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【大人の読書感想文】終末のフールを読んで僕への質問~もしもあと8年で世界が滅亡するとしたら~

割引あり

海外活動中に僕が残念だと思うことは、本が読めないこと。
帰国前に楽しみにしていることは、伊坂幸太郎の新刊が出ていること。

タイチロ帰国後楽しみリストより

みなさんこんにちは
隠れ読書家のTaichiroSatoです

僕の周りには読書好きが多いです。オススメの本あったら教えてほしいと聞かれることもあったような、なかったような。
聞かれてなくてもオススメをしているのが伊坂幸太郎さんの本です。

大好きなんです。あの世界観と言葉選び。直接的じゃない表現なのに頭の中ではっきりとイメージできる文章と物語を通じてどっぷり引き込まれる哲学的思考と現実世界との距離感とスタンス。これを世間は伊坂ワールドと呼んでるんだと思います。

僕は大ファンなので、今までの作品は全て読みました。
少なくとも僕の書く文章は、彼の書き方の影響を受けていると思います。興味のある方無い方に関わらず、「伊坂幸太郎作品」ぜひ読んでみてくださいね。

先日、勤勉家であり同じ読書家のとある友人からこんな質問を受けました。

伊坂幸太郎作品の「終末のフール」を読み終えて。
もし残り8年で小惑星がぶつかって滅亡するってわかったら、
タイチロさんなら何して過ごしますか?

自分の力ではどうにもならない運命で世界が終わる。残り8年。長いような短いような、微妙で、絶妙な期間の中で何を考えどう過ごすのか。
そんな質問を受け、僕は自身の妄想の海に飛び込み、空想なのか近未来のイメージなのか妄想と言葉遊びを楽しむ、そんな投稿に今回はしていこうと思います。


「もし残り8年で小惑星がぶつかって滅亡するってわかったら」

僕の脳みそオーシャンをスイースイーと泳いでみる。
まるで湖であるかのような波のない穏やかな僕の脳みそオーシャンから
ピョコピョコとちりばめられた雲が描かれている青空を眺めながらプカプカと浮かび、僕はこんなことを考える。

なんやかんやで、8年たっても惑星はぶつからないし、8年もあったら誰かしらいいアイデアを出して惑星が当たらないようにするだろうから、普通に過ごせばいいや。

でも、せっかく8年後に惑星ぶつかるなんて世界が大混乱するんだから、普段は自分じゃ決められないようなこと、勢いがないとできないようなことをホィ!ってやるのがいいだろうなぁ。
惑星を良いいい訳にして、ビル買うとか、結婚するとか、花火大会企画するとか何かしらのライフイベントをグイグイっと進めるだろうなぁ。

仕事は、人道支援を続けるだろうなぁ。 いずれにしても、今の仕事はあと4~5年でピーク超えるだろうから、3~4年はこの仕事をすると思うなぁ。
あれやこれやと僕の脳みそオーシャンを泳いでみても、あくまで今の延長線上にある未来を、妄想というよりはより具体的なイメージをしている僕なのであった。

僕の「きっと○○するんだろうなぁ」の妄想はまだまだ続く。
どうせ8年後に世界は終わらないって思ってるから、これを機会にお金バシャバシャ使う人が出てくるだろう。そしたら、世の中の需要と供給に乗っかってジャカジャカ稼いで、5年後から8年後までの3年間でずっと前からやってみたかった、自分の家を自分で作ろうかなぁなんて。建築の大学にも同時に通ったりして、授業で習ったことを自分の家づくりに即実践するなんてことできたら最高だろうなぁ。

僕の帰国に合わせた家族イベントは変わらず年に1,2回継続するだろうなぁ。
妄想といって泳ぎだした僕の思考だが、あくまでリアルな今の延長線上にある生活を脳みそオーシャンで泳いでいる僕なのだった。

僕の思考の海の中では、8年間という期間設定があってないような感覚になっている。8年という時間感覚と近未来へのイメージはしっかり持ちつつも、そこで世界が終わるという根本的なこの設定を信じていない。

僕の脳みそ源を解析するのであれば、
それはリアリストであり、ユーモアであり、理想家である。
大体、4:3:2くらいの割合なんじゃないだろうか。

基本的に、最後だから、今しかできないから、みたいな思考は僕にはほとんどない。だから、たとえ終末がくると分かっていても、ほんとに普通の生活を繰り返すだろう。これは確信である。

ホントにやりたいこと、今しかできないことは、基本的に今やっているし、特別何かを追加したり、焦って何かするようなことはないだろうなぁ。
今回の終末のフールの設定の質問を受けた僕はふと僕の海外生活での終わりの日のことを思い起こしてみるのだった。

終わりの経験値
ここからは、僕のオーシャンを潜り記憶へと入っていこう。

この記事を読んでくれているあなたは、慣れ親しんだ土地や仕事を終えて新しい場所へ移動することやどこか決まった場所へ帰るなど、何かの終わりと始まりをいったいどのくらいの頻度で経験するだろうか。
5年に一度?それとも10年に一度?

