエイター

2021年2月の記事一覧

小説『エッグタルト』第二十七章

 遠藤さんと遊園地に行ったあとも、遠藤さんとは何度かご飯を食べに行ったり、サークルでは遠藤さんの近くでドラムの練習をすることが多くなっていた。
 ある休みの日に、ファミレスではあったが遠藤さんに誘われ、ご飯に連れていってもらう機会があった。
「ねえ、私たちって付き合ってるのかな」
 遠藤さんは注文して出てきたパスタには手を付けずに話を切り出した。俺は、頼んでいたオムライスに早々に手を付け頬張ってい

もっとみる

小説『エッグタルト』第二十六章

 大学の授業を受けていると次第にそれにも慣れてきて、サークルでもドラムの練習に打ち込む日々を送っているとすぐに、約束の日曜日を迎えていた。待ち合わせ場所で待っていると、遠藤さんはレザージャケットを羽織り、いかにもロックバンドのメンバーのような格好をしてやってきた。俺も、バンドを始めたということもあったので、そういったロックな格好をして来ようかと今朝迷ったが、結局、無難にいつもの上着を羽織ってきた。

もっとみる