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自宅でハンドドリップを楽しむための道具。コーヒードリッパーの選び方とおすすめ7選

今回は、コーヒードリッパーの選び方について紹介しようと思う。

お家でコーヒーを楽しむ人が増えてきたからか、最近は新しいコーヒードリッパーが次々に出てきている。
しかしドリッパーの特徴については、メーカーから詳しく説明されることもほとんどない。そのため見た目の違いぐらいしかわからず、選ぶときに迷うことも多い気がする。
なんとなく選びがちなドリッパーだが、パッと見てわかるデザインや素材の違いだけではなく、実は機能性や使い勝手の違いもあるのだ。

個人的にコーヒーが好きなので今までいろんなドリッパーを試してきたが、僕は現在、七種類のドリッパーを気分に応じて使い分けている。
今回はドリッパーの違いを生む要素について考察した上で、僕が気に入って使っているそれぞれのドリッパーの特徴について紹介しようと思う。
興味がある方は、ドリッパーを選ぶ際の参考にしていただけたら嬉しい。

ドリッパーの違いを生む4つの要素と選び方

ドリッパーの紹介の前に、ドリッパーの違いに関わる要素としてどんな要素があるのかを僕なりに考察しようと思う。
個人的には、主に下記の四つの要素がそれぞれのドリッパーによって異なることで、ドリッパーの違いを生むと考えている。

  1. 素材の違い

  2. 形状の違い

  3. 抽出穴の数と配置の違い

  4. デザインの違い

1. 素材の違い

ドリッパーの素材についてはプラスチック製、陶器製、金属製、ガラス製などの違いがある。

プラスチック製は安価に手に入り、軽くて気軽に扱いやすいのがメリットだ。また寒い季節でもドリッパー自体の温度が下がりにくいのも、使う際に便利なポイント。
ただし耐久性はそんなに高くない場合が多く、見た目や質感も安っぽくなりがちだ。

陶器や金属製、ガラス製のドリッパーは佇まいや質感が良いものが多いが、価格が高くなりがち。
そしてコーヒーの温度が下がりやすいので、こだわりたい人は事前にお湯でドリッパーを温めておく一手間が必要。
また陶器やガラスは、特に割れてしまうリスクもあるため、扱いの際に注意する必要がある。ときにそれが面倒くさいと感じることもあるかもしれない。一方で気に入ったものを愛着持って丁寧に使うという意味では、長く付き合うことができるパートナーになるドリッパーが多い気がする。

ちなみに、僕はあまり短いサイクルで物を買い替えたくないため、プラスチック以外のドリッパーを使うことの方が多い。

2. 形状の違い

ドリッパーの形状に関しては、円錐型と台形型の二種類が主流だと思う。

円錐形は横から見たら逆三角形のような形をしている。お湯がドリッパーの底に長く留まることがないので、スッキリとしたコーヒーを淹れられる傾向にある。
一方で台形型は横から見ると台形のような形だ。台形型ドリッパーはお湯がドリッパーの底で少し溜まるような構造になっていることが多いので、コーヒーの成分がしっかりと抽出される傾向にある。

またドリッパーの内側側面のリブの形状も、各ドリッパーによって異なっている。このリブの形状によってもお湯の流れ方やスピードが変化するのだ。

そして僅かな違いではあるが、同じドリッパーにおいても、ドリッパーの素材によってリブの形や角度などが微妙に異なることが多い。
例えばプラスチック製と陶器製のドリッパーでは、同じ型のドリッパーであれば基本的にリブのデザインは同じだ。しかしプラスチック製の方がリブの突起が鋭利で、陶器製の方がリブの突起が丸みを帯びていることが多く、その微妙な違いでお湯の落ち方に変化が生まれる(とは言え、僕みたいな素人にはこの素材によるリブの違いはほとんどわからないので、気にしなくて良いと個人的には思う)。

