「坂口恭平日記」展を観て思ったこと (@熊本市現代美術館 2023/3/15訪問)
展示室に足を踏み入れた瞬間「やられた~降参しました!」と嬉しい悲鳴を上げたくなりました。パステルで描かれた海や空の色が、場所こそ違えど、前日に見た風景の色によく似ていたからです。
これも引き寄せ?否、前日の海岸ドライブは急遽決まったことで、熊本行きの切符は早くに買っていたので、前日見た風景のデジャブだったのかと・・。
坂口恭平さんのことは、以前、こちらの熊本市現代美術館で知りました。確か「0円ハウス」の話だったかと。何か非常にユニークな活動をなさっている方だと記憶したのが最初だったと思います。2012年から「いのっちの電話」を始めたことや、小説、エッセイを書いたり演奏したり、料理、編み物などの作品を発表したりなど、同美術館に行く度に何らかの坂口さん情報を知ることができました。Twitterもフォローしてみたら、ご本人は躁鬱症を患いながら「いのっちの電話」や様々な創作活動をなさって生活されていると知り、その作品を観たいと思っていました。
*「いのっちの電話」について何か説明文がないか検索したら、出版されている本の内容紹介が一番わかりやすかったので、下にリンクを貼ります。
さて、坂口さん。Twitterを拝読する限り、最近は畑での農作業や、熊本市内に専用の美術館を作られるなど精力的に活動されていますが、躁鬱症を患っておられるので調子が悪い時は一旦止めて、また調子が良くなれば再開・・という感じのようです。今回は熊本市現代美術館メインフロアを使っての大個展ということで、とにかくその作品を観たくて伺いました。
作品はパステル画、約650点と会場内にアトリエ。
そして、アトリエでは一心不乱に制作中の坂口さんの姿が・・。集まっていたギャラリーに「(スマホで撮影した写真と比べて)ちょっと違うね」と言いながら楽しそうに作品を仕上げているご様子は実に自然体。正規の美術教育は受けられてないはずですが(大学時代のご専門は建築のよう)「今」を楽しんでおられるお姿はとても素敵でした。
そもそも、正規の○○、専門の○○・・という言葉自体が、この方の活動には似合わないのです。
その人自身がブランド、「唯一無二」。
人は本来、そのように「楽しんで」生きていっていいのではないかしら??
沢山の作品群を観ながら思ったのは、私は絵は描けない(もしかしたら描けるのかもしれないけど・・)けれどこの空の色、海の色を言葉で、文章で表現できたらどんなにいいだろう、ということでした。絵でも音楽でも文章でも、その人ができることで「感動」を表現する。そしてそれを共有する。そんな毎日は心から楽しいでしょうし、「生きている」という実感にあふれたものになるのでは。私ももっと言葉を、文章を磨かないといけない。短いものでも長いものでも、もっと書いてみよう、書いてみたい!と猛烈な創作意欲が沸いてきました。
ここ最近、様々なブロックが外れている私の「心に刺さる」展示であり出会いでした。心に何か引っかかるものがある方は、是非、直接作品を観てそこに込められたパワーを感じて欲しいと思います。
「坂口恭平日記」2023年4月16日(日)まで、熊本市現代美術館で開催されます。一般1,100円。JAF会員割引がありますので、カードをお持ちの方はお忘れなきよう。
帰りの便までまだ時間があったので、熊本城まで歩いてみました。現代美術館からすぐにお城が見えます。修復工事が進行中ですね。
最後に、この前日に長崎市の野母崎方面までドライブして見た景色。この海の色、空の色が坂口さんの絵とよく似ていたのが驚きのデジャブ体験でした。
では、最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
*熊本市現代美術館のHPはこちら