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🔴いつも大安吉日13 〜ひなたぼっこ〜

【ひなたぼっこ】

「この横には蔵があってなー」

「おれたちがちっせぇーときからあったなー」

「ばあちゃんのばあちゃんが植えたってきぃーてるぞぉ」

ひさびさの伐採仕事

現場は「ひなた」って呼ばれてるところ

北の山は近くにあるけど日あたりのいい気持ちいい場所


ぼくの住む地区は大日向

ひなたに「大」がついて、 それはそれはぽかぽかしてそうなありがたい地名

うまれたこどもに名前をつけるときの親心

「まわりのみんなをあたたかく照らしてくれる人に育ってほしい、照子にしよう」

「まっすぐ強くしなやかで、生気に満ちた人になってほしい、このこは麻子にしよう」

希望やすてきな未来を願ってつけた名前

これをこのまま地区の名前決めに置き換えてびっくり

大日向地区

「大いにお日さまが向いてくる地区になってほしい、大日向でいこう」

いまはまだ日あたりが悪い

散歩をしていたおばあちゃんとのおしゃべりの中で、うちのあたりのことをおばあちゃんはこう言った

「陰地、かげち」と

ひなたであったかいのがいいな

人生の大先輩でもあり
仲間でもともだちでもあり
伐採の親方でもあるおじさん

ひなたは親方の生まれ育ったところ
いまも暮らしのあるところだ

依頼主とも昔からの付き合い


ちいさなわ

「カァーッカァーッ」

烏が木のいちばんさきっぽで鳴いてる

「あいつらは木が伐られるのわかってんだよ」

親方がはなす

酒と塩で場を浄めて手をあわせる

「怪我なく作業が終わりますように」

大きな木でも倒せる広さがあって、倒しやすい木なら寝かせるのにそんなに時間はかからない

「ごぉーっ」と風をきりながら木が寝転んだ

地鳴りのような重い音


150を越える年輪がつまってた


近所のばあちゃんたちが集まってきた

同じ大きさの木をつづけてもうひとつ倒したところで一服

「ひなたの木が伐れたぞー」
「みんなでお茶飲もー」

親方が自分より二十も三十も上のばあちゃんをチャンづけで呼ぶ

ばあちゃんも親方をチャンづけで呼ぶ

畑でつかう黄色い収穫カゴがつぎつぎ置かれていくと、そこにはちいさな「わ」ができあがっていた


お手製漬物に茶菓子、お茶にコーヒー栄養ドリンクにポカリ、りんごにばななもでてきた

湯呑みが空になればすぐに茶が注がれる

まわりを見ながら手もよく動くが口も動く

ちいさい「わ」の中に人の数とおなじだけステージがある

ひなたのはなし
畑のはなし
死んだじーさんのはなし
倒れた杉のはなし

いろんな話しを聞く

昔からその場所に根を張って暮らす人たちの話し
そのリズムが刻まれた体

倒す木はもちろんいつもちがう
倒し方もそのときそのときでちがう

強い風の日も
雷が落ちたこともあったらしい

木だって毎日毎日太陽に向かってのびている

たくさんの時間を越えてきた大きな木

そのあとが木の伐りくちに年輪としてしっかり残る

八十年も九十年もそこに暮らすばあちゃんも木みたいだ

チャンづけて呼ぶのもちっさいころからみんなを見てたからかな

体に染み込んだここでの暮らし

ばあちゃんのひび割れたごつごつの手はシワだらけ

まるで年輪みたいだ

木を伐らせてもらったこと
おばあちゃんと「わ」を過ごしたこと

ぼくの年輪にも今日が刻まれる

この時間好きなんだよな

五穀豊穣 
子孫繁栄 
大安吉日や さかいひろし

#大安吉日や
#佐久穂町大日向
#もちつき #出張もちつき
#ぽん菓子 #出張ぽん菓子
#私の仕事

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