3. 抽出穴の数と配置の違い

どのドリッパーにも下部に抽出する穴が付いているが、抽出穴については数と配置の違いがある。

例えば、円錐型のドリッパーは真ん中に大きめの穴が一つだけ空いていることが多いし、台形型のドリッパーは小さい穴が空いていることが多い。台形型は特にドリッパーによって穴の数や配置が異なることが多い。

抽出穴の数や配置は、抽出されるコーヒーの濃度や味わいに大きく影響すると思う。

4. デザインの違い

デザインの違いに関しては、今まで紹介した三つの違いとも大きく関係すると思う。それぞれのドリッパーについて、デザインと言うより単純な見た目的な違いも大きな要素だ。

各メーカーからユニークなデザインのドリッパーが展開されているので、直感的に好みのものを見つけるのも楽しい。カラーリングもいろんなものが展開されているので、好きな色で選んでも良い気がする。
デザインは自分の趣味に応じて選ぶと個性が出る。またデザインはコーヒーを淹れる際に気分をあげてくれる大きな要素だと思うので、個人的にはドリッパーを選ぶときにおいてはとても重要な要素だ。

しかし毎日使う上で使いたくなるかどうかは、見た目だけじゃなく使いやすさや味の仕上がりも重要だと思うので、紹介した四つの要素を総合的に考えて選んだほうが後悔しないんじゃないかなと個人的には思う。
どんなドリッパーを使っても、豆の挽き方や注ぎ方を工夫すれば同じ味わいになるよう調整できるという意見もあると思うが、それだったらドリッパーの形が違う意味がないと思う。個人的には、使うドリッパーによって、絶対に微妙な味わいの違いは出てくると思うのだ。
そのため個人的な意見として、こだわってドリッパーを選びたい人は、それぞれのドリッパーの特徴をある程度わかった上で買ってみるのがおすすめ。

おすすめドリッパー7選

今回は僕の持っているドリッパーからの紹介になってしまうが、それぞれ特徴の異なる七つのコーヒードリッパーを紹介するので、ドリッパーを選ぶときの参考にしてみてほしい。

HARIO V60

まず一つ目に紹介するドリッパーは、「HARIO V60」。
僕が使っているのは、白い有田焼の陶器製のものだ。

HARIO V60は円錐形のドリッパーで、大きい抽出穴が真ん中に一つだけ付いている構造。そのため、中心に集まったお湯がそのまま下に落ちるようになっている。

またHARIO V60は、ドリッパー側面のリブが適度に深く長めに設計されているので、抽出の際の空気の通り道が十分に確保できることで抽出スピードは結構速い傾向にある。

しかしそれでも、注ぐお湯の量や速さをコントロールすることで抽出速度を調整しやすいドリッパーだと僕は思っていて、味の調節も比較的しやすいと思う。自分好みの味わいを出したい人や、注ぎ方をいろいろと研究して自分なりのレシピを作ってみたい方に向いているドリッパーだと思う。

浅煎りのコーヒーを淹れるときは、お湯を勢いよく注いで抽出時間を短くすることでスッキリとしたフルーティーなコーヒーを淹れることができるし、一方で深煎りのコーヒーを淹れるときは、ゆっくりと湯を注いで抽出時間を十分に取ることで重厚感のあるコーヒーを淹れることができる。
そのため、個人的には浅煎りから深煎りまでのすべてのコーヒーを淹れるのに適しているドリッパーだと思う。

個人的には一番よく使うドリッパーであり、真っ白な有田焼の質感とかデザインが気に入っている。
使い勝手が良く、ストレスなくどんなコーヒーでも美味しく淹れられるので、いつも使いたくなるようなドリッパーだ。

Kalita ウェーブドリッパー

二つ目に紹介するドリッパーは、「カリタウェーブドリッパー」。
ウェーブドリッパーに関しても様々な素材のものが出ているが、僕が使っているのはオールステンレス製のもの。

