#Marketing Ops 運営工数60%削減!ウェビナー運営最適化に向けたオペレーション改善
EventHubでマーケティングを担当している中尾です。これはEventHub Advent Calendar 2023の19日目の記事です。昨日はPeteさんの「AI As My Co-Pilot」でした。こちらもご覧ください!
本記事では、ウェビナーオペレーションの改善を中心に、EventHubがMarketing Opsにおいて取り組んだことをご紹介します。
Marketing Opsとは?
テクノロジーが発達し、各社でマーケティングツールやシステムの導入が進んでいます。一方でそれらを使いこなせず、マーケティング成果に繋げられないといったお困りごとも多いのではないでしょうか?
そこで近年注目されているのが、Marketing Ops(マーケティング・オペレーション)です。『マーケティングオペレーション(MOps)の教科書』によるとMarketing Opsの役割と業務は以下のようにまとめられています。
ツールを導入しただけで満足してしまう状態は、成果にコミットされていないほか、導入コストに対してペイできていないことを意味する危険な状態と言えるでしょう。
そこでシステムをしっかり運用したり、効果を可視化するためにデータマネジメントを行うなど、Marketing Opsの役割が重要になってきます。
EventHubマーケティングチームが取り組んでいること
EventHubでもシステムを活用したマーケティング施策を多数実行していたため、マーケティングに関するオペレーションを確立することは重要な課題でした。
特に過去1~2年でチームメンバーが増え、担当者同士で目線感を合わせたり、ツール運用が属人化しないように、体制を整えなければなりません。
直近でChat GPTリリースやGA4移行、サードパーティcookie規制などテクノロジー面でも大きな変化があったこともあり、2023年はマーケティングの仕組み化を徹底して強化していきました。
他部署も巻き込みながら現在マーケティング領域の運用について、大枠の全体像は以下のようになっています。
特に注力したことは
各マーケティング施策のROI可視化
Webサイト周りのデータ・パフォーマンス可視化
ウェビナーオペレーションの確立
の3点です。まずはツール導入が増えていたため、必要かどうか含め運用を検討し、担当者のみで属人化しないよう、マニュアル化およびメンバーへのラーニングを進めました。
また、膨大なデータがMAやSFAに集約されているため、多様なデータを統合して、スコアリング、Hot判定を行ったり、スプレッドシートやLookerで可視化し、各施策の状況や振り返りがしやすい状態になりました。
ウェビナーオペレーションの重要性
各マーケティング施策において、オペレーション強化は欠かせなくなっていますが、EventHubが特に注力しているウェビナー運用においてもMarketing Opsは非常に重要です。理由としては以下の3つにあると考えています。
第一に、ウェビナー担当者の工数を削減するという観点です。ウェビナーはリアル開催と比較すると、開催ハードルが大きく下がるため、回数をこなしやすくなります。
ただし開催頻度が増していくと、当然リソース逼迫で担当者はタスクに追われ続けることになります。今では週1回以上開催している企業も多く、1回あたりの工数をなるべく減らしたいと考える方も多いのではないでしょうか。開催数を確保をするためには、まず担当者の負担を減らすことが必要不可欠です。
第二に、仕組み化・テンプレ化です。ツール運用や個々のリテラシーによって属人化しやすいので、企画や運営、開催後タスクのマニュアル化は必須です。
特に複数人の運営体制だと、進行のオーナーが誰なのかわからない、システム運用のラーニングにばらつきがあるなど、運営が不安定になってしまうので、事故が発生しない運営のためにもオペレーションを整えることは大事です。
第三に、営業連携の観点です。近年ではウェビナーツールの機能性が向上しており、様々なデータが取得できるようになっています。一方でそれらのデータを活用しきれない、データの突合工数がかかってしまうなど、管理コストが発生しています。
運営側がウェビナーデータをしっかり管理できることや、それらのデータを営業チームへスムーズに連携することは、その後の商談化・受注など成果にも直結します。
運営工数60%削減に成功したウェビナーオペレーション
以上を踏まえ、本格的にウェビナーオペレーションの改善に取り組むことになりました。
複数のツールを跨いだり、他部署との連携も多く発生するため、マーケティングチームに閉じず、ウェビナー運営に関連する部署やBiz Opsチームと協力して進めました。
主に実現したことは
あらゆる業務を自動化させ、ウェビナーの運営工数を大幅削減
ウェビナーデータを一元管理し、営業連携を加速
の2点です。大きなプロジェクトになりましたが、結果的に大部分の業務を自動化できたことで、Web会議ツールなど使ったフローと比べ、全体工数の60%削減を実現することができました。
企画を除いた運営タスクのほとんどは半減以上しており、中でもデータ連携が進んだことで、開催後の営業連携やコンテンツ分析の工数はほぼ0に近い状態です。
リーンなウェビナー運営を実現できた秘訣は次のフロー図にあります。
上記のように連携面を強化したことで、ウェビナー運営に関する単純作業の多くは自動化して解決することができました。またMAとSFAを起点にデータ管理をしているため、セールスなどの他部署への部門間連携も進んでいます。
以上がEventHubのウェビナーオペレーション全体像です。ここからは、集客と商談化をテーマに、オペレーション強化によって成果が最大化できる秘訣とその詳細設計をご紹介します。
集客数を最大化させるためのオペレーション
ウェビナー担当者がまず気にする数値は集客数だと思います。毎週のように実績を追う必要があり、負担に感じている方も多いのでないでしょうか?
