私の学級経営の軸 #2
前回は学級通信を学級経営の軸とすることについて書かせてもらいました。今回は学級通信を書くことで生じるメリットについて書きたいなと思います。私はこの6年間毎日発行していますが、決して毎日発行する必要はありません。特に経験年数も浅いうちは授業準備や生徒との関りだけでも大変でしょうし、無理をしないことが重要です。正直なところ、生徒と関わる時間以外はすべて雑務だと思っても良いくらいです。私たちの仕事の中で最も重要度が高いのは、生徒と関わることなのですから。その上で余力が出てきたら、取り組むと意外な効果があるかも知れないというだけの話です。
私が考える学級通信を書くことのメリットは大きく分けて3つあります。
(1)生徒を見る目が変わる。
1つ目はこれに尽きます。学級通信を書こうと思ってまず躓くのは、「一体何を書けばいいのか?」ということだと思います。私はクラスの中で起こった些細な出来事や、誰かがクラスのために行ってくれたことなどを話題として取り上げることが多いです。例えば、「〇〇さんが欠席者の代わりに当番の仕事をやってあげていた!」などです。そして、こういったことを話題として取り上げようとすると、クラスの様子をよく観察しなければなりません。誰がどんなことをしてくれているのか、アンテナをしっかり張ってキャッチしなければ書けませんから。自然と教室にいる時によく生徒を観察するようになりますし、気づいたことはすぐにメモするようになりました。そういったことを続けていると、生徒を見る目が変わってきます。自分自身の感度が上がってきていることを実感できるのです。そうなってくると、クラスの生徒との関係も良好になってきます。
私は生徒を面と向かって褒めるのが本当に苦手なのですが、学級通信に書いて間接的に褒めることで、何とかなっています。やっぱり生徒にとっては学級通信に自分の行いが載るというのは、嬉しいみたいです。クラスメートだけでなく、保護者も見るものなので・・・。そして、生徒を見る目が養われてくると、学期末の通知表に書く総合所見に困らなくなります。私自身は初めて担任した時には、どの子も同じような文章になってしまい、先輩に添削してもらった際に、真っ赤になったものでした。現在では、癖がついているので、1人当たり2分もかからなくなりました。
(2)保護者とのつながりになる
私は学級通信をあくまでも、クラスの子たちに宛てて書いています。なので内容は子どもたちに伝えたいことになります。しかし、中学生たちは意外ともらってきた学級通信を保護者に見せています。中には手紙を家でほとんど見せない子もいますので、大体7~8割程度の保護者が読んでいるようです。(私のクラスの場合はですが・・・)つまり、私が子どもたちに伝えたくて書く文章を保護者も読んでいることになります。つまり私が学級経営で大切にしていることや、価値観などが自然と保護者にも伝わることになるわけです。毎年保護者懇談会の際には、学級通信についての感想や、お礼のコメントをいただきます。私の考え方や学級経営方針が保護者にも伝わっているなと感じる瞬間です。
こうして保護者に私の考え方を知ってもらっておけば、何か指導をした際に連絡を入れた際に、こちらの指導の意図を察してもらいやすいのです。「先生の通信に~~と書いてありましたもんね。」とすんなり理解してもらうことも度々です。少し打算的ではあるのですが、私は無視できない効果だと思っています。
(3)生徒と考えを共有できる場に・・・
生徒の中には、耳で話を聞いても理解しにくい子たちがいます。しかし、そうした子たちも文章で読むと理解できることもあります。また、聞いただけでは忘れてしまうことを、繰り返し読むことで理解を深める子もいます。学級通信に書く話を、SHRなどで話すこともありますが、配布した後に子どもたちが一斉に目を落として読んでくれている光景を見ると、無駄ではないかなと思えます。
過去送り出した卒業生たちの中には、「今でも大事にファイリングして取ってあります。」と言ってくれる子たちもいます。「今でも元気が出ない時には読んで励まされています。」と言われた時には、思わず顔が赤くなってしまいました。私は学級経営がスムーズになるためのツールと考えているのですが、生徒によってはそれ以上の意味を感じてくれる子もいるようです。
私が感じるメリットは(1)から順番に比重が大きいものになります。あくまでも(3)はおまけ程度です。やはり自分自身に与える影響が大きいと思っています。学級通信は担任業務としては効果が分かりにくい反面、発行するにはかなりの手間が要ります。特に慣れるまでは、大変です。書かせてもらった通りメリットはあるものの、多忙な中無理して出す必要はないかと思います。でも、少しでも「出してみようかな?」と思っている若手の先生の参考になれば幸いです。
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