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【人道支援チャド】2本立て①僕がキャンプ地を離れ、それから②クレモンからのギフト

割引あり

みなさん、こんにちは
人道支援家のTaichiroSatoです。
今回投稿は初めてのショート2本立てで投稿をします。

次の派遣(来週出発予定)のブリーフィングに大忙しな今日この頃。
実は、今回は同じ場所に戻ってチャド/スーダンで新しい仕事に取り組むことになっています。細かな内容に関してはお伝え出来ませんが、そのブリーフィングで僕の活動のその後を知ることが出来たのですこし投稿していこうと思います。

そして、今回はショートで2本書いてみます。
2本目は、サッカーボール。
難民キャンプ地でのサッカーをしている少年たちと僕らのプロジェクトリーダーであったクレモンの粋な計らいを紹介したいと思います。

※プライバシー保護のため登場する人物やポジションは全て名前を変えてあります。

①僕がキャンプ地を離れ それから

僕は来週、チャド/スーダンのプロジェクトへ行く。
前回のミッションと全く同じ場所へ行き、違うプロジェクトに参加することになっている。
新たなプロジェクトの立ち上げのため働く仲間たちは今回新しくなるが、前回と同じ場所なので前回の仲間たちやその地をもう一度訪れ、彼らに会うのがとても楽しみな今日この頃である。

実を言うと、今頃現地活動を開始しているはずだったのだが、体調不良があって出発が1週間延期になった。
というわけで、今週はヨーロッパのコーディネーションオフィスや現地統括メンバーとブリーフィングを重ね、僕が現地に入ってすぐに仕事に取り掛かれるように現地の医療状況やセキュリティルールに関することなどを入念に共有している。
ヨーロッパは日本よりも9時間前のため、MTGは大概が16時くらいから始まり、いろいろな部署担当と話すためすべてのMTGを終えると深夜0時を越えていることもある。

僕の父は、MTGが多い状況を知って日本人もいるのか?と質問してきたが、僕の知っている限りでは日本人はいない。

色々なメンバーとブリーフィングをする上で一つ嬉しい知らせがあった。
フロランとスーダン関連のプロジェクトブリーフィングをしていた時のこと。
看護師でコーディネーションにも関わっているフロランは、僕が難民キャンプを離れた後に現地に入ったそうだ。僕の活動や存在はそこで知ったらしい。彼はその時の現地の状況をこう言った。


チャド難民キャンプでのここまでのプロジェクトは順だ。
適切に医療を受けることが出来ていて、キャンプ地で亡くなる人も限局的だ。マラリアの季節も終わり、患者もかなり減った。
現地チームもかなり自立してきたし、我々は活動を縮小したんだ。
予防接種などの活動も順調に進んでいる。
我々が一番恐れていた、難民キャンプでの危機的状況(クライシス)※1
は起こらなかったんだ。
よくやったね、タイ。

※1:ここでの意味は、医療アクセスがない事や感染症の流行によって、多くの人がなくなってしまうような命の危機にあるような状況のことを指す。

タイチロ用語解説

僕はこれを聞いて、 ふっ と肩の荷が下りたように感じた。
クライシスは起こらなかった。
僕たちが求めていた結果である。
本当に嬉しかった。

僕らのやっていることは、結果が見えないことが多い。
そして、緊急支援の場合、自分の目で最後まで見届けることは実際のところほとんどない。
だから僕たちはバトンを次の仲間へと渡すために、自分の期間に全力を注いで、あとは任せるのだ。

僕の足跡をたどった仲間たち
その仲間からの嬉しい結果報告は、何より僕らが求めていたものだった。

ネガティブな連鎖の中で活動する
僕らがつなぐポジティブな連鎖
これからも続いて行けと願いを込める

②クレモンからのギフト

僕がチャド難民キャンプで活動していた2023年9月のある日。
プロジェクトコーディネーターのクレモンが僕に手招きをしている。

ん?どしたクレモン?なんか用?

ロックンローラーを彷彿させるクレモンは、細身で長身。超ロン毛の髪の毛を後ろで束ね今日もジャラジャラとしたアクセサリーをたくさんつけている。彼が歩くと、いろんなメタルがぶつかり合い、ジャキッ、ジャキッ、と音を立てる。

彼に呼ばれてテントの中へと入る。

タイ。今日も診療所にいくか?
実はこんなものを用意してみた。渡しておいてくれないか。

イケイケでロッキンな風貌とは裏腹にとても物腰が柔らかくいつも周りをよく見ているクレモン。気さくで冗談も多く、いつも特設の野外オフィスで遅くまで残って作戦を立てているため彼と僕がオフィスで一緒になることが多かった。
プロジェクトの全体を管理するため電話にMTGにとオフィスで忙しくすることが多いポジションだが、それでも彼はよく現場に足を運び、状況を見ているのが印象的で、彼が用意したもので僕は彼の視野の広さと思考に賛辞を送りたくなったのだった。

クレモンからのギフト
それは難民キャンプの子供たちへのサッカーボールだった。

彼は、毎日毎日人々が到着し大きくなる難民キャンプの状況をタイムリーに把握しつつ、その空き地で少年たちがサッカーをしているのを知っていた。
そしてそのボールが空気の入っていないボロボロのボール1つということも。

難民キャンプ地での日常のサッカー風景

クレモン。素敵なギフトだと思う。
子供たちみんな絶対に嬉しいはずだ。
僕が責任をもって届けてくるね。

頼んだぞ、タイ。

そう言って僕に親指をグィッと突き立てながらウィンクして、彼は仕事に戻っていった。

難民キャンプに届けるのは、医療だけではない。
今より少しでも「より良く生きる」を創造する。
僕らに出来ることは、その抽象的な想像を一つ一つ具体化していくことだ。
それには何が必要か。
クレモンは、常に考え、実現しているプロフェッショナルなのだと僕は思った。

苦難な状況にある彼らに、必要とされているもの。
そこにあったらより良く生きれるもの。
そんなものをギフトする。

人道支援の現場に限らず、僕もそんな人であれたらいいなと思いながら、

Bien jouer(ナイスプレー)!!クレモン!

と、チームメンバーの彼に向かって拍手を送る。

難民キャンプの長と少年リーダーにサッカーボールを渡した際の記念撮影
(Top画はこの撮影の後、少年たちみんなと記念撮影した時のもの)


※投稿内容は全て個人の見解です。
最後まで記事を読んでいただきありがとうございます!
よろしければフォローも是非お願いします!!
また次回お会いしましょう。
Best,
Tai

✎2024年より✎
2024年1月1日 能登半島地震で被災された皆様、1日も早い安心安全な日常への復旧を願うとともに災害に関わる医療者として自分に出来る形でのサポートを模索していこうと思います。
亡くなられた方々へのご冥福をお祈り申し上げます。
被災地への僕なりの形として、国内外の災害に精通する医療者として、日本の民間企業の災害支援事業をアドバイザーとしてサポートすることになりました。一般社団法人Nurse-Men のメンバーを中心といた民間の災害対策本部を設置し、中長期的な被災地支援を実施していきます。
ご支援いただけますと幸いです。

尚、ぼくの投稿は全文公開にしていますが、有料記事設定しています。
頂いた金額は2024年1年間は能登復興支援に活用させていただきます。
よろしくお願いします☺

「🏝Naluプロジェクト🏝」
みんなで応援し合える場所づくりとしてメンバーシップを立ち上げ運営しています。2024年で2年が経ちました!興味がある方は一緒にメンバーシップを盛り上げてくれると嬉しいです。


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