🔴いつも大安吉日160 〜公共水道の元栓を止めてみた〜
【祭りは暮らしで暮らしは祭り】
「トントンっトントンっトントンっ」
鍛冶屋が鉄を一定のリズムで叩くように
大工が釘をリズムよく打ち込むように
昨日はうちからそんな音が鳴りつづけていた
🔴どうなる山の水計画
静かな朝だった
ぼくは久しぶりに集中して「いつも大安吉日」を書くことができた
頭を整理しながら、二時間ほどかかって書き終えたころに思い出した
今日から横に流れる沢の上の方で、砂防ダムをつくるための伐採がはじまるんだ
去年の台風からの計画で、砂防ダムができることはすでに決まっている
そのために工事車輌が入る道も完成した
春に運んだ水を引くための黒いパイプ
「伐採で倒れた木や、その木を引き出すときにキズつけてしまいそうなので、お願いします」と言われ、山から引き出すことを頼まれていた
ここ二週間くらいの間に、なんども業者の方と県の担当の方がきて話しをしていた
そしてひとつの残念な結果も出てきた
ぼくが引いたパイプが工事区域内に入っていたので、引き出すことはまあしょうがない
しかし、なるべく最短距離で引いていたので、遠回りすれば当然黒パイは足らなくなる
さらに、工事区域内から出るには黒パイをもっと高いところに引かないといけない
そうすると取水口との落差がなくなる
すべてのポイントを測量してもらって、ぼくの取水口近くに置いたタンクは、落差が足りなくなることもすでにわかっていた
水の自然落下を利用した山の暮らしの肝
落差がなければ水を引くことができない
この夏に風呂を作ったタイミングで、沢から風呂に、風呂から家に、その黒パイからの沢水を引くつもりでいたのに⋯
このアホみたいに寒い地区では、給水はなるべくシンプルに、枝分かれさせずに一本でいくのが、前の暮らしから覚えた暮らしの知恵
何箇所にも別れて蛇口があると、真冬は凍結防止のためにすべての蛇口を「ちょろだし」しないといけないんだ
沢水だから出しっぱなしは問題ないけど、いつものクセで無意識に蛇口を締めてしまう
すると水道管は凍ってハネる
凍ると体積が大きくなるから、逃げ場がなくなって水道管を裂きながら割るような感じになる
そして昼間に温度が上がって氷が溶けると、そこから水が大噴射するってわけなんだ
群馬の山でやっぱり何度も経験した
いまで約270メートルの黒パイを引いている
さらに上に行けばもちろん落差は出せる
しかしずっと上の方にも、ゆくゆくは砂防ダムをもうひとつ作る予定らしい
約300メートル地点にあった、岩の間からしみ出ていたうまい水は、いまはもう完全に土砂の下に埋まってしまっている
そんなことが、昨日まで続いた祭りの直前に正式に決まっていたんだ
沢から水が取れることがあったから選んだ、ここ大日向古谷での暮らし
もう少し様子をみて考えていこう
「いまはしょうがない」
そう思って泣く泣く黒パイを引き上げた
🔴祭りが暮らしに
いまはうちにも公共の水道がきている
洗い物と風呂に使われている
タイミングが重なるそれが「流れ」なのか
一昨日のお祭り中に水道の検針があった
前からの漏水がよりひどくなっていた
この寒い地区では水道管が深く埋められていて、「サクッ」とは直しづらいんだ
「夏に風呂が出来てしまえば、公共の水道とはおさらばだー」と思っていたのに⋯
少し状況が変わってしまった
黒パイ作業を終えてうちに帰ってくると、だれもいなくなった祭りの会場が見える
沢の奥にあるドラム缶風呂に想いが向く
そのとき思ったんだ
「風呂あるじゃーん」てね
ちょうど家族もみんないなくなった
ぼくだけなら水道はいらない
この先のことなんてわからない
大事な根っこはもちろんイメージしておく
でもそこまでの道のりはいくらでもある
このまえの祭りがそうだった
やってみたらわかったことがたくさんあった
まずはいまできるいちばんの「わくわく」
「ぼくは公共水道の元栓を止めた」
家族が戻るまではこれでいってみよう
🔴暮らしが祭りに
祭りで山に赤土を掘りに行った仲間が来た
ひとり三和土を叩いていたところを、いっしょになって叩いてくれた
細かい手作業を生業にしている彼は、「この真逆の作業はかなりいいね」といって、思いきりカケヤ(おっきなハンマー)を振り下ろす
ぼくもとなりで太い材を使って突き固める
「トントンっトントンっ」
「カンっカンっカンっカンっ」
ぼくと彼のリズムが心地よく重なる
外で薪割りをしてくれている、彼の息子の斧のリズムも重なってくる
「トンカンドンっトンカンドンっ」
仲間とつくる気持ちいい空間
やっていることは祭りと同じ三和土作業
怒涛の祭りの日々がここにつながっている
祭りから暮らしにつながる
「いやいやっ」
そこに「祭り」と「暮らし」の区別なんてものが、そもそもあるのか?
祭りは暮らしなんじゃないか?
暮らしは祭りなんじゃないか?
春の祭りは豊作祈願と無病息災
夏の祭りは疫病退散と厄除け
秋の祭りは収穫への感謝
冬の祭りは労いと新春のお祝い
農耕の暮らしにつながる祭りが多いんだ
やっぱり祭りと暮らしはともにあるんだ
🔴無心
夕方にも近くの仲間が親子で叩きに来た
みんなけっこう好きなんだよね
無心でひたすらつづく作業に何がある?
ぼくにはひとつしっくりきている、経験からくる答えをもっている
ぼくの答えと同じようなことを、その親子もひとことでこう言っていた
「ハイだね」と
集中しないと怪我をする作業でもあるし、チカラもいるしリズムも大事だ
いまの瞬間にだけすべてを突っ込む
頭ではとくに考えず、まさに無心
そんなときは、いつも余計なことまで考えすぎてしまうさわがしい頭の中が、「すーっ」と広がって開放されていくんだ
「ゾーン」て言葉も同じ感覚なんじゃない
ひらめきや気付きが「フッ」と湧いてくる
それを「メッセージ」って言う人もいる
ぼくもいいビジョンが突然見えたんだ
みんなが喜んでくれて、たのしくつながけているすてきなカタチが見えてきた
またあとでまとめてお知らせするね
🔴いい日がつづく
猫のロクのトイレ代わりにされないように、三和土はブルーシートと板で塞いだ
でもほんのちょっぴりの隙間を探し当てられて、やっぱりロクに掘り返された
でも、作業が終わってドラム缶風呂に入れば、汗といっしょにそんなことは流れていく
ドラム缶風呂からの空と山がきれいだった
すてきな流れのなかでまたいちにち過ぎた
「いやー、いいねぇー」
今日もばっちり晴れてるね
ではみなさんもすてきないちにちを
五穀豊穣 子孫繁栄
大安吉日や さかいひろし
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