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『天秤』

時は千里にしてまき戻らぬ私の北条
切れ切れに生きて切れ切れに死ぬたくさんの水色
私の中の臓腑は金魚鉢の中に泳いで
血管という血管をすべてきれいに削ぎ落とした

「この苦しみがわかるかい?」

そう言ったのは
精神科の待合室にいるあなただったかそれとも
あなただったか

ベットに横にならなければいられないほど
脂汗をかいた私だったか

散り散りになった私の脳漿が
私を屹立させないのか

「おかげさまで精神状態がとっても安定しています」

滑らかに私は今日そう告げたのだった

ではこれは何だ
私の足は震え両腕は力なく
椅子に座ることもおぼつかないではないか

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