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【読書記録#9】教えないスキル ビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術
0.038%。
スペインでプロ1部リーグに所属できる確率です。
数でいうと2600人に1人になります。
プロで華々しく活躍したとして、
引退後5年で自己破産する確率は
60%
という調査結果まであるそうです。
「高級車から軽自動車に乗り換えられる感覚が備わっていないと、プロとしてのキャリアを積んでいくことはできない」
と例えられています。
スポーツ界に携わる中で
僕もこの現実を感覚的に知っていました。
スポーツを通して競技能力を伸ばすだけじゃいけない。
ではどんな力をどう伸ばせばいいんだろう?
そう考え始めたのが4年前です。
『教えないスキル』は
本来のスポーツ指導の在り方を根底から見直した
ビジャレアルの取り組みが紹介されています。
名門のクラブでさえ、これまで築いた指導を
現代に合わせて変革していると分かりました。
SDGs(持続可能な開発目標)がありますが、
これまでの日本教育の一方的な指導は
一時的な育成で終わっているように思います。
「持続可能な人材育成術」を
これから一層探求して普及させたいと僕も思っています。
サッカーに関わらず、スポーツ指導者のみなさまにも
この考え方や取り組みは参考になるはずです。
以下、記録として、
本書の内容と気付きを載せておきます。
・メンタルコーチ(コーチディベロッパー)と共に、
客観的にこれまでの指導を見つめなおすことをスタート。
・「0.038%」という現実から、
「フットボーラーを育てればいいわけじゃない。”人”を育てるのだ」
という結論に達した。
・指導者は、
選手の学びの機会を創出するファシリテーター(潤滑油)に過ぎない。
・メンタルコーチは、監督・コーチのサポートも行う。
メンタルコーチは解答用紙を渡す役割ではない。
「あなたたちはどういう選手を育てたいですか?」と問いかける役割。
・メンタルコーチ
「自分たちは答えをもっている人間ではないし、問題を解決する仕事でもないのよ」
つまり、自分たちで気づいたものを学びにしなさい。
以下、指導改革で指導者から出てきた「問い」
・指導者としてプロフェッショナルだというのなら、選手のピッチ上でのパフォーマンスだけに注力していいのだろうか?
・彼らがフットボール選手じゃなくなったとき、彼らがどんな人間になっているかというところに責任をもつ。それがプロの指導者として責務じゃないか?
・彼らが華々しい状態でなくなったときに、私たち指導者の成果がはかられるべきではないか?
・リーグで何位になりました。代表選手に何人輩出しました。自分の勲章のように誇らしげに語るのは、本当のプロの指導者なのか?
ビジャレアル【考え方のベース】
・「まずアンラーン(学び壊し)から始めよう」
→アンラーンすること自体は人は嫌う生き物。
だから合言葉は「とにかく、一周しておいで」。
一度ぐるっと回って違うものを見て来てはどうか。
それでも「前が良い」と思えば、戻ってくればいい。
・自分でこうだと思っている確固たる信念みたいなもの、
一番譲れないものにこそ
「クエスチョンマークをつけて、こころに余白をもて」
・「ペティコミテ(「ミニ会議」「ここだけの話」という意味のスペイン語)は許さない」
・相容れない意見もたまにでることもある。
チームスポーツなら、指導者同士でもそう。
だから「受け入れられなかったら、まずは受け止めよう」
・「自分の力でどうにかなるものなの?」
勝つためには…相手のFWが…
など自分の力が及ばないことに時間を費やすことは無駄である。
→自分の持っている答えを押し付ける習性ではなく、
「自分が行動すれば変化が起こる」ことに集中し、その環境を創り出す。
・オープンクエスチョンの問いで「考える癖をつける」
・「いいね!」△
より価値のあるメッセージは、
「なぜそのアクションをしたの?」と聞いて
自分は認められている、
自分の意見を聞き入れてもらえていると選手が感じること。
・練習を何時間行うかではなく、
「学習効果を高めるためのスポーツ環境づくり」
・「心地よく、かつ失敗できる環境を提供することこそが、
選手にとっての学びチャンスになる」