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この先も階段は続いていく〜第14-16週振り返り&プレビュー

PCCCが終わったなぁ…と思っていたら、あっという間にカナディアン・オープンが始まり、気づいたら欧州選手権が始まりそう。そんなタイミングで、シーズンの進みの速さに取り残されそうです。この後も、欧州選手権が終わったかと思えば、ナショナル➡︎日本MD➡︎軽井沢国際と続き、もう年末でしょうね。そんなわけで、Noteの執筆も遅れていたので、一通りさらっと触れる感じで、とりあえず一旦追いつきたいと思います


振り返り

パンコンチネンタル選手権(第14週)

今大会は、世界選手権出場権がかかった大会でしたが、日本代表の男子🇯🇵コンサドーレ、女子🇯🇵SC軽井沢クラブともに、世界選手権の出場権を確保し、プレーオフにも進出することができました。大会序盤から強い相手と対戦があったのは女子の方で、そこでの戦いぶりはアイスへの適応の速さを感じさせるものでした。この辺りは、女子世界選手権の反省を生かして、うまく大会に入れたのかなという気はしました。一方、男子の方は、組み合わせの妙もあってか、序盤に3勝0敗として、あと1つ勝てばプレーオフという状態に持っていくことができました。最終的に4勝目をあげられたのは7試合目でしたが、無事に予選通過を決めたという感じでした。

男子は、その後🇨🇦グジューに勝利して、結果的に準優勝となり、他方、女子は、予選2位通過も、プレーオフで連敗して4位でした。世界選手権出場権という最低目標は達成しましたが、正直に言えば、心強い日本代表だと感じるところまでは思えませんでした。前回の11位という結果からすると、日本代表に足りなかったのは、“強豪相手の大金星”ではなく、“実力の近い相手に対して勝ち星を積み重ねる”ことなのかと思っています。そういう意味では、男子が他のプレーオフ進出チームである🇨🇳中国、🇨🇦カナダ、🇺🇸アメリカに対して1勝4敗で終わったのは、心もとない印象の方が強いです。その点、女子が🇨🇳中国や🇺🇸アメリカに勝ち切れたことの方が、前向きに捉えられるかと思います。ただこちらは、オルタネイトの小野寺選手が後半多く起用されたことが、どういう判断だったのかは気になるところです。終わり方も悔しかったと思うので、ここからさらに何かを得て、もう一段上のチームになってほしいと思っています。

他の国のこととしては、🇨🇳中国が男女ともに世界選手権出場を決めたのは、予想通りではありました。中国国内での大会はむしろ以前よりも活発になっているような印象すらありますし、以前のように🇯🇵🇰🇷🇨🇳の3カ国で切磋琢磨する状態に戻るのかと思います。身近な競争相手が戻ってきてくれて、特に日本や韓国の男子チームにとってはモチベーションになるでしょう。男子で5位だった韓国の🇰🇷イ・ジェボムは、なんとか世界選手権出場を決めて面目を保ったとも言えますが、国のためというよりも、若い選手自身にとってこの男子世界選手権出場がとても価値ある経験になるかと思います。一方、女子で5位だったアメリカの🇺🇸ティーシーは、私の想像以上にタビサ・ピーターソン選手の不在を感じさせる結果になりました。産後の復帰の時期もわかりませんし、グランドスラムへの出場も継続できていません。国内の他のチームにとってはチャンスなのかもしれませんが、アメリカ女子の五輪出場に向けては不安を感じさせる状況と言えそうです。

最後に、日本代表の選び方について、1つ思ったことを書いておきたいと思います。今回の日本代表については、世界選手権に出たことがパンコンチネンタル選手権での良いパフォーマンスにつながった部分があると思います。それは良いことだと思う反面、今の五輪ポイント制が続く限り、より良い結果が欲しいのは、パンコンチネンタル選手権ではなく、世界選手権の方です。もし、先にパンコンチネンタル選手権に出場して、そのチームが世界選手権に出たのであれば、アリーナアイスへの対応を含め、もう少し実力を発揮しやすかったのではないかと、今回の戦いぶりを見ながら思ってしまいました。