そこで集客を最大化させるための効果的な施策や、担当者の工数削減方法についてご紹介します。
集客準備から開催後までのあらゆる業務を自動化
集客では施策をひたすら実行することに目が行きがちですが、細かなタスクが積もりやすい部分でもあるため、まずは仕組みを作るところから始めることがおすすめです。
弊社ではMarketoフォームをWebサイトに埋め込んで登録受付を行い、EventHub上でウェビナーを開催しています。
登録受付とウェビナー開催でツールが異なると、申し込み情報を連携するのに手間がかかってしまいますが、EventHubではAPIを使ってMAツールとシームレスに登録連携ができます。
登録完了後は視聴URL(EventHub上でウェビナーが閲覧できるリンク)が送信されるほか、ウェビナー日時もGoogleカレンダーに自動登録されるので、スムーズな導線で当日参加も迷うことがありません。集客の導線を整備することで、担当者の管理コストも減ります。
ハウスリストへメール集客案内は通常2~3回程度送ることが多いため、メール周りもテンプレ化すると準備をスムーズに進められます。
メール案内はMarketoから行っており、ウェビナー情報は使い回すことが多いため、各プログラムのマイトークンを使用することで集客メールを用意する手間を省くことができました。
集客面のタスクは"ちりつも"で漏れも出てきやすいため、テンプレ化や自動化はなるべく行うことをおすすめします。
Facebookリード広告×Marketoで集客CPAが7分の1に
コストをかけて新規リードを獲得したい場合、Facebookが効果的です。中でもおすすめの広告フォーマットとして、「リード獲得型広告」というメニューがあります。こちらが実際の配信イメージです。
Facebookは機械学習やターゲティング精度が高く、ビジネス利用も進んでいるため、BtoB向けウェビナーではよく活用される媒体ですが、こちらのフォーマットでは、さらに下記2点のメリットが挙げられます。
媒体上でCV(申し込み)が完了するため、CVR向上が期待できる
MA・SFA連携に対応しており、ウェビナーオペレーションを最適化できる
通常配信に比べ、シンプルな導線になるため、CVR、CPAの改善が期待できます。
さらにFacebookは数多くのMA・SFAツールと簡単に自動連携できるので、例えばフォーム記入後にMAツールから参加案内メールを送信するなど、オペレーション面でも最適化できる、ウェビナー集客と相性が良い広告メニューです。
昨年のアドベントカレンダーでも詳細を書いているので、ぜひこちらも参照ください。
アンケートから次回ウェビナーへワンクリック登録
既存リードに対して、集客を最大化させたい際におすすめなのは、事後アンケートに、次回ウェビナーの参加受付導線を作るオペレーションです。
週1回前後の頻度でウェビナーを定期開催をされている方は、次回のウェビナーがすぐ控えているかと思います。事後アンケートにおいて、「次回XX月XX日開催予定のXXXXというウェビナーに申し込みを希望しますか?」といったような設問を用意することで、次のウェビナーにも参加を簡単に促すことが可能です。
弊社でも実際に試してみたところ、最大でCVR35%・88人の方が次回のウェビナーにアンケート経由でお申し込みいただけました。
活用のポイントとしては、
誘導先のウェビナーのテーマ・内容に関連性があること
潜在層向けウェビナーで広くした集客層のフェーズ引き上げを狙うこと
です。特に後者においては、共催ウェビナー等で広く浅く集客をかけた際、すぐに商談化するケースは多くない場合があるため、一段階ファネルが上がったウェビナーに誘導することで、ナーチャリング効果も期待できます。
またオペレーション面においても、設計を工夫すれば、受付も自動化可能です。例えばアンケート結果をMarketoのようなMAツールに自動連携すれば、次回参加希望と回答された方のみに、参加案内メールを送信することで、参加受付の手間を省くことができます。
集客状況をリアルタイムに可視化
集客数を最大化させるために、どのような施策を実行するか?に目が行きがちですが、実際にどれくらい集まっているのか、目標に対してオンペースなのかをしっかり管理することも大事です。つい忘れがちですが、必ずチーム無いで目標値と施策実行を管理します。
また集客状況は担当者やチーム内だけでなく、社内全体にも周知することで、会社全体を巻き込んで集客協力を依頼しやすくなります。
マーケティングチーム以外の方だと、意外と次の自社ウェビナーがいつ、どこで、どのようなテーマでやるのか認知されていないことも多々あったため、集客状況や、開催予定のウェビナーの概要をSlack通知させることで、他チームでも把握しやすい状態を作りました。
詳細の数値はSalesforceキャンペーンとダッシュボードで管理しているため、それぞれのウェビナーにおいて、何人集客できていて、どんな人が集まっているのか、すぐに確認できるようになりました。
商談化を見据えたデータマネジメント
ウェビナー成果において、集客の次に困ることは商談化・受注だと思います。