カリタウェーブは台形型のドリッパー。底面が丸形になっているので、お湯を注いだときにコーヒーの粉が十分お湯に浸かることで、成分が抽出されやすくなっている。

浅煎りのコーヒーは硬くて成分が抽出されにくいため、カリタウェーブドリッパーを使って淹れると浅煎りコーヒーでもしっかりとコーヒー本来の味が抽出されておすすめだ。

底面には小さい穴が三つ付いており、それぞれが均等に配置されている。
この穴の数や大きさ・配置が絶妙で、抽出した際に雑味を抑えつつもしっかりとコーヒーの甘さを出してくれるのが特徴だ。

ただし抽出速度に関しては、お湯の注ぎ方でコントロールしにくいドリッパーだと思うので、注ぎ方に関していろんなレシピを研究したい人には物足りないかもしれない。それでも安定的に抽出できるという意味では、初心者の方でも比較的使いやすいドリッパーだと思う。

Kalita カリタ式ドリッパー(101)

三つ目に紹介するドリッパーは、「カリタ式ドリッパー」。
僕が愛用しているのは、レトロな感じのブラウンがかわいい陶器製のものだ。昔喫茶店で見かけてほしいと思って購入して以来、長い間使っている。
カリタ式ドリッパーも昔からあるドリッパーで、様々な素材やカラーリングのものが売られている印象だ。

カリタ式ドリッパーは台形型のドリッパー。底面がフラットではなく谷のようなV字型なので、カリタウェーブドリッパーほどは底面積が大きくない。
そのため、コーヒー全体から均一に成分を抽出するのは少し難しいが、お湯を細く注ぎながらゆっくりと繊細に抽出しやすいドリッパーだと思う。深煎りのコーヒーを淹れやすいドリッパーだ。

底面には、小さな抽出穴が三つ直線上に並んでいる。
台形型のドリッパーは、小さな穴が一つだけしか空いていないドリッパーもある。しかしカリタ式ドリッパーは穴が三つ空いている分、一つ穴のドリッパーよりもお湯の抜けが速いので、雑味が出過ぎるのを避けながらコーヒーを淹れることができると思う。

重厚感のあるコーヒーを淹れることができるので、深煎りのコーヒーを飲む方には特におすすめだ。

Torch マウンテンドリッパー

四つ目に紹介するドリッパーは、「Torchのマウンテンドリッパー」。
僕が持っているマウンテンドリッパーは黒い陶器製だが、水色やピンク色の明るいファンシーな色のものも展開されているおしゃれなドリッパーだ。
個人的には黒がクールだと思っているので、気に入って使っている。

このドリッパーは台形型のドリッパーで、カリタウェーブドリッパーとよく似て底面積が大きい。
そしてさらに特徴的なのは、底面に大きな穴が一つと小さな穴が四つの合計五つの穴が空いていることだ。ドリッパーの底面に適度にお湯が留まるのだが、穴が多いので過度に滞留はしないような構造になっている。

側面には微妙な段差があるので、個人的には使っていてあまりお湯がスムーズに流れる感じはしない。そのため意外と抽出速度はそこまで速くないが、浅煎りのコーヒーを淹れる際はしっかりと味を抽出でき、深煎りのコーヒーを淹れる際にもじっくりと甘みを引き出すことができると思う。

フィルターは、HARIOやカリタ式ドリッパーのものも使えないことはないが、ウェーブフィルターが一番無理なくドリッパーにフィットして、使いやすいんじゃないかなと個人的には思う。
かなり研究しがいがあって、面白いドリッパーだ。

ORIGAMIドリッパー

五つ目に紹介するのは、「ORIGAMIドリッパー」。
僕が使っているのは美濃焼の陶器製で、淡いイエローカラーのものだ。形や質感、そして色がすごくかわいくて、ついつい手にとって使いたくなるようなドリッパーだと思う。

ORIGAMIドリッパーは円錐形のドリッパーで、HARIO V60よりも側面のリブがさらに大きい。そのため空気の通り道が十分にできることで、とてもクリーンな印象のコーヒーに仕上がると思う。

