見出し画像

店長論_06

今回からまた別のお話です。
それは『「目的」と「手段」』の話です。
これはお店や会社などの組織で陥いりやすい誤りの1つです。

アパレル会社ではよく店舗に報告書や分析表などを実施させて会社に提出させていると思います。よく作成されているものが、「日別集計表」・「販売計画表」・「売上分析表」・「顧客分析表」などがあるのではないでしょうか。またそのフォーマットはエクセルや手書きなどが多く、5年も10年も修正や改善がされずにずっと同じものを使用している場合も見受けられます。何年も同じ方法で行うことが当たり前になりすぎて、それを行う意味がよくわからなくなっても、やめることなく作業時間だけが浪費される状態に陥ります。

『このような集計表は「手段やツール」であり、集計表を行うこと自体が「目的」になってはならない』とよく言われますし、ご存知の方も多いと思います。それならば「この集計表を行う目的をきちんと考えよう!」と進めていく方が多いと思いますし、組織(会社やお店)も販売員に「きちんと目的意識を持ってやるように!」と進言することが多いです。

ただし、私は「この集計表の目的を考えること」自体が考え方に問題があると考えています。集計表という「手段」から「目的」を考えてしまうと、この集計表(手段)は絶対に行うべきものであり、手段に重きを置いた考え方になってしまいます。正しい考え方の方向性は「目的 → 手段」であって、「手段 → 目的」ではありません。「目的」から考えていけば「この集計表は止める」という選択肢も出てくるはずですが、「手段」から考えていくと「止める」という考えは出てこないです。

集計表などの「手段」に固執して、何とか「目的」を見出し、いつまでも行うことで時間を浪費していることが多少なりともあるのではないでしょうか。特に1つの会社の店舗に長くいる人の考え方は固定化しやすく、手段をやめたり、改善することに躊躇しやすくなります。これは店舗に限った話ではなく、会社などの大きな組織でも陥る問題です。

長い経験がある販売員よりも若くキャリアの浅い販売員のほうが正常に判断できている場合も多いです。キャリアの浅い販売員は「なぜこんなことに時間をかける必要があるのだろうか?」・「これを行う意味があるのだろうか?」と思っていることが多いです。ただし、先輩や店長や会社に「やれ」と言われれば、自分の意見や疑問を言えずに行うしかないことも多いでしょう。

店長はキャリアの浅い販売員に対して、現在行っている集計表などの手段について話し合い、部下が納得できなかったり、うまく説明ができないものは見直すべきだと思います。現在は「働き方改革」も叫ばれており、「時間の有効活用」や「生産性の向上」が取り立たされています。アパレル販売員は納返品作業・清掃・接客対応など様々なことに時間が取られ、自分達がしたいことやるべきことに割ける時間は多くありません。その時間を有効活用するためにも「手段」に固執することなく、「目的」を重要視して「行うこと」を決めていくことが大切です。次回は、「目的重視の考え方」についてお話ししていきます。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?