集客では開催日までにできることをしらみつぶしのように、1つ1つ地道にこなしていくことが最終的に功を奏しますが、商談化については、コンテンツの質、営業連携のスピードなど、様々な変数が介在してきます。
そこで、ここからはオペレーション面ですぐ改善ができる営業連携の秘訣についてご紹介します。
参加者の行動ログをMA・SFAへ連携
ウェビナー開催後にまず確認したい情報は、参加者のウェビナー視聴状況です。コンテンツを見たかどうかで、営業アプローチの仕方も変わるため、Salesforce上でウェビナーデータの詳細が参照できる状態にしました。
まずはMarketoとSalesforceの受け皿として、出欠情報をステータスで管理するようにしています。また視聴分数やアンケート回答有無、その他のウェビナーに関するデータはプログラムに紐づくカスタムフィールド(Marketo PMCF)においてデータを保持させ、Salesforceキャンペーンメンバーに同期させています。
Salesforceのリードや取引先責任者に保持させると、ウェビナーごとにデータが上書きされてしまうため、1プログラム/キャンペーン = 1ウェビナーの構造で、その配下にデータを格納すると綺麗に集約できます。
EventHubではウェビナーデータをAPIでMA・SFAに自動連携できるので、開催後はインポート作業等せずにデータ連携が実行され、手間かけずに営業側へ情報を渡すことが可能です。
アンケート回答結果をSalesforceへ一元管理
営業連携において、事後アンケート結果をどのように活用するか、も悩みポイントの1つです。
せっかく参加者の7~8割からアンケート結果を回収できたとしても、営業活動に役立てられなければ、商談化につながりません。私たちも当初、アンケート結果をスプレッドシートで管理していたため、同様の課題を抱えていました。
そこで、Salesforceにアンケート結果を格納させる受け皿と、回答後即時にデータが自動連携されるように、Biz OpsチームとSalesforceの設計を進めました。現在の下記のように運用しています。
Salesforce側には設問内容を格納する「アンケート」と、その回答結果を格納する「アンケート回答」というオブジェクトを用意し、キャンペーンと参照関係にしました。キャンペーン - アンケート - リード/取引先責任者が紐づいた状態になります。
あとはアンケート情報をそれぞれのオブジェクトに自動連携させればデータが一元管理できるようになります。
アンケート回答結果に加え、申し込み情報、視聴状況など、ウェビナーに関するあらゆるデータがSalesforceに集約されたことで、ウェビナーリードや優先度リストなどを作成する手間がほぼ0にまで削減できました。
各ウェビナーから商談、受注への寄与度を測定する
ウェビナーの成果を測定する際に、どのウェビナーから商談、受注が生まれたのかを把握したいと考えたことはないでしょうか?
特に定期開催することでウェビナーの回数が増え、どのコンテンツが勝ちパターンなのか、知ることはROI観点からも重要になってくるでしょう。
参加者の視点においても、複数回参加することで、サービスへの興味・関心が高まり、その後のフェーズに進みます。
以上を踏まえると、商談直前のウェビナーのみを評価するのではなく、各回に傾斜をつけながら評価するアトリビューション分析を用いることで、それぞれのウェビナーの役割や寄与度が可視化できます。
Salesforceをお使いの方は、キャンペーンインフルエンス機能を活用することで、各ウェビナーからの寄与度が測定可能です。
ウェビナーごとにキャンペーンを作成して、キャンペーンインフルエンスを起動すれば、商談作成後に関連するウェビナーキャンペーンが自動で紐付きます。最も影響力があるキャンペーンには主キャンペーンソースが割り振られ、それぞれの影響度合いが分かるようになります。
ウェビナーを多く開催されている場合は、コンテンツごとのターゲットや想定フェーズなどを定義した上で、ユーザージャーニーを設計し、キャンペーンインフルエンスで実際の効果を測ることで、コンテンツ設計のPDCAも回しやすくなります。
おわりに
EventHubがMarketing Opsの一環として取り組んだ、ウェビナーオペレーションの改善全体像をご紹介しました。
1年前と比べ、大幅に改善することができました。一方でまだまだ改善点も多いので、より成果の出るウェビナーを目指すべく、今後もオペレーションの強化を続けようと考えています。改善点やオペレーションのノウハウのお持ちの方はぜひコメントいただけると幸いです。
ウェビナー運営の自動化に関する詳細や、他のTipsについては下記アーカイブでもご紹介しています。ぜひこちらもご覧ください!
EventHubでは、各ポジションの採用活動を強化しています。ご興味がある方はぜひご連絡ください!
明日の記事は今回のオペレーション改善にも多岐にわたってご協力いただいた1人でもある、Corp IT / Biz Opsの横山さんが担当です。お楽しみに。