見出し画像

末寺の末事 139

 「勿体無い」と言う言葉を価値観の視点で使うなら問いたい。「勿体有る」のは何?

 そもそも勿体なんて無い。物々しく大袈裟に言うが、失くして「勿体無い」のは、価値ではなく意味だよ。価値有る何かが無くなるから「勿体無い」のではなく、その意味そのものを失うことの方こそ「勿体無い」。

 なのに、まだ価値を追い求める。守護しようとする。価値を貪ることの価値を高めようとする。価値に彷徨い意味を探す。

 「意味なんて無いじゃないか」と寂しいことを言う。「違う!」とは言わない。価値が無いだけだ、それだけの自分に。

 元々無いものを有るとして、有りもしない我を選別して、自ら分け隔てた自分が「無意味だ」と言う。確かに無意味だ、そんな選別。

 価値に則って分けるから、空しくなる。意味が有るから価値が生まれるが、価値から意味は生まれない。ダイヤの指輪を犬にあげても、ドッグフードほどは喜ぶまい。

to be continued



いいなと思ったら応援しよう!