見出し画像

世界の見え方の多様性

昔聴いたラジオで、こんな話を耳にしたことがある。

ある人は、毎回出かける場所を違うところにしたいと考えているという。むしろ住む場所も定期的に変えたいくらいで、移動や変化を好むというのだ。それに対して、同じラジオを聴いていた別の人が、自分の妻の話を始めた。

その妻は、旅先は同じ場所に行くことを好むと言う。具体的には、毎回同じ場所、同じ宿に泊まりたいのだという。なぜなら、行く場所や宿が毎回変わると、そこから得られる情報量に圧倒されてしまうからだと話していた。

この話は一見すると、変化を求める前者が新しい刺激を得ようと積極的に動いているように感じる。確かに、彼は世界中の情報を貪欲に摂取し、好奇心を満たすために旅をしているように見える。しかし、その後者、すなわち同じ場所に行きたがる妻は、どこか保守的で好奇心が薄いように見えがちだ。しかし実は、その後者の方が、思っている以上に多くの情報を受け取っている可能性があるのだ。

彼女は毎回、同じ景色を見ていると思われがちだが、実際にはその景色の中から新しい刺激を見出し、異なる観点や深い意味を感じ取っている。つまり、彼女は旅先や宿を変えることなく、同じものから新しい発見をしている。これは、単に外的な変化を求めることが必ずしも新しい情報を得る方法ではないという示唆だ。

この話を聞いて、私は表面的なイメージだけで物事を判断してしまう危険性を強く感じた。外見だけではその人が得ている情報や成長の質は分からない。重要なのは、どれだけ深く考え、感じ取っているかだと気づかされた。

もし深く掘り下げて話を聞かず、表面的な特徴だけを見て判断していると、真実は見逃してしまう。前者のように常に新しい場所を求めることが情報を多く得ることだと思いがちだが、実際には後者のように同じ場所で繰り返し経験を重ねることでも、得られる情報の深さは異なるのだ。

私自身、どちらかと言えば前者のように新しい場所に興味を持ちがちだが、この話を聞いてからは、後者の考え方にも新たな魅力を感じるようになった。どちらにも一長一短があり、重要なのは、その人がどれだけ新しい視点を持ち、変化にどう向き合っているかだと改めて思うようになった。

このラジオで聴いた話は、単なる旅の好みを超えて、物事の本質を見抜く力の大切さを教えてくれた。そして、どんな人でも、自分が何を求め、どう向き合うかによって、得られる情報や経験が異なることを改めて認識させられたのだ。

いいなと思ったら応援しよう!