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サハラで出会った一番美しいもの
午前5時30分、腕時計のアラームが鳴った。
暗闇の中、“砂漠の民”ベルベル人のガイドがテントにやってきて出発を告げる。これからサハラ砂漠の日の出をみるために、高い砂丘を登るのだ。
ひんやりした空気の中、僕を含めたキャラバン参加者たちは、ガイドの後を追って足元が見えない砂丘をズボズボ登る。頂上に到着すると、みんなで横一列に並んで砂の上に座った。後はただひたすら待つのみ。
舞台の緞帳が上がるかのように、暗闇に隠れていた世界が少しずつ輪郭を見せ始める。空の色は、数分ごとに、赤、ピンク、オレンジ、黄、青と変わっていく。
砂の地平線から光が顔を出した。一行を眩い光が包み込む。息を呑むような日の出の姿に、感嘆の声が上がる。
「すげえ」
「きれい・・」
「おおー」
ふと、その場にいる仲間たちの方に目をやった。同じ一点を見つめる人間の横顔はなんて美しいのだろう。
僕は、この旅で一番いいものを見れたと思った。
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