自社サービス、SaaSでのNPS取得の失敗、アンチパターン

NPSの取得方法についての記事はいくつか見かける。それらの記事は概要的な記事が多く、より具体的なNPSの方法、アンチパターンについての記事をあまり見かけないように思う。

自社サービス、SaaSでNPSを5年以上行ってきて、失敗したこと、アンチパターンについて記載する。


よくある間違い

NPS取得のアンチパターン

NPSを0から10ではなく、1から10で取得してしまう

これは、NPS初心者によくある話で、なんとなく1から10が収まりがよいため、意識せずに1から作ってしまう。

今まで、「NPSをやります!」となった時に、NPS入力フォームのレビューをすることが多々あったが、かなり頻繁にこの指摘をしている。

下手したら、気づくのが遅くて、1から10で取得してしまっている場合もある。

こうなると、NPSの値としては、使い物にならないので、非常にもったいない。また、NPSを回答する人がNPSを知っていたら、NPSを取りたいのだろうが、この会社大丈夫だろうか・・と思ってしまうリスクもある。

サービスの利用前にNPSを取得してしまう

サービスの利用前にNPSを取得してしまっても、回答者は判断が付かない、または、期待値だけで回答をしてしまう。

サービスの利用開始後に、NPSを取得するようメールの宛先から外す等工夫をすべきである

複数サービスを一つのNPSで取得してしまう

例えば、メルカリみたいなフリマサービスと決済サービスがあり、そこからさらにスキマバイトまでサービスを拡充しようとしているような会社がある。

そのような複数サービスを提供している場合、シェア、競合状況、フェーズ等いろいろな違いがあり、一緒くたにNPSを取得すると、それぞれのサービスで判断がつかない。

極端な話、競合が強い分野に手を出してしまった場合、NPSが急に下がってしまうリスクがある

そのため、サービスごとにNPSを取得し、かつ総合サービスとしてもNPSを取得することが望ましい

総合サービスとしてもNPSを取得する意味は、個別のサービスが連携していて便利だったり、コストメリットがあったりという総合的な評価を取得するために有用である

例えば、楽天の個別のサービスは楽天ブックス、楽天ふるさと納税、楽天PAY等個別では、人にそこまでお勧めできないが、楽天経済圏を利用したポイント還元を考えるとトータルでお勧めできるみたいなケースがある。

サービスを利用していない人にNPSを送ってしまう

さすがに解約している人に送ってしまうことはそうそうないと思う。しかし、複数サービスをそれぞれ個別のNPSで取得しようとした際に発生してしまう。

例えば、フリマサービスは使っていて、決済サービスは使っていない場合、決済は「使っていないので、5点」のように回答されて、NPSのノイズになるリスクがある

対策としては、「サービスを利用していない方は、回答無しでお願いします」のように注意書きをして回避できる。

NPSの数値だけを取得してしまう

NPSの数値だけを取得すると、点数はわかる。しかし、なぜこの点数にしたのかということと、何を改善すればよいのかがわからない。

そのため、NPSの取得時は、「このように評価した理由をお書きください」のような自由入力記載や、選択肢入力を含めるべきである。

NPS以外の質問を大量に取得してしまう

せっかくなので、NPS以外のアンケートも聞きたくなってしまうことがあり、欲張って、大量の質問を追加してしまうことがある。そうすると回答率が下がるので、3〜5分程度で回答できるボリュームにすべきである。

NPS取得後のアンチパターン

NPSを取得してそのままにしてしまう

NPSを取得したら、NPSの悪い回答を分析し、改善のためのアクションを決めるべきである。

NPSの分析は、評価の理由を例えば、機能不足なのか、サポート不足なのか等を分類し、NPSの引き下げ要因を分析する。

分析、アクションの決定無くして、NPSの改善なし。

また、NPSの点数が悪かった場合に、なぜその評価なのかを記載してくれていればまだ改善のしようがある。しかし、記載が無い場合は、必要に応じて、ヒアリングをしたほうがよい。

NPSの点数が悪いことは、チャーンリスクがあるということなため、解約の前に、気づけたと喜ぶべきであろう。

NPSがマイナスで落ち込む

日本人は海外と比べてアンケートが中心寄りになるため、NPSはマイナスに寄りやすい傾向にあるのは有名な話である。

そのため、NPSはまずは、目指せ0点くらいがよいように考える。
あとは、前回のNPSと比較して、改善していることを確認することが大事である。



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