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お母さんがいなくなった

家の掃除をしてたら、男の子が泣きながら絶叫している聞こえ出した。
「おがあさーん!!!おがあさーん!!」
普通じゃないぞ。
外に出たら、うちの階段の下で泣き叫んでいる。
ってことは、ダイキじゃないか。

階段を駆け下りたら、同じ階段のお隣、つまりお向かいのキョーコさん家のダイキ5歳が、手にオモチャを硬く握ったまま、パニックになって泣いていた。
「どうしたどうした、お母さんがいないの?」
混乱しすぎて、言葉にならない。
「どこに行くって言ってた?」
「うえっ、うえっ、うえっ」
「お母さんに電話してみるから、どうする、家に入る?ここにいる?」
気づくと、ダイキは腰を引いて、内ももを締めて内またに立っていた。
「ダイキ、トイレいきたいんでしょ」
ダイキが泣きながらうなづくので、
「じゃ、一度家に入ろう、ナギちゃん(2歳)はどうしたの」
「うえっ、うえっ、家にいる」
「じゃ、行こう」
一緒に階段を登りながら
「大丈夫だよ、だってお母さん、こないだもダイキに空手やらせようか剣道やらせようかって言ってたよ、どこにもいかないよ」
となだめて、ダイキの家のドアを開けたらば、超マイペースのナギちゃんが靴を履いて何事も無く玄関に立っていた。

「わたしの家で待ってる?ダイキの家で待ってる?」
と聞いたら、持ってたおもちゃで自分の部屋を指し示したので、うちのドアを全開にしておいて、ダイキの家のドアも全開にして、勝手にお邪魔した。

携帯をみたらキョーコさんのメールしか登録されてなかったので、
「どこにいるー?ダイキが大パニックよ」
とメールを送信したら、
ダイキの長い長いおしっこの音が聞こえた。
トイレのドアを開けたままだな。
子供のおしっこの音は、細くて、かわいい。

「おやつは食べたの?」と聞いたらふたりともコックリするので、一緒に妖怪ウォッチを見ていたら、
「ちょっとー、なんでドアが開いてるのー?あら???妙子さん」
とキョーコさんがお姉さんと一緒に帰ってきた。

ここまでの経緯を話すと、
「はあー?あんた、留守番できる?って聞いたら、テレビ見てるから大丈夫って言ってたじゃない。しかも出かけて5分だし!!」
「妖怪ウォッチ終わっちゃった・・・」
「また見ればいいじゃん!いつもそうしてるでしょ!!もう、こんなに散らかってて、恥ずかしい!!」
「いやいや、普通だよこれ、子供が小さい時の部屋、懐かしいよ」

キョーコさんはカラカラと笑っていたけど、ダイキは、喜びと、安堵と、お母さんの笑い方からどうやら自分は何か空振りしたらしいと感じたらしく、小さいながら神妙な顔をしていた。

キョーコさんと仲良くしてて良かった。
今夜、ダイキは、知恵熱出しちゃうかな。
皆様も良い一日をお過ごしください。

ではでは、サロンでお会いしましょうね!
https://www.iki-aoyama.com/

(2015年10月4日の記事)

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