2024パンコンチネンタル選手権 予選星取表
2024パンコンチネンタル選手権 プレーオフ

第14週のその他の大会

パンコンチネンタル選手権のプレーオフの裏側で進行していたのが、この「サヴィル・グランプリ」(SFM:7.0)でした。女子では、翌週のカナディアン・オープンの開催地の近くで行われた大会だったこともあり、グランドスラム出場チームが11チームも出場し、SFMが大きくふくれ上がりました。日本からも4チームが出場していましたが、予選を通過したのは中部電力だけでした。🇯🇵北海道銀行は同組になった日本のチームに勝てず、🇯🇵ロコ・ソラーレは vs🇨🇦リチャーズ戦でエキストラエンドの後攻ラストロックのドローが短くなったのが痛く、🇯🇵フォルティウスはvs🇰🇷ハ・スンヨン戦でエキストラエンドに持ち込む第8エンド最後のドローがゴミを噛んだような曲がり方をして負けたのが不運でした。中部電力もベスト8で🇰🇷ハ・スンヨンに敗れ、ポイントを稼ぐには絶好のチャンスでしたが、残念な結果に終わりました。

一方、男子はロコ・ドラーゴが準優勝🇺🇸ドロプキンとの決勝は、離されないように追いすがる試合になり、一度でもリードを奪えていれば、また展開が変わっていたのかとは思いますが、最後まで粘り強く戦う姿が印象的でした。

第14週の気になった大会の結果

カナディアン・オープン(第15週)

前の週の流れから言うと、各チームの調子はあまり良くないのかなと思いつつも、日本から女子4チームが出場するという歴史的な大会でどんなパフォーマンスを見せてくれるのか、楽しみにしていました。Xの方では、他の方の予想も聞いてみましたが、正直、私も5〜6勝ぐらいだと思っていました。

結果は“6勝”で、🇯🇵ロコ・ソラーレが3勝して予選通過、🇯🇵フォルティウスが2勝してタイブレークに残り、🇯🇵中部電力が最後に1勝して、🇯🇵北海道銀行のグランドスラム初勝利はお預けとなりました。もちろん各チームがこれ以上の結果を望んでいたとは思いますが、それぞれ次につながる結果だったようにも思います。🇯🇵ロコ・ソラーレは、先週から藤澤選手のラストロックが決まらずに苦しんでいるようにも見えますが、それでもきっちりベスト8には残りました🇯🇵フォルティウスも良い試合はあったと思いますが、あの対戦相手だと仕方ないかと思ってしまうような勝敗で、対戦できた経験が後に活かせれば良いと思います。次戦「ナショナル」に出場できない🇯🇵中部電力も、とりあえず1つ勝つことができました。🇯🇵北海道銀行は、最初の2試合に勝つチャンスがあったように見えましたが、歴戦の猛者たちのしぶとさ、そして、“勝てそう”と“勝った”の違いを感じさせられました。

アジアから女子7チームが出場する中で、特筆すべき活躍を見せたのは、日本のチームではなく🇰🇷ハ・スンヨンだったと言わざるを得ないでしょう。第15シードではありましたが、対戦相手は決して勝てない相手ではないと思っていました。とはいえ、タイブレークぐらいまでかと思っていました(そう予想しました)が、3勝して、準々決勝でも🇯🇵ロコ・ソラーレに勝って、ベスト4に残ったのは素晴らしい結果でしょう。アルゴグラフィックスカップに出場する頃の好調さは、カナダではなかなか見せられていませんでしたが、前の週の準優勝に引き続き、2週連続で良い結果だったと思います。