既に想像できる人もいるかもしれないが、僕は引っ越しの回数は既に数えきれないし、仕事も世界中で緊急支援活動をしているためかなりの頻度で終わりを経験をする。具体的には年に3回、大きな仕事をし終わりを迎えるのだ。

僕のミッション終了の日。国外生活から一時国内へ帰国する日。
もしくは、プロジェクトそのものが終了する日。
僕はどんな気持ちでどんなことをするか。
結論から言うと、何か特別なことをすることはない。いつもの出勤をするように「んじゃ、行ってきます」の感じで毎回終わる。

僕の終わりは決して特別なことではない。
僕にとっての終わりは、誰かにとってのいつもの一日なのだから。
宇宙地味た話になるが、地球から見たら何一つ変わらない普通の日である。

僕にとってその地での最後の日に会えない人達もたくさんいるし、そんなに都合よく僕の為の時間が取れるわけでもない。
だから僕は誰かと出会ったその瞬間から、その都度ありがとうを伝えるようにしている。たとえ今この瞬間が、僕がその人に直接ありがとうを言える最後になってもいいように。明日以降会えなかったとしても、伝え忘れが無いように、僕の中に後悔が残らないように。だから僕の1日の中でのありがとうの回数は多いと思う。

ここに僕のリアリストであり理想家である行動の一部が表れているのかもしれない。そして、最後に僕の心に残るのは楽観的な感覚。
きっとまたどこかで会うから。んじゃ、またね。この感覚が常にあるのだ。

「8年で滅亡」と「生きる」のコントラスト
終末のフールのあとがきを読めばわかるが、この本では、「生きる」を際立たせるために「死ぬ」を引き合いに出している。その具体化として8年間というタイムリミットとそれを咀嚼しようとするそれぞれの人間模様が本書には描かれている。
余談だが、ここでこの人が!と思うような伊坂幸太郎さんの複線回収がたまらないので、しつこいようだが是非読んでみることをオススメする。

話を僕の脳みそオーシャンの深海部、記憶へと戻そう。
8年というタイムリミット、言い換えると「いずれ死ぬ」ということと「生きる」ことへのコントラストは、実は僕の医療活動と大きく関係し、その上で僕なりの生きるへの姿勢を形作っているのだと思う。

僕はこの現実世界で生と死のリアルに直面する機会が圧倒的に多い人生を今生きている。僕にとって死はとても身近で、暴力的で、理不尽なものであって、きれいなものではない。だが、決して特別なことでもない。一つの自然事象である。

小説の世界に浸らなくとも、小説の世界感をも超えるような生死のストーリーを数えきれないほど経験してきたからなのか。
どんな理由であれ、一人の人生の時間が終わることに当たり前を感じているところがある。

この感覚を冷淡だとか、心がないとか読み取る人がいるかもしれないが、僕自身は決してそうではない。死という存在があまりに自然で身近であるがために、そこを仮に終末というのであれば、それはあまりに普通で当たり前の瞬間だと感じているのだ。
そして何を隠そう僕の本業は(死神ではなく)医療でその当たり前に最前線で拮抗することを専門にしている。そのあまりに自然だと言っている瞬間が、誰かにとって大切な人に訪れなくてもいいように。


終末のリターン
命の時間の終末も
僕自身のちょっとした終わりの瞬間も
あまりに普通だ

だからこそ
ありったけの今を生きる
そう決めている

終末はいつもあっけなく
さらっと僕を通って去って行く

だからこそ僕は
今日出会った人達へ

ありがと、んじゃ、また

その一言に
僕のリアルとユーモアと理想を
4:3:2で混ぜ合わせてギフトする

寄せては返す波があるのなら
僕を通って過ぎ去って行った誰かの終末も
世界中で出会った人たちとの別れも
そのうちどっかで返ってくんじゃないか
そんな風に思う

それが一体どんなカタチで
それは一体いつなのか

思い出として僕の中に現れるかもしれないし
どこかで本当に会えるかもしれない

今の僕には知る由もないのだが
今から僕はワクワクしながら
今か今かとその瞬間を待っている

終末は誰かにとっての当たり前の一日で
終末は結局なんやかんやでやって来ない
終末のその先できっと僕に帰ってくる

それはそれで面白そうじゃんか

Best,
Tai

※投稿内容は全て個人の見解です。
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✎2022年5月より✎
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