45歳からの外資転職ノート 第5話 外資系企業の給与
第5話 外資系企業の給与
外資系企業の場合、業務の役割と給与の相関関係が日本企業よりはっきりしているといわれる。確かにそれぞれのポジションには明確な給与の幅があり、給与はその枠の中で決定される。「この仕事なら年収いくらですよ」というのが明確なのだ。
しかも、給与の額は職種によってかなり違う。それは一見当たり前のようだが、日本企業では長く給与体系は職種を横断して作られてきた。たとえば、入社何年目、何歳なら、いくらからいくらの幅の中で枠があるという考え方だ。
外資系企業の場合、給与見直し時の昇給額は個人業績によって異なってくる。通常は年俸制になっているので、1年ごとにボーナス、月額給与をあわせたトータルの給与は見直しされる。見直しは上司が中心になって行うので、個人業績の評価では本人と上司の1対1面談がおこなわれるのが普通だ。
トータル給与は基本給とボーナスから成り立っている。基本給は12等分で月額給与として支払われるが、ボーナスは年1回か2回、決められた時期に個人ごとに成果が評価され、支払われる。ボーナスの評価は年ごとに個人の成果によって変動するが、基本給は仕事が変わらないと1~2%アップということが多いし、成果を出せない場合はゼロ昇給ということもある。
一方、日本企業の場合、給与はある年齢までは成果や職種に関係なく毎年アップしていく場合が多い。いわゆる年功序列だ。つまり、個々の仕事の内容によって給与を変えるという形ではない。
仕事と給与の関係がどうあるべきかというのは難しい問題だ。日本企業では新卒からトレーニングをして一人前になるまでも給与アップはおこなうし、歳を重ねれば、それなりの社会的ステータスを与えられ、給与もそれなりになる。長期雇用を前提としているからだ。
一方、外資系企業では年齢に関係なく給与は職種やポジションごとに決められるという原則がある。これは合理的であるが、長期雇用へのインセンティブはないし、時として弊害が起きる。たとえば、上司が部下に何か仕事を頼んだ時「これは私の仕事ではありません。」という人が出てくる。これは仕事と給与がきっちりリンクしているために、想定外の仕事は給与の対象外という考えをする人がいるからだ。
2つのシステムのどちらがより優れているかを論じることは容易ではないが、給与決定にとって最も重要なことは、働く人たちの納得性をいかに高くできるかということだ。そのためには、会社から社員に対して、役割と給与の関係について明確な説明ができなくてはいけない。