ちなみに、私の予選通過チーム予想は、女子5チーム(🇨🇦ホーマン、🇨🇭ティリンツォーニ、🇨🇦エイナーソン、🇯🇵ロコ・ソラーレ、🇰🇷キム・ウンジョン)、男子6チーム(🏴󠁧󠁢󠁳󠁣󠁴󠁿󠁿󠁴󠁿󠁴マウアット、🇨🇦グジュー、🇮🇹レトルナス、🇨🇭Y.シュヴァラー、🏴󠁧󠁢󠁳󠁣󠁴󠁿ホワイト、🇸🇪エディン)が当たりました。男子の方は遊び心を出さなければ全部当たってもおかしくなかった、というぐらいに強豪がそのまま残ったのですが、ランキング最上位のチームとその下との差はまだ縮まっていないようですね…。

とはいえ、本当に一番差が大きいのは、1位と2位の差かもしれません。🏴󠁧󠁢󠁳󠁣󠁴󠁿マウアットは今季37勝4敗で、グランドスラムではまだ無敗。それを勝率で上回るのが、今季33勝2敗の🇨🇦ホーマンです。世界選手権までに、この2チームを止めるチームが出てくるのかどうか…。今の姿を見ている限りでは、両チームともパフォーマンス自体が良く、特に決勝で🇨🇦グジュー相手にチームショット率98%(220/224)を叩き出した🏴󠁧󠁢󠁳󠁣󠁴󠁿󠁿󠁴󠁿󠁴マウアットは、まさに神がかっているとしか…。

24-25カナディアン・オープン プレーオフ勝敗表
24-25カナディアン・オープン 女子予選星取表
24-25カナディアン・オープン 男子予選星取表

第15週のその他の大会

🇯🇵小穴/青木がMDスーパーシリーズ3勝目をあげ、ミックスダブルス日本選手権に向けた国内ポイント最上位争いでリードを広げる形になりました。また、🇯🇵札幌国際大(三浦)も遠征を再開し、初戦で準優勝となりました。男子3チームはカルガリーでの大会に出場しましたが、ベスト8が最高でした。

第15週の気になった大会の結果

第16週以降のプレビュー

欧州選手権

今週の土曜日から来週にかけて、欧州選手権が行われます。パンコンチネンタル選手権と同様に、世界選手権への出場権をかけた戦いで、10チーム中8チームが世界選手権に出場できます。一方で、9位と10位はBディビジョンに降格になります。当然、来年はAディビジョンで世界選手権出場権を争うことはできないため、世界選手権出場は早くても2年後になります。8位か9位かで2年の差がつくと思うと、まさに“天国と地獄”という感じがしてしまいます。昨年は女子で最終戦勝てば残留の🇩🇪ドイツが🇨🇿チェコに負けて、2チームがそろって降格になり、🇹🇷トルコがかろうじて残留し、世界選手権に出場しました。

今年も上位陣は安泰だとは思います。5回の出場で5回目の優勝を狙う🏴󠁧󠁢󠁳󠁣󠁴󠁿󠁿󠁴󠁿󠁴マウアットは、十分にそれが狙える状態に見えますし、🇨🇭ティリンツォーニの連覇も十分に考えられます。普通に考えると、プレーオフ争いに絡んできそうなのは、男女ともに5〜6チームぐらいかと思いますが、大会を面白くしてくれる“台風の目”になりそうなチームとして、女子の🇹🇷トルコと男子の🇨🇿チェコを挙げておきたいと思います。これらのチームが仮にプレーオフに残るようなことになれば、大波乱ということになるでしょうが、今季の一般の大会では、今までよりも良い成績を残しているのがこの2チームです。メンバーを固定して強化を続けてきたことが、次第に結果につながって来ているのでしょうか。

あとは、Bディビジョンの方で、🇩🇰デンマークの男子(シュミット)や🇩🇪ドイツの女子(メッセンツェール)など、若返りを図っている国がいくつかあり、そういうチームがどういう結果を残すのかは気になっています。どちらも前回の世界ジュニアに出たチームがベースで、デンマークは3位で銅メダル、ドイツは6位で次回出場権を確保したチームです。

