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小説『エッグタルト』

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高校で吹奏楽部に所属している太田と、数学オリンピックに出場することが決まった女子高生、川野さんの話です。
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2020年12月の記事一覧

小説『エッグタルト』第二十三章

 高校での最後の学期もいつの間にか終わって、卒業式の日を迎えた。俺は、山田の助けもあり都内の中堅私立大学に現役で合格することができたので、そこに進学することに決めていた。その山田は、高校卒業後は知り合いのスポーツ用品店に就職することにしたらしい。
 水野は、有名私立大学に合格し、そこに進学することにしたらしい。流石だな、と思った。川野さんの進路についてはまだ聞いていなかった。
 川野さんは今後どう

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小説『エッグタルト』第二十二章

 二学期が始まりしばらくたってから、俺と山田と水野の三人グループに川野さんが加わることが多くなっていた。川野さんは、特に水野とはかなり仲がよさそうにしていた。コンタクトレンズにしたのだろうか、眼鏡を外しており、前よりも少し明るくなったような気がした。文芸部に入ることにしたらしい。
 水野によると、川野さんは来年の数学オリンピックには挑戦しないことにしたらしい。以前は解けていた問題の解き方がわからな

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