UUUO 「前日発注」機能の検証の裏側
ウーオCPOの土谷(taihaku0415)です🐟
昨年2020年の1年間は主に食品スーパーさん向けにUUUOと言うプロダクトを開発していました。2020年9月にアプリを大幅にリニューアルして約4ヶ月が経ったので、新年一発目のプロダクト関連のブログとして、リニューアルの裏側をまとめてみようと思います。
UUUOのアプリについて
UUUOは、食品スーパーのバイヤーさんが、産地の港で水揚げ後すぐの鮮魚を遠隔で買付けられるプロダクトです。現在、40以上の港の魚に発注することが可能です。iOSとAndroidアプリで提供中💁♀️(※現在事前に会社登録をしていただいた方のみご利用いただけます✋)。
URL: UUUO 毎日安心、産直仕入れ https://service.uuuo.co.jp/
産地市場と消費地市場の稼働時間の差
UUUOは、4月のベータ版のリリース後、先行して限定的にクライアントに公開をしていました。
ウーオがいる水産業において、2種類の市場があり、ウーオ社内では産地(産地市場)と消費地(消費地市場)と呼んでいます。おそらく読者の皆さんは市場と言われたら豊洲(または築地)を想像することが多いと思いますが、これは消費地市場を指しています。
今回のUUUOのメインのターゲットも、消費地市場の食品スーパーのバイヤーさんです。バイヤーさんは、会社の規模や役割によって業務スケジュールが大きく異なります。例えば、ある方は早朝(午前3時4時)から消費地市場に直接買付にいっていますし、市場にはいかず開店準備をする朝(午前7時以降)から勤務開始をされるバイヤーさんもいらっしゃいます。
一方、UUUOのアプリの裏側には、約40の港があります。それらの港はセリの開始時間にも差が存在します。例えば、ウーオが直接買付けの権利をもつ鳥取港ではAM8:00〜、その隣の兵庫の港ではAM7:30〜、山口の港ではAM1:00〜セリが開始されます。
ウーオ担当者:「今後産地が増えたとき、産地市場の時間に合わせてユーザに発注してもらう今の仕様だと、発注タイミングが多すぎてオペレーション崩壊します、、、🤦♂️」
初期リリース後、すぐに社内で出た課題がこれでした。
プロダクトの構想段階から、ぼんやりと想定はしていました。しかし、まだ産地の数も数えられる程度でセリ開始時間の差が小さかった、アプリだけで完結せず物理的なオペレーションも含めたサービスと言う特性上、「バイヤーさん自身でアプリで魚の情報をみて、指値をして、魚が受け取れる」という今後、最も継続的に提供するであろう、この体験のアップデート・価値の拡充に絞り開発を進める方向でいました。
しかし、リリース後、想定以上の早さで産地市場(港)の数が増え、上記課題が顕在化し始めたので、大きくプロダクトの仕様を変更することにしました。
産地時間に合わせ過ぎたスケジュールからの開放
ユーザA「そもそも何日の水揚げか、と言う情報より何日にその魚が受け取れるか、で考えているんですけど💁♀️」
ユーザB「開店準備もあるし、特定の産地のセリの時間には携帯さわれないよ、、🙅♂️」
初期リリース後、ヒアリングやオンボーディングを重ねるうちに、実際にユーザからこういった声をもらえるようになりました。
現行のUUUOアプリでは上述した通り産地市場ごとの発注締め切り時刻の差に加え、
何日後にその魚を受け取れるか(消費地市場と産地市場で多対多)
の多様性も乗り越えるべき課題の一つです。例えば、広島中央市場で利用していただいている方には下記のようになります。
鳥取港、網代港:am7:50まで発注可能、1日後に受け取り可能
浜坂港: am6:50まで発注可能、1日後に受け取り可能
徳島・高知: am8:50まで発注可能、2日後に受け取り可能
これでは、産地市場と消費地市場間の暗黙的なルール差を知っているバイヤーさんしかうまく発注ができない(しにくい)アプリになってしまいます。
せっかくアプリで誰でも確認→発注→受け取れるインターフェースを統一しつつあるのに、より限定的な方にしか使ってもらえなくなります。
限定的な方にしか使ってもらえない事で、アプリ利用のオンボーディングの時間もかかるし、今後のプロダクト戦略においても広がりがない状態になってしまいます。
産地市場の担当者👴「セリの直前に発注されても、見落としてしまうのでもっと事前に発注が欲しい」
一方で、目を産地市場に向けると、上記の声がありました。