2024欧州選手権 予選対戦表

レッドディア・カーリング・クラシック

今週、日本から女子4チーム、男子2チームが参戦するのが、「レッドディア・カーリング・クラシック」(推定SFM:男子5.0、女子6.5)です。🇯🇵ロコ・ソラーレは2021年に優勝したこともある大会で、毎年かなり強いチームが集まってきます。男女ともにトリプルノックアウト方式ですが、まずは予選通過を目指す戦いになるでしょう。「ナショナル」に向けてもう一度ギアを入れ直したいチームもあれば、遠征の終わりをきれいに締めくくりたいチームもあるでしょうが、特に男子のTM軽井沢やSC軽井沢クラブは、日本選手権時点の国内ランキング最上位を狙うのであれば、できるだけコンサドーレとの差を詰めて遠征を終えたいところでしょう。

MDスーパーシリーズ@ムースジョー

🇯🇵小穴/青木のMDスーパーシリーズ出場は、これが今季4戦目。先週、通算3勝目をあげ、去年優勝したムースジョーに戻って来ました。🇪🇪カルドベー/リルや🇨🇭ペレ/リオスが参戦したことで、先週よりも少し豪華な顔ぶれですが、今年は中国のMDペアが多く参加しているのが目立ちます。🇯🇵小穴/青木と同じ組には前回世界MDの代表だった🇨🇳ヤン/ティアン(杨莹/田佳峰)がいますが、中国国内でのMDの成績などを見た印象としては、パンコンチネンタル選手権でも共にメダルを獲得した🇨🇳ハン/ワン(韩雨/王智宇)のペアの方が実は強い気がしています。プレーオフがどういう組み合わせになるのか、今から楽しみではありますが、アジア大会代表候補に選ばれている🇯🇵小穴/青木にとっては、中国代表になりうるペアの戦いぶりを事前に見られる良い機会なのかもしれません。(逆に見られる機会でもありますが)

ポイント状況のおさらい

ミックスダブルス国内最上位争い

来月に迫ったミックスダブルス日本選手権時点での国内最上位争いですが、🇯🇵小穴/青木が1位のまま、大会を迎えることになりそうです。小穴/青木は前回3位ですので、ポイント最上位で大会を迎えた時点でMD五輪代表候補決定戦への出場権を獲得することになります。これでSC軽井沢クラブ(上野/山口)を含めた2ペア以上が出場権を得るので、決定戦の開催が確実視されますが、ミックスダブルス日本選手権で優勝した別のペアが3ペア目になるのか、またはどちらかが優勝して、2ペアでの争いに持ち込むのか、しっかりと見届けたいと思います。

ミックスダブルス日本国内最上位争い(11/11時点)

4人制国内最上位争い

一方、4人制の方はもう少し時間的猶予があるものの、女子は🇯🇵ロコ・ソラーレが48ポイントを超える差をつけている状態です。208ポイントというのは、今季末のグランドスラム最終戦「プレイヤーズ選手権」への出場も確実視されるほどのポイントで、いろいろと苦労しながらも、昨季よりも順調にポイントを積み重ねているのがわかります。追いかけるチームもグランドスラムに出場するので、48ポイントは追いつけない差ではありませんが、現時点では、少し差をつけられていると言って差し支えないでしょう。

女子4人制日本国内最上位争い(11/11時点)

一方、男子はコンサドーレが暫定首位です。その差は決して大きくはありませんが、どのチームにも出場予定の大会はあまり多く残っていません。軽井沢国際で逆転できるぐらいには差を詰めてから、帰国したいところではあります。SFMは5.0か5.5になる見込みなので、決勝に残れば、準優勝でも27.5ポイントか30.25ポイントになります。ただ、コンサドーレは1月にアメリカの大会に出場するようなので、そこで再逆転される可能性はあります。この“ランキング国内最上位+日本選手権3位“という条件をどこまで追いかけるべきなのかは、各チームの判断次第となるでしょう。

男子4人制日本国内最上位争い(11/11時点)


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