45歳からの外資転職ノート 第11話 くび論または退職論
第11話 くび論または退職論
一般に「外資はクビになりやすい」といわれる。
出社したら一枚の紙が机に置いてあり、会議室に呼び出され、そこで会社の方針を説明されて「明日からこなくてよい」と言われたという話もある。このケースはだいぶ極端だが、外資に勤めている人間は常に、頭の隅で(いつかクビになるかもしれない)という気持ちを持っていると思う。
会社によっても状況は違う。私の入社した会社では頻繁に人が辞めるということはなかった。一般的な外資系企業において、離職率は年間で10%前後といわれている。もちろんパフォーマンスの問題さえなければむやみにクビにならないが、一部の日本企業のように、パフォーマンスの問題があるにも関わらずいつまでも辞めないでいられる「窓際族」制度はない。
外資系企業では、時に会社方針としての人員削減が行われる。ビジネス自体がうまく立ち行かなくなれば大胆な構造改革が必要になる。そこで特別な退職条件を設けて一定数の人員を削減するのだ。これにより会社はスリム化し、成長を取り戻すチャンスを狙う。会社経営としては必要な戦略であろう。
一方、辞める側からみると、自分にとって楽しくない会社なら去るのも悪くないという考え方がある。海外ではハッピーリタイアメントという考え方が日本企業より多いように思う。
一般的な日本人は退職そのものを毛嫌いしていないだろうか。退職すること自体かっこ悪いと考えていないだろうか。
本質的には、社会的な体裁よりも自分にとってよい会社かどうかが最も重要であるはずだ。体面を守るために本当の気持ちを欺いていないかと考えてみることも時には必要だ。これからの時代、会社を辞めることが必ずしもネガティブなことではなくなると思う。