セリというのは1秒1秒(なんならもっと短いスパン)で状況が変わります。セリ直前に注文がくるとオペレーションの負荷が高まってしまいます。
※産地市場のオペレーションに関して、詳しくはこちらのブログをご覧ください⛴
産地市場の視点では、バイヤーからの発注をもっと事前に受け付けられれば、買付時の指値・数量の戦略を立てたり、魚の目利きの時間を確保する時間に使えたりできます。
リードタイムを確保することで、産地市場と消費地市場両方の負荷を下げる
産地市場のスケジュールに合わせてアプリを使うのではなく、消費地市場に合わせて使えるアプリにすることで、発注可能時間のカバレッジをあげることができました。
定性面でも嬉しいフィードバック 🥳
「前日夕方or夜、仕事終わりの時間に余裕がある時に発注できる😌」
「実は朝早すぎて起きられず発注できていなかったけど、事前に出しておけるから助かる😅」
「仕入れがシフト制の店舗でも、全メンバー同じように発注できる👫」
消費地市場のバイヤーさんの発注リードタイムを確保することで、ウーオ内(産地市場)のオペレーションも徐々に改善されつつあります。
全てのケースでそうとは言えませんが、提携産地が増えることは発注した魚種を競り落とせる産地の候補が増えることを意味します。
天然鮮魚のセリという特性上、通常のECと違い発注した魚が必ず競り落とせる(社内では充足、と呼んでいます)訳ではありません。価格面で競り負けてしまうことや、希望する量の水揚げがない場合も。また、天候状況、時化によってある産地では漁獲が全くないなんてことも往々にしてあります。
ウーオの買付担当者、提携産地パートナーの買付担当者さんは「お客様の発注をなんとか充足したい」という思いで日々買い付けていただいています。
UUUOアプリの裏側では、発注データの内容をみて、なるべく充足可能性が高い提携産地に産地に発注を出すオペレーションを運用しています。
プロダクトの構造を変えて、発注可能時間を増やし締め切りまでのリードタイムを確保したことで、産地市場の買付バイヤーさんも充足しやすくなりました。
裏側は泥臭く、まずは手動オペレーション
UUUOアプリに発注があったら、社内Slackに通知されます。また、社内の管理アプリで詳しい発注内容を確認し、提携産地のバイヤーさんに買付依頼を出す運用をしています。
当然こちらも自動化したいのは山々ですが、自動化するためには当時以下の2つのハードルをクリアする必要がありました。
(1) 発注可能時刻・受け取り日数の煩雑さ
(2) 発注方法(ルール、規格、相場変動)の複雑さ
ただ、今回は複数の提供価値に基づいてアプリを一気に変えないことに決めました。産地市場ではなく消費地市場の時間に合わせた発注ができる価値提供第一弾の事前発注の機能(=(1)の発注可能時刻・受け取り日数の複雑さの解消)のリリースと価値検証を優先しました。
当然これで全く終わりではなく、今は(2)発注方法の複雑さを解消し、自動化への下地を整えています。
この施策に関しては、また別の記事で検証の裏側を紹介したいと思います。
この際も、なるべく消費地市場の食品スーパーのバイヤーの特性に合わせる、という方針は変わりません。
産地&消費地で成り立つプロダクトだからこそ、誰に届ける価値かを明確に
産地市場の基準ではなく、消費地市場の基準で考える。
これは、簡単なようで「日々今までのやり方で当然のように動いていたオペレーションを変えること」を考えると一気に難易度があがる感覚があります。
特に時間の制約が厳しいセリの現場において、アプリを中心にした業務の理想を描くことはできるが、実態が伴なわず頓挫してしまう施策がほとんどです。UUUOもここには書ききれない様々な軌道修正や事故・障害を経て現在の形に🚧
産地消費地両者のどちらか一方に過度に負荷がかかり破綻する状態は避け、段階的に価値提供をしていく。そして、既存のやり方に縛られず、最後迷ったらターゲットの消費地市場のバイヤーさん向けに一気に振り切る、というのを意識して検証を進めていました。
UUUOは、まだまだ検証すべきこと、解決すべき課題が山積みです。
そんなウーオでは、現在エンジニアを募集しています。水産業でのサービス開発やウーオに興味のある方は、ぜひご一報ください!
次のマガジンの記事では、今回のアップデートの次に行った施策について紹介します🎣こうご期待ください❗️
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?