妄想家族 『どっどちゃん』
とあるマンションの隙間から、キュキュッ…とタイヤを鳴らして横切った
ふくよかでボリューミーな体を揺らし、ジャカジャカ…とペダルを踏み込むどっどちゃん
黒字に白のどっどちゃん。今どきの大きなレースの襟を揺らして、前傾姿勢でジャカジャカジャカ…
これからどこへ行くのかな?
駅に向かっているみたい?
あの坂道を登るのかな?
現役高校生ですら、途中で挫折する坂だよ?
勢いつければ行けるのかな?
余計なお世話だね…
背中のリュック、小さそうだね。お弁当が入っているのかな?
見た目で食いしん坊と判断したわけじゃないよ、誰でもお昼は食べるもんね
わたしもこれからご飯なの。今日は素うどんだよ、ネギをたっぷり乗せてね
それだけじゃ物足りないから、どこかで揚げ物を調達しようと思っているの
でも、今夜の我が家は「ほっけ」だからね、揚げ物はやめた方がいいかもね…
どっどちゃんもきっと、お弁当に揚げ物が入っているね。決して見た目で判断したわけじゃないよ。ただ…
ただね、美味しそうに頬張る姿がかわいいだろうなって思っただけ
あぁ、やっぱり
坂は登らず下の道を行くんだね。なんとなく、そんな気はしていたけどね、そうだよね
これからの大事の前に疲れちゃうよね、どこに行くのか知らないけれど…
じゃぁね、どっどちゃん。また会えるかどうかはわからないけど、元気でね
信号で止まった時間に見掛けた風景でした
まだまだ未熟者ですが、夢に向かって邁進します