フィルターは円錐型のフィルターとウェーブフィルターの両方を使うことができる。
ウェーブフィルターについては、実はフィルターのリブの数がORIGAMIドリッパーのリブの数と同じでちょうどフィットするので、問題なく使うことができる。しかしウェーブフィルターの場合は、ORIGAMIドリッパーの側面にぴったりと隙間なく張り付いてしまうので、少しフィルターの目詰まりを起こしやすい印象がある。それによって抽出時間が長くなり雑味が出てしまう気がするので、個人的にはV60用のフィルターを使うのがおすすめだ。
円錐型のフィルターを使うことでドリッパーとフィルターが密着しすぎないため、スッキリとした味わいのコーヒーを淹れることができると思う。

ORIGAMIドリッパーに関しても、注ぐ湯量を調整することで比較的抽出スピードをコントロールしやすい。
そのため、浅煎りから深煎りまでどんな焙煎度のコーヒーにも向いていると思うが、リブの形状がかなり深いドリッパーなので、個人的には特に浅煎りのコーヒーをクリーンカップに淹れたいときに向いているのかなと思う。

辻和金網 手編みドリッパー

六つ目に紹介するのは、「辻和金網 手編みドリッパー」。
京都の職人がハンドメイドで作っているドリッパーで、僕が持っているのは銅製のものだ。

すごく軽くて、ハンドメイドならではの温かみがあるのが特徴。また金属の経年変化も楽しめるので、使うのが楽しみなドリッパーだ。使うほどに銅の色がくすんでくるので、雰囲気が出てくる。

辻和金網のドリッパーは円錐型で、HARIO V60のフィルターを使うことができる。
付属のステンレスの台をカップやサーバーにセットし、その上にドリッパーを置いてドリップする。

使い勝手はV60とほぼ同じだが、ドリッパーの側面の網目の構造的に、お湯が落ちる速度がV60よりもちょっと遅めだ。そのため深煎りのコーヒーを淹れるのに向いていると思う。

辻和金網のドリッパーは、ドリップしている際にコーヒーがカップに落ちていくのを見ることができるので、淹れるのが楽しい。やっぱり使っていて楽しいドリッパーが究極的には一番良いと思う。
しかも使い終わった後は水でさっと流すだけで十分なので、片付けが楽なのも使いたくなるポイントだ。

ハンドメイドなので、価格は他のドリッパーに比べると高いが、長く愛着を持って使いたくなるようなドリッパーだと思う。

KONO 名門ドリッパー

七つ目に紹介するのは、「KONO 名門ドリッパー」。
KONOのドリッパーはプラスチック製しか販売されていないため、僕が持っているドリッパーの中で唯一プラスチック製だ。

円錐型のドリッパーで、一見すると形はV60に似ているが、KONO式ドリッパーは側面のリブがかなり短いのが特徴。そのためドリッパーの側面に空気の通り道がほとんどできず、抽出速度がかなり長くなってしまうドリッパーだ。

浅煎りのコーヒーをクリーンカップに煎れるのはかなり難しいドリッパーだと思うので、個人的には深煎り専用として使うのがおすすめ。深煎りの苦味や甘みを楽しめるドリッパーかなと思う。

デメリットとしては、KONOのドリッパーはプラスチックの耐熱性がないようなので、熱いお湯でドリップし続けるとクラックができてしまう。
耐久性があまり高くないので長く使い続けるのが難しいことが難点だが、時間をかけて喫茶店のようなコーヒーをゆっくりと楽しみたい方には最適なドリッパーだと思う。

正直に言うと、僕はKONOのドリッパーは持ってはいるものの、あまり使っていない。それでも深煎りを極めたい方には手に取ってほしいドリッパーの一つだ。

まとめ

そんな感じで、今回はコーヒードリッパーの選び方とおすすめのドリッパーについて紹介した。
コーヒードリッパーの違いによって、コーヒーの味はかなり変わる。いろんなドリッパーを試してみて自分のお気に入りを見つけてみるのも楽しい。

家でハンドドリップを楽しめるようになると、毎日の楽しみが増えて生活が豊かになると思うので、ドリッパー選びの参考にしていただけると嬉しい。


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August
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