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78歳を迎えたお父さんへ。
お父さん。
あなたが生まれてから、今日で78年が経ちました。
私があなたと一緒になったのは、あなたが61歳の時です。
17年、あなたは、私と一緒に生きてくれました。
あなたが病に倒れたのは、あなたが72歳の時です。
その時のあなたの状態は、ネフローゼ症候群と言って、末期的状態でした。
おうちに帰ってきたときの状態は、介護度5でした。
あれからの1年、1年は、お誕生日が巡ってくるごとに、毎年が奇跡でした。
あなたは、いかなる時もやけっぱちになることなく、常に笑顔で前向きに、どんなに状態が悪くても、そこからの回復へ向けて邁進してきてくれました。
去年の4月でしたか、5月でしたか。
あなたは、末期腎不全と言う診断をされ、老衰も始まっていると言われました。
それでもあなたはくじけませんでした。
塩分6グラム、低タンパクの、味のしないお弁当を、何の文句も言わず食べ続けてくれました。
そして、またも、奇跡を起こし、末期腎不全から脱し、慢性腎不全まで回復を見せてくれました。
さらに、さらに、あなたは毎日リハビリを続け、去年まで介護度4と言う認定を受けていましたが、77歳の終わり頃、なんと介護度2まで回復を見せたんですよ?
そして、元気ハツラツと、出会った頃のあの磊落なあなたそのままに、78歳と言う今日を迎えてくれました。
覚えていますか?
私とあなたが、入籍をしたときのことです。
一升瓶を1本も2本も飲み干していたあなたが、日本酒8合で千鳥足になるようになった。
あなたが70歳の時のことです。
私はなんだか予感がして、あなたと慌てて入籍しました。
その2年後、あなたは病に倒れ、1年間と言う長い入院生活を終え、歩けない状態でおうちに帰ってきた。
「やっぱり我が家はいいなぁ!」と。
病に倒れて、長いこと、人工呼吸器だったあなた。
意識が戻り、人工呼吸器の管を抜いたときのあなたの第一声。
「妙子!!卯月さん!!」
あなたはとんでもないプロポーズをやらかしたんです。
惚れ直さないわけがないでしょう?
あなたはかっこいい男です。
こんないい男に、17年も連れ添えて、今日と言う晴れの日を迎え、この日々はまだまだ続いていく。
あなたは、今日、
「手初めに80歳まで頑張るか!」
そう言いました。
私はいつも思うのです。
あなたがどこで、いくつで天に召されることがあろうが、あなたほどかっこいい男はいないし、あなたに惚れた以上に、誰かを好きになる事はないでしょう。
78歳と言う今日の日を迎えたあなた。
振り返ってごらんなさいな。
あなたはいつ何時も、仁王様みたいなかっこいい男だった。
そして今もいい男だろ?
あなたが、どんなにしわくちゃのおじいちゃんになろうが、あなたの男っぷりは変わらないでしょう?
どんなときの、どんなあなたも、かけがえがなく、愛しかったし、今まさに昼寝をしているあなたの寝顔、目に入れても痛くないほど愛しいったらない。
だからいつも思うです。
万が一、と言う日が、例えいつ何時突然やってきたって、もうそういうのは超越しているんです。
『死』と言う肉体がなくなるだけの現象には、私はもう恐れというものがないのです。
あなたが毎晩化けて出てくれる事はわかっているし、そうでなくとも、あなたと言うものを、私がこの体に取り込んで、魂がぴったりと重なっているからです。
もちろん、肉体を持って毎日笑顔で会話がしたい。
あなたの心臓が動いていて、あなたのあの豪快な声が聞けて、あのはじけるような笑顔が見られる、生きていると言う事の連続。
こんなにも嬉しい現象はありません。
今日、生きて、78歳を迎えてくれて、それもこんなに元気に、私はドキドキしています。
本当にありがとう。
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25歳上の夫・『お父さん』(ボビー)との日々
25歳 上の夫(令和5年、77歳。重篤な基礎疾患があります)と私との最後の「青春」の日々を綴ります。
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