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日曜日はお父さんの日

夫(つま)といて日向に顔のほころぶや言の葉の端ふたり包みて

やわらかな時の間に間に顔あわせ他愛なきこと話すうれしさ

目を細めやさしきものを紡ぎいる白髪の夫(つま)入れ歯とる我

蕎麦を食う夫(つま)のとなりに転がりて床を汚して豆乳を飲む

映画観るしみじみ笑いしみじみと夫(つま)と目尻の涙拭くなり

夕方のまだ陽の高き秋の口夫(つま)と並びて転がっている

漫画本読みつつうつらうつらする夫(つま)と交わすはこの心地よさなり

朝からの罪のなきよな冗談のふっと途切れて夫(つま)眠りたり

少年の顔つきになる寝顔撫でついつい癖で写真撮る我

陽に当たりぬくもり残る寝室の布団にふたり伸び伸びと居る

お陽さまの匂いの残る布団にて夫(つま)は寝言でああ気持ちいい

夫(つま)の横どうにも離れがたき我しかしそろそろトイレ行くかな

危なげな世情のニュース流れくるこんな日なれば死も悔いはなし

得も言えぬ夫(つま)との空気噛みしめる他にはなんの欲得も出ぬ

死ぬだとか生きるだとかというものも越えてしまえる夫(つま)とこの今

あの世にかこの世にあるか極楽は日曜のたび我が家なりけり

小さくもささやかなれどふたりして胡麻蕎麦を食うときの充実

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卯月妙子
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