妄想家族 『ひやして』
それはまだボクちゃんとおねぇちゃんが、
自分の名前を漢字で書けない頃のこと
ケーキを食べていたのだという
食べ終わったお皿を持って立ち上がったおねぇちゃんに、
おかあさんは言いました
「ちゃんとひやしといて」と・・・・
おねえちゃんはちょっと疑問に思いましたが、
言われたとおり、丁寧に冷やしました
お風呂上りにおかあさんが、冷たい飲み物を飲むために冷蔵庫を開けると、
そこにはついさっきケーキを食べ終えたお皿がおいてあった
「ちょっと! なんでこんなところにお皿が入ってるの」
おかあさんはちょっと強い口調で皿に向かって言いました
そんなおかあさんの背後から、そそと現れたおねぇちゃん
「だって、おかあさんが『冷やしといて』っていうから」と答えた
おねえちゃんはすでに涙声・・・・
だけどおかあさんは大爆笑!
ひやすって、
「水につけといて」ッてことだよと、大笑いした
おねぇちゃんはますます涙が込み上げてきて、
「だって、おかあさんが冷やしてって言ったからー」と、
安心ともなんとも言えない声で大泣きしましたとさ
お茶碗ひやして…は、方言
ちゃんと「お水につけて」と言えばよかったと
まだまだ田舎の訛りに染まらない娘に申し訳なさでいっぱいだった
いいなと思ったら応援しよう!
まだまだ未熟者ですが、夢に向